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敬老の日に

映画「ジーサンズ はじめての強盗」

御年90間近のお三人が出演する映画を見ました。
ジーサンなんて邦題がついていますが、原題は「Going in Style」。「カッコよくいこう」「堂々とやろう」という感じでしょうか。

定年退職後も仲のよい3人で強盗チームを結成

主演はサー・マイケル・ケイン(1933年生)、モーガン・フリーマン(1937生)、アラン・アーキン(1934年生)。三人は同じ会社で数十年働き、定年退職した現在も、しょっちゅう行動を共にする仲良し3人組の設定です。モーガン・フリーマンはアラン・アーキンのアパートに同居しています。
質素だけれど、年金でなんとか暮らしていた三人でしたが、会社の事情で年金の受給がなくなることになります。住宅ローンを払えなくなったサー・マイケルは銀行から自宅を差し押さえられます。学業優秀な孫と同居しているサー・マイケルは、家を失うことはできず、それならばと銀行強盗を企てます。
ほかの二人もそれぞれの事情があり、三人で強盗チームを組むことに。
初めての強盗なのでアドバイザーを雇ったり、近所のスーパーマーケットで強盗のリハーサルをしたりと、いい年の大人なのにやることがいちいちおかしくて、「強盗が成功するように」と、見ているこちらも願い始めます。これが映画の面白いところです。

強盗決行後、逃走するリハーサル

銀行強盗なんて、やってはいけないことだから、やめればいいのにとは思わせないんです。どうか強盗に成功して、お金が手に入りますようにと思わせてしまうわけです。例えば、「ナイトクローラー」の主人公はパパラッチで、パパラッチは嫌われる仕事ですが、主人公が売れる写真を撮るために死体を動かしたり、交通違反をおこしてまでも必死で事件現場にたどり着こうとする姿に「頑張れ」と思ってしまいます。「ローズメイカー」の主人公は、バラの新種開発を成功させるために、ライバル企業の温室へバラを盗みに入りますが、バラを抱えた彼女が「どうか逃げ切れますように」とハラハラします。誰も「だめだよ、そんな犯罪を犯しちゃあ」とは思わないのです。これは見ているほうが感情移入できるキャラクター設定と、そのキャラクターを演じる役者の演技力の成せる技です。
「ジーサンズ」も、年金が打ち切られるという、誰にでも起こりうる社会問題をベースに置いています。さらに、サー・マイケル・ケインは孫思いのおじいさん、モーガン・フリーマンは孫煩悩なうえに持病持ち、アラン・アーキンは新しい恋人ができてお金が必要な身の上で、三人が集まって食事するのはコーヒーのまずいダイナーや老人集会所のごはん会と、観客に「自分と同じだ」と身に迫るキャラクター設定がされていて、名優三人がサラリと自然に演じています。
これは2017年公開の映画ですが、三人はいまも現役の俳優。ますますのご活躍が楽しみです。

「ジーサンズ」とはなんの関係もありませんが、西新宿の「水の広場」に亀がたくさん生息していて、着実に数が増えている気がします。
鶴は千年、亀は万年といわれますが、西新宿の亀たちも万年生きていくのでしょうか。