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EMMA、説得

映画「EMMA エマ」

またまたジェーン・オースティン原作ものを2本見ました。
どちらも、登場人物の名前と顔が一致さえしてしまえば、疲れた脳にもクスッとおかしいラブコメです。
まずは、劇場では見られなかったアニヤ・テイラー・ジョイ主演の「EMMA エマ」。

エマはお屋敷でお父さんと暮らしています

21歳の裕福な令嬢エマの気晴らしは、カップルを成立させること。
冒頭、エマの家庭教師だった中年女性が、エマの作戦により結婚退職するシーンから始まります。
この時代、娯楽はダンスや歌、楽器、ピクニック……と限られていたから、時間を持て余すエマにとっては、結婚の仲介も娯楽なのでしょう。
メイドのほかに「話し相手」をそばに置いているくらいです。
しかし、ここがドラマの成立する所以ですが、当人の本心を無視して、エマにとって都合よくあてがっていくため、いろいろ事件が起こります。そしてクライマックスではいよいよエマ本人の結婚について描かれ、ジェーンらしい「みんながハッピー」で締めくくられます。
エマのお父さんミスター・ウッドハウスが原作のまま、すきま風恐怖症のキャラクターで面白かったです。ミスター・ウッドハウスは敏感にすきま風を感じると、下僕に屏風を立てさせて塞ぎます。このキャラ設定は面白いけど、映像に必要なのかなと思いましたが、屏風が終盤のほうで思いがけずラブシーンの大事な小道具として登場します。楽しい伏線です。

映画「説得」

もうひとつはNetflix映画の「説得」です。
ストーリーは原作「Persuasion」に忠実ながらも、現代的解釈を加えて映像化されており、この現代的アレンジに好みが分かれそうです。

アンの家族エリオット准男爵一家。右から2番目がアン

まず、主人公の英国准男爵令嬢アンがこの俳優さんで適役だったのかが疑問です。19世紀のイギリス人に見えません。アンは28歳まで初恋の人が忘れられずにいますが、そんなふうにも見えません。わざとそういう演技を求められたのかもしれませんが、カメラ目線でモノローグをつぶやくのも違和感あり。こういうアンなら、いっそ時代設定を20世紀にすればよかったのに、19世紀のままです。アンだけがヘアスタイルもファッションもメイクも19世紀っぽくなく、他の登場人物は19世紀なのが歪でした。
しかしながら、こちらもジェーンならではの痛快なオチとともに、ハッピーエンドが待っています。「EMMA」より年齢の高い設定で、忘れられない昔の恋がテーマなので、大人が入り込めるのは、こちらかもしれません。

エマと、話し相手のハリエット・スミス嬢。もちろん、
エマはハリエットの恋愛にも首をつっこみます。

「EMMA」は、こんなに予算を使っていいのかなというくらいコスチュームや美術が贅沢でした。ペパーミントに塗られた壁に、パステルカラーのバラ、パステルカラーのマカロン。実生活だと頭がヘンになりそうですが、映像で見る分には、かわいくて夢のような住まいです。
わたしも7月はバラをよく飾っています。バラを眺めていると少し、初夏の爽やかなすきま風を感じられるのは、気のせいでしょうか。



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