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元祖花嫁のパパ

「母嫁の父」

「花嫁のパパ」という1992年日本公開の映画があります。
アメリカ西海岸に住む中流家庭バンクス一家の娘アニーが留学先から恋人を連れ帰ってきて、結婚式が無事終わるまでのドタバタコメディーです。
バンクス家のパパはスティーブ・マーチン、ママはダイアン・キートン、アニーの弟役は「ホームアローン」のキーラン・カルキンと、豪華キャスト。ウエディング・コーディネーターを雇い、自宅で結婚披露宴を開くアメリカの文化と、娘を嫁に出す父親の心情が面白おかしく描かれ、ついついDVDを見返してしまう映画です。

帰宅を楽しみに待っていたのに、突然、恋人が現れて、
みせつけられるパパ。ママの90年代ファッションも素敵

「花嫁のパパ」が往年のハリウッド映画のリメイクと知り、以前からずっと見たかったのが「花嫁の父」です。(ややこしいのですが、原題は両方とも同じ「Father of the Bride」)。
先日、BSで放送があり、ようやく見ることができました。
こちらでは花嫁の父をスペンサー・トレイシー、花嫁をエリザベス・テイラーが演じています。エリザベス・テイラーといえば、SATCのシャーロットがキャバリアキングチャールズスパニエルの名前にするくらい、アメリカで愛されるドラマチックな女優さん。10歳でデビューし、この作品では18歳で、モノクロでさえ美しい瞳に吸い込まれそうになる美貌です。アメリカ人の理想とする美しき花嫁像は当時、エリザベス・テイラーを置いて他になかったのでしょう。

こちらも娘の結婚を目の当たりにして複雑な表情のパパ。
1950年のエレガントなウエディング・ドレス

「花嫁の父」を見て分かったのは、「花嫁のパパ」がオリジナルに非常に忠実にリメイクされていたということです。メイドの存在がなくなっていたりママは専業主婦から働く女性になっていたり、時代の変化による設定の変更はあっても、登場人物、とくにパパの葛藤は、オリジナルを踏襲しながら、よりいっそう観客が感情移入できるようアップデートされています。
わたしが好きなのは、どちらのパパもウエディングケーキの値段を見てびっくり仰天するシーンと、リメイク版で加わったフィアンセをバーで励ますシーン。いろいろ文句を言いながらも結局、娘の幸せを最優先するアメリカのよき父親の姿があるのでした。長年、支持されつづける映画なわけです。

「花嫁のパパ」は続編もつくられ、さらに続編の企画があったように思うのですが、どうなったのでしょう。もしあるとしたら、続編は妊娠編でしたので、孫の結婚を扱う「花嫁の祖父」でしょうか。
2020年に、バンクス一家が集結したチャリティー映像(映画ではなく、キャストらのトーク)が制作されていて、YouTubeで見ることができます。