戦争の罠と停戦

戦争は好戦的な国が、自国を脅かす危険があると思われる国を叩きのめすために罠を仕掛けることが多い。ロシアはウクライナがロシアによるクリミア半島併合後にNATO諸国から軍事援助・指導を受けていたことを軽視していた。一方ウクライナ側は領土を取り返すべく時期を計っていた。そんな時にウクライナとロシアの戦争は米英の煽りに乗って始まったとも言える。最近ではウクライナと米英が“ロシアが原発を爆破するぞ”と煽ったがロシアはそれに乗らなかった。これはウクライナと米英の罠である。

太平洋戦争では欧米列強が日本の軍拡を恐れ、日本を村八分にし、資源の枯渇に我慢しきれなくなるように米国が罠をしかけた。そして日本は真珠湾を先制攻撃してしまった。日本の攻撃が大きかったので米国は慌てたが、最終的には日本を叩き潰した。日本は東京を含む大都市が米軍の大規模空襲にあった。ロシアのウクライナの首都に対するミサイル攻撃とは比べ物にならない大空襲を受け東京は焼け野原となった。それでも日本が降参しないので広島と長崎に原爆が落とされた。

ロシアのメドベージェフ前大統領はロシアとウクライナの戦争を広島・長崎と同じように核攻撃を使用すれば終わらせられると言っているそうだ。ロシアがウクライナに核攻撃して戦争が終わるだろうか?米英を中心とするNATO諸国がついている限りウクライナが降参することはないだろう。ではNATO側がモスクワを攻撃したらどうだろうか?ロシアは壊滅し戦争は一旦終わるだろう。しかし、その前にNATO側の攻撃を察知したプーチンが戦略核のボタンを押す可能性が高い。これは世界核戦争の始まりを意味する。停戦どころではないだろう、そしてロシアが保有する世界最多の核弾頭周辺国に散らばってしまう可能性が高い。

こう考えると停戦するためにはNATOがウクライナへの軍事支援を止めるしかない。停戦協定の締結は難しい。停戦交渉は長いほど良い、その間は殺し合いがないからだ。スラヴ民族の兄弟争いは、民族がどのように団結するのが良いかを徹底的に考えるまでは無くならないだろう。

補足:ゼレンスキー大統領はクリミア半島の返還を主張しているがこれに歴史的根拠は無い。彼の主張は1991年のソ連崩壊後の領土であったということだけ。クリミアはそもそもタタール人の土地であり、モンゴル帝国にも支配されていた。タタール人を追い出した後はロシアが長期間支配している。

諸説あるが、1954年にロシア政府がロシアからウクライナへの譲渡を認めた。これは当時ソ連共産党第一書記であったフルシチョフの考えによるとの見方あり。フルシチョフはロシア人でありロシアで生まれているが青年期をドンバス地方で過ごしていたために、彼をウクライナ人であるという人もいて、“ウクライナ人のフルシチョフからウクライナへのプレゼント”と書いてある記事もある)。

いずれにしろクリミアがウクライナの領土であった期間は極めて短い。クリミアをウクライナの領土だと主張するのはいささか無理がある。

最終的には歴史的事実、流れではなく、紛争当事者と応援団の力比べで決まるので理屈をいろいろ言っても始まらないのが政治。