在米元百貨店社員が高島屋ケーキの件を考えてみた

実は私は元百貨店社員です。
アメリカに引っ越すまではファッション系の担当でしたが、食品部門で新入社員1ヵ月販売仕事をしたり、繁忙期の時は応援に入ったことも何度もあります。

まずは、元社員として会社側に思うこと。

今回の高島屋の配送用ケーキがお家に届けられた際に思いきり崩れていたというクレーム。まずは、クレームの数が尋常じゃないので、まだまだ原因が不明というので店頭からお家に届けられるまでどういう管理がされていたのかを検討すべきです。そうでないと、今後違うメーカーのケーキにも同様のトラブル具が発生するかもしれません。配送がひっ迫していたから冷凍がおろそかor配送が特定の地域・運転手に偏っていたなら道ががたがたしていたか、特定の運転手が荒かったのk、ケーキの形状や材料がそもそももろかったのか、などなど。

とにかく、お客様のお金をいただいている以上、お客様の満足は一番です。テナントを貸しているからメーカーになすりつけるのではなく、お客様の中には「高島屋だから買う」という人もまだまだいます。百貨店の信頼っていうのはそういうものです。そこに誇りを持っているのならその信頼を裏切らないように誠意を尽くすべきだと思います。もちろん、原因追求ってすごい大変そうですが・・・・でも、なにか代案でお客様になにかお詫びでもできたらいいですね。

ただ、この時期はクリスマス。クリスマスケーキは、日本の文化の一つです。

ここからは、アメリカに住む私がおもう日本のクリスマスケーキについてと配送について。

まずそもそも、日本ではクリスマスケーキはなぜ食べるのか?クリスマスにケンタッキーはまさに日本KFCがマーケティングに成功したから。ケーキはきっと不二家とかがプロモーションしたのでしょうね。(ちょっと調べてないからわからぬ)アメリカにいると、クリスマスにケーキを買わなきゃ!みたいな雰囲気は一切ない。もちろん、「Christmas cake」という言い方も無いなー。家族で集まる日なので、デザートとしてケーキやパイなどのスイーツをだすことはあるけど、それはあくまでクリスマスディナーのあとのデザート。
日本でクリスマスケーキのカタログを競って出す各社は、とにかくもう出来上がってしまったこのクリスマスケーキ文化に商売として乗るしかないとは思う。しかし、日本のケーキはほんと美しい。艶やかな仕上がりや、細かい砂糖細工、いろどり、デザイン、味、クリームの細部・・・世界で一番美しいケーキが集まっている国だと思う。

アメリカにいると、ケーキ屋さんでももう少しおおざっぱ笑
もちろん、シンプル目なケーキで美しい物もあるけど、なんだろう細かくてキラキラして質感に細かくこだわったものはそれはそれはなかなか見つからない。

でも、ケーキは基本「お店で買って持ち帰る」が通常なのよね、アメリカ。
歩くでも車でも。そんな特別なケーキを配送してもらうっていう発想はない。
配送って、一回「バン!」って衝撃があっただけで例え「取扱い注意」のシールを貼ってしっかり梱包してたグラスだって割れちゃうんだから、グラスよりも柔らかいケーキなんて衝撃かつ斜めの場所にちょっとでも置かれたらどうなるか・・・おそしくって配送は頼めないんだけど
でも、高島屋はじめ日本の百貨店はいつからかケーキを配送できるようにした。すごいね。すごい気概。ケーキってお祝いするために買うもので大事なものなのに。

でも、「仕事で忙しくてケーキ買う暇がない」「ここのケーキが好き、素敵だから買いたい、でも遠くに住んでるの、足が悪いの」と言う方ももちろん沢山いるでしょう。
うんでもやっぱりケーキが壊れるリスクってすごい高いことを知っててほしいなー。地元でケーキ買って持ち帰るだけでもすごい精神使うのに。

クリスマスはアメリカでは「giving」をして感謝をする日。みんながギフトを上げて、いろんなことに感謝しています。誰かを責めるよりも、ケーキを作ってくれた人に感謝しよう、繁忙期ナノに働いている販売員、配送員の方に感謝しよう、ありがとう!といって笑ってケーキを食べられる日になるといいなと思います。もちろん、ケーキの代金はかかってるけどね。

当たり前に、足が速い食べ物も配送でも買えて、しかもある程度の日時指定ができるという現状。そしてこれを当たり前にしすぎて、いろんな人の努力をSNSに挙げて蔑んだり嘲笑ったりはしてほしくはないな。当たり前にあるその環境っていろんな人の努力にあるものだから。
これを笑って「こんなこともあるよねー味はおいしいんだから」と自分のこどもにデコレーションされてた方の投稿をみて、そんな余裕もいいよね、って思ってしまいました。

アメリカにいると、配送もしょっちゅう遅れるし(夫に買ったクリスマスプレゼントが28日に来た笑)、割れ物系は割と割れて配送されるし、買ったケーキで頼んだ字が汚い、予約ミス、などなど理不尽に対するストレス耐性が付きます。クールに返品・返金をしてもらっておしまいチャンチャンにしませんか。これが全国区にニュースになるっていうのがアメリカではないので、日本はサービスは基本素晴らしくて完璧であるのが通常となってしまったのでしょう、これが自ら日本人の首を絞めているのかも。誠実で几帳面な性格が良さでもあり悪さでもある。

相手を許す心、みんなありがとうと思える心の余裕、そして買える人は自分の足でお店までケーキを買いに行って持ち帰る時間の余裕、ケーキ購入が無理ならシュトーレンとかパイを食べるなどフレキシブルなクリスマス文化への進化、があればもっと穏やかな年末になるのでしょう。



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