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「どこでも住めるとしたら」の答えは?

「どこでも住めるとしたら?」

20代半ばの私にこの質問をしていたら、迷うことなくヨーロッパに住みたいと答えていただろう。

それから実際にヨーロッパに移住した私の今の答え、それは、

「日本とイギリスを行き来して暮らしたい」

ヨーロッパへ移住して以来、初めて少し長期的に日本に戻っている。
先週末は、母と姉家族と一緒に、神奈川県松田町の河津桜を見に行った。

その場所は、河津桜の名所としてテレビの情報番組で紹介されていた。画面いっぱいに映し出された美しい桜に惹きつけられ、そこへ行ってみたくなった。

テレビで見ていた時には気づかなかったが、ここは山の上に桜の名所があり、かなりの距離の坂道を上がることとなる。高齢者や子供には少々きつい。
そして、がんばって歩いて辿り着いた先には、壮大なる景観が広がっている。
桜のピンクと菜の花の黄色という春爛漫の光景。

さらに上空の青空が爽快でした。

うわー、すごい、と何度口にしたかわからない。
そして、何度スマホのカメラをお花に向けたことか。

さらに、富士山まで見えるのだから絶景の宝庫だ。

せっかくお花見に行くのだから、レジャーシートを敷いて、お昼を食べよう、そう提案された私は、前日からウキウキしてカップケーキを作り、姪が大好きなイチゴも持参した。


お気に入りの猫がらの風呂敷

このようなお花見会場の楽しみの一つ、それは食べ物の屋台が並ぶこと。
私たちはここでいなり寿司を購入した。菜の花やアーモンドが入ったおいなりさんは、外でいただくと格別の味がした。


こうして河津桜を楽しんだあとは、近くの蘇我梅林にも立ち寄った。
華やかな桜と比較すると、梅は落ち着いた雰囲気のあるしとやかさを感じる。
紅白に咲く梅の木々が入り混じり、和服姿の紳士淑女が現れそうだ。


カップケーキは梅を見ながら楽しみました!



美しく咲く桜と梅の花を愛でることができて、本当によかった。
日本の春はやっぱり素晴らしい。

そんなふうに思う一方で、実は疲れ切ってしまった自分もいた。
なぜなら、とにかく、ものすごい人なのだ。駐車場を探すことにも一苦労。
桜が広がる斜面を歩きながら、山の上までたどり着くにも、下まで降りるにも、
とにかく人・人・人・・・( with mask…)



レジャーシートを敷いて団欒のひとときを過ごしていても、
周りは人・人・人・・・

週末の日本の行楽地には、これだけたくさんの人が集まるということ、久しぶりの体験だった。

季節のお花を愛でるという気持ちは、日本でだけではないはず。イギリスにいる人たちもまた、お花やガーデンが好きで、たくさんの人がお花を見に出かける。

イギリスでは4月初めになると、ブルーベルのお花が咲きほこる。私は毎年このお花が見れることを楽しみにしている。

近所の公園には、やはりこのブルーベルのお花を見に集まってくる人たちがいるが、このような日本の人混みとはちょっと装いが異なる。


さて、桜と梅の花を堪能したあとは、箱根の日帰り温泉に向かった。

普段イギリスで生活をしていると、家にバスタブがあってもシャワーですませてしまうことが多い。ここではヒノキで作られた広い湯船に浸かり、露天風呂では情緒あふれる景色を眺めながら疲れを癒す。
日本にいるからこそ味わうことのできる、至福の時間だ。

「日本にいる間にしたいことや行きたいところは?」

こう質問された私は、答える。

「今は、日本でこうして再び、ここに暮らしているように生活できることが幸せ」

一時帰国という限られた時間の間に、慌ただしく予定を詰め込み過ごすのではなく、毎日同じ時間が流れる日常を日本で過ごし、仕事もしながら家族や友人と日々の時間を共にする、そんななんでもない時間がとても嬉しい。

そして、時々イギリスの生活を恋しく思い、またイギリスへ帰る。
近いうちにまた日本へ戻ってくるという確信が持てるなら・・・それが今の私の理想の生活。

「どこでも住めるとしたら?」 

もし再び10年後にこの質問に出会ったら、それはまた今とは違った答えになっているかもしれない。

住みたい場所は、その時自分が置かれている状況・心境により変化していくもの。未来の気持ちなんて、今の自分にはわからない。

その時の自分に与えられた機会を見失うことなく、その場所で楽しく生きる。
それが一番幸せなことなのだろうと思う。


日本とイギリスを行ったり来たりしながら過ごしたい。言うことは簡単だけれど、実際はそんなにたやすいことではない。
日本とイギリス、飛行機に乗っているだけでも14時間の移動、さらに時差が冬は9時間、夏は8時間。時差ボケがなくなり、日常のペースに戻るまでには数週間かかる。

そして、何より移動にはそれなりにお金もかかる。

”あんなこといいな、できたらいいな”

不思議なポケットから、ドアを開くだけでお望みの場所へ連れて行ってくれる秘密兵器が取り出せたらいいのにな。
ついつい現実逃避に思いを馳せてしまう・・・


ご訪問いただきありがとうございました。


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