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もやブロ #42 もしも私が湯沢町長になるならばこんな政策

10月には南魚沼市議会選挙
11月には衆議院選挙
11月下旬に、わが町・新潟県湯沢町 町長選挙
選挙目白押しの秋です。まちづくり会社・きら星社長の伊藤です。

・・・ということで、今日もコワーキングで選挙の話題が出ましたので、私めが町長になったのだとしたらこの政策を重視するということを今回はテーマにしたく存じます。

政策については3本柱でございます。それでは目次からどうぞ!

1.景観からおもてなしまで、ホンモノの観光まちづくり

毎度いろんなところで話をするのですが、湯沢町は何と言っても観光産業の町なのであります。

それは企業数にしてもそうだし、売上高を見ても圧倒的であることは下記のグラフを見てもおわかりでしょう。(データ引用はRESAS:地域経済分析システムより※)
※ちなみに地方のことをやりたい!とか言う人は、当たり前のようにRESASを使ってください。生データを集めるのは当然のことですが、RESAS使ってバックデータ揃えて仮説検証くらいはしてくださいね^o^。

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一方で、観光従事者の給与は決して高くはございません。
2016年の経済センサスによりますと、従業者数(企業単位):3,946人に対して、宿泊・飲食サービス+卸売業・小売業の従業者数は2,261人と2/3近くは観光(だけとは言いませんが)サービス業に従事していると言っても過言ではないでしょう。
年収でいうと200万〜450万程度の方が大半を占めています。(当社調べ)

・観光地として価値を高めること
・観光従事者の所得を高めること

それは車の両輪だと私は考えております。

観光従事者の所得を高めるためには、湯沢町が観光地としてのプレゼンスをもっともっと上げていく必要があるのです。

基本的に観光業の営業自体は「民業」です。
各々の営業努力で、設備投資であったり、料理等のクオリティ向上であったり、接客力の向上であったりは基本的にする必要があるというのがベースの考え方で、各々の経営力によって従業員等への還元はしていかないといけないものだと思います。

しかしながら、町としてやる必要があることをやり、民業のバックアップをどんどんしていくことによって、町の観光を磨き上げする必要があります。

例えば、私が提案するのは「景観に対する投資」です。

町中には廃業したホテルやスキー場の跡地などが、目につくところにあります。国道沿いや越後湯沢の駅の付近に、普通に廃墟があります。権利関係が複雑で、また解体除去費用等も破産した企業体が出せるはずもなく、朽ちてもほったらかしです。(これは我が町だけではない、日本全国あります)
ですが、観光立町としてお客様を迎える町で、廃墟が普通にあるままで良いものか?いや良いはずがない。
これを、行政代執行や空き家特措法を積極的に活用することで、①安心安全に影響度が高いもの、②観光地としての景観維持に悪影響を与えるもの、からトリアージしていって除却します。
財源は、ふるさと納税を主な財源とします。町の令和3年度予算では、4億程度です。ですが、産品の少ない湯沢町ではまだ商品開発の余地があります。例えばフジロックとコラボレーションした返礼品の開発を進めることによって、ファンの獲得にもつなげることができます。

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(フジロックに観光・移住・ふるさと納税のPRブースを無料で設置。その際にふるさと納税のPRから直接寄付につながったとのこと!)

その他、景観関連で言うと、看板もすでに廃業している店舗の看板などがあって紛らわしいという話もありました。こうしたものに対してもチェックをし、改善をしていく必要があると思っています。(屋外広告の場合は、代理店が敷金を取っている場合などがあると思うので、敷金で原状回復が適正にされているか等のチェックを言います。)
また、景観条例を定めることで、新築および外装の改修をする際の色彩制限をかける必要があると思います。岩原エリアのリゾートマンションでは、我が家も含めてですがピンクや水色などあからさまにバブルの「目立てばなんでもあり」感で建造されたものが多いのですが、外観に統一感を持たせることで観光地としてのプレゼンスを高めていければということです。

↑お隣・南魚沼市は牧之通りの風景です。電線地中化やセットバック、建築意匠についてもある程度揃っていて統一感あります。こういった街並みは、素敵ではありませんか?観光地としては、こうした風景も一つ売りになると思いませんか?

そして、次に「おもてなしに対する投資」です。

先ほど、基本的に観光は民業で従業員自身が稼ぐ力を・・というような自己責任論ちっくな書きっぷりをしましたが、それだけではなく地域としてもっと人財に対する投資をしていこうよということです。
具体策としては、わかりやすいことでいえば共同研修ですね。無償で観光従事者に対する必要な研修教育を行なっていきます。英語の勉強会などは、商工会を通じて申し込むことはできますが、それだけではなく、SNSマーケの研修であったりVMDの研修であったり各宿泊・飲食・小売業の「稼ぐ力」を磨き上げるような研修を行います。従業員に対しても、自分たちのサービスや商品提案力で自分たちの給与を上げていくんだ!という視点のチェンジをしてもらえるように、心持ちを変えていく必要があるのです。
あとはコンテンツ開発として、先日、ヴィラグリーングラスの若旦那の恭平くんが「湯沢町を学ぼう講座」を開いて、その歴史を紐解いてくれたのですが、こういったコンテンツをどんどん開発していく。それは補助金としてではなく、民業として成り立つように、町としては応援(告知・拡散・場所の提供)していくのです。

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湯沢町は観光立町というのであれば、スキー場の運営頼みにせずに、自らどんどん稼げるコンテンツを作り、自ら稼いでいけるホンモノの観光地を目指していきたいと思います!

2.地産地消のエネルギーで循環するまちづくり

ハイ、これは言わずもがな、湯沢町は雪国です。
ということは、寒いです。11月から4月までは暖房が必要なくらいです。

その暖房・ボイラーはほとんどが灯油・重油を利用しており、ということは、その原料がほとんど国外に依存しているということ。政情が不安定になり、原油価格が高騰すれば、一般市民はもちろん町内の事業者の懐事情は一気に悪化します。町内の中規模な民宿では、1日のお風呂を沸かすためのボイラー代が2万円ほどかかるそうです。そのため、客数が少ないと、風呂代だけで赤字になってしまうため町営浴場などをご案内することもあるとか。

私はこの現状を非常に重く受け止めております。
原油に依存したエネルギー政策では、もし原油調達ができなかった際には我々は凍えてしまい文化的で健康的な最低限度の生活はできるのだろうかと。FF灯油ヒーターが普及する前なら、豆炭コタツなどが多くあったけれども、今はそもそも豆炭とかコメリに売ってましたっけ?というか豆炭コタツとかないし・・・

地産地消で原料調達できる、発電および熱源が必要です。
ゴミ等の排出コストを下げるための廃棄物循環の仕組みが必要です。

小水力、地熱、温泉、風力・・・方法はいろいろあるのですが、個人的には小型バイオマス発電の事業を立ち上げたいと思っているので、バイオマスを一つソリューションとして提案します。

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この写真は山鳥原公園の遊歩道なのですが、森を見てください。
いい感じに陽が入って、きれいではありませんか?森林面積が全町の面積の92.2%を占める町です。森が資源です。
ですが、大半の森は手入れをされぬまま、無造作に木が生えている状態です。また、一部国有林では間伐をしているのですが、その一部は林地残材(間伐や主伐により伐採された木材のうち、未利用のまま林地に残置されている間伐材や枝条等)しています。こうしたものを燃料にして、発電しよう、しかもMWh級の大規模バイオマス発電所ではなく小規模なもので、原料供給量も持続可能なサプライチェーンを作っていこうということをやりたい(私の新たな民間事業でやりたいと思います)!!これは話始めるとあまりに長くなるのでまた別のnoteにまとめます・・・。小型バイオマスについてはこちらをご参考にしてください。

前置きが長くなりましたが、簡単に言うと、

<エネルギー目線>
森を間伐できれいにする→間伐材や残材が出る→小型バイオマス発電で発電する→排熱はボイラーとして地域熱供給する→地域の電気代・灯油代が低減

<環境づくり目線>
森を間伐できれいにする→太陽光が入ってCO2吸着率が高くなる→木がよく育つ→熊や鹿など野生動物の餌となる木の実が育成される→獣害が少なくなる。おまけに保水力が上がって地滑り山崩れなどの発生リスクが下がる

というメリットがあるので、山林に恵まれた我が町にとっては山を手入れしない手はないんです!!!!!

あとごみ問題もエネルギー循環としては論じねばなりません。

湯沢町にはごみ焼却場がないので、南魚沼市に負担をしていただいています。当然、タダじゃないです(苦笑)
令和3年度予算案でいうと、その額、2.1億円
そして、塩沢のクリーンセンターは現在設備更新のために建替を検討していますが、現在候補地も含めて再検討となっています。新しいごみ処理施設ができたら建設負担額も負担せねばならぬでしょう・・・隣の市のことですが全く他人事ではないですよ。

南魚沼市に支払っている以外の、塵芥処理費用は1.2億円にもなります。

こうした物事を解決するための手立てとして、公共コンポストの導入から開始することを提言します。
また、マンションにお住まいの方向けには、自宅でもできるコンポストの導入なども是非進めてほしいです。うちもこのLFCコンポストを定期購入しているんですが、生ゴミがほんと出なくなります。そして堆肥化されるので、それをきら星の庭に撒いて肥料代を浮かせています(笑)

あとこれは有名すぎる事例かもしれませんが、徳島県の上勝町の「ゼロ・ウェイストセンター」WHYは全ての人に知っていただきたい取り組みです。
アップサイクル(廃棄物や不要品に新しい価値を与えること、もの自体の価値を高めること)が当たり前の社会にしていくことで、ごみ処理の費用が減っていきます。

建築残材や、廃棄物についてもそうなので、できる限りリノベーションなどを行なったり古材の流通なども推進していくことを町の政策として盛り込みたいところです。

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ちなみに、弊社きら星BASEも廃校になった保育園を利活用して、町から年間40万円ほどで賃借しているのですが、2,050万円くらい投資しています。(県の起業補助金などを充当したりしました)
ですがこのきら星BASEの運営は、単年度で人件費抜きで減価償却も含めて計算してみると、100万くらいの粗利が出ています。あ、もちろん補助金抜きの収支です!!!!普通に経営を頑張れば黒字になります。

新しく官製ワーケーション施設を作る!とか、官製コワーキングを作る!とか、考えている自治体の方がいらっしゃったら「ちょっと待った」を言いたいですね。無駄な予算をつっこまずに、民間活力を利用しなさいよと。

地域内にある資源を活用し、地域内に金が循環し続けるようにまちの経営をする。これもまた地産地消のエネルギー循環型のまちづくりの一つです。

3.教育も福祉も、選択肢がある土壌づくり

湯沢町には、教育機関は保育〜中学までの一貫校である「湯沢学園」のみ。病院は、歯科等のクリニックがいくつかある以外は「湯沢町保健医療センター」の一択となります。

人口減少の時代に「新しい病院を作れ」ということは申し上げません。ですが、これもまた民間活力を利用しながら、選択肢を増やすことをしていきたいと思っています。

例えば、町内には児童発達支援の事業所がありません。これもまた南魚沼市に行かないとサービスが受けることができません。そういった課題を解決しようとしている若者がいます。cocoiroの岡本奈緒が、来年度、湯沢町で児童発達支援事業所/放課後等デイサービスを設立しようと奮闘しています。

人口8千人の町では教育関連サービスも成り立ちにくいです。
なので療育サービスをやるにもマーケットは限られていますし、先進的な学習塾も大手は出てきにくいです。
そんな中でも、地域の子どもたちにプログラミング学習を手厚くしてあげたいと熱を上げる若者がいます。ロボ団の塾長をやっている腰越俊樹くんです。町にも、町長にも直談判したようですが、あっさりノックアウトされたようです。なので、現在は出張授業という形で湯沢でも受講できることにしているのですが、金銭面からも全ての子どもたちが受けられるわけではありません。

あとは福祉という点では、三俣や二居、浅貝(苗場)、旭原、土樽などの中山間地では、湯沢病院へ行くのも一苦労です。また、病院へ行くには、町の福祉バスが通っているのですが、デイサービス等へ通うためには中山間地への送迎は、事業者が大変コスト的に困難だと言う声も聞いています。
訪問看護の事業所も町内にはありません。中山間地域のデイサービスセンターや小規模多機能などの福祉施設もありません。

有効活用されていない町有施設(利用率の低い温浴施設等・例えば宿場の湯)を高齢者のための小規模多機能施設に改修し、三俣・二居・浅貝の高齢者が集える場所にするなどを提案したいです。

あと、実は私ごとですが3人目の子を身ごもりまして(流産したんですが)、一時妊婦健診に魚沼基幹病院まで通いました。
湯沢町の妊婦は、十日町にあるたかき医院か、浦佐にある魚沼基幹病院かの二択しか現状はありません。妊婦健診に行くのに、毎週約1時間かけて運転していくのは非常に辛いです。
移住してきて、湯沢は子育てはしやすい町だとは思いましたが、子供を産みたいと思える町ではないのが正直なところです。出生率を上げたいのであれば、妊婦健診も可能な助産院を誘致して、自然分娩などの方法を選択ができるようにしてはどうでしょうか?
自然分娩は、スローライフやナチュラルライフを志向する人には一定の支持があるので、そういった層の移住者増や短中期的な出産滞在も呼び込めるものと見ています。
こちらの財源としては、子供医療費の18歳まで無料分の付け替えやこちらもふるさと納税を活用して集めます。基本的には、新潟県内や群馬などの近隣市町村には自然分娩OKな助産院はなく(助産所があっても母乳外来等だけ)運営のリスクを行政ができる限り負ってあげないと厳しいと思います。

こうして例を挙げるとキリがないのですが、公で全て賄おうとせずに、民間と力を携えて教育も医療も福祉も、選択肢を増やしていくべきではないでしょうか。

終わりに

こうした選択肢の増加は、多様性を生み、
多様性が活力を生み、人を魅了し、人を呼び込む。

これは1.で述べた観光まちづくりへもつながってきます。
というか全てがつながっています。

結構まじめに、伊藤綾の政策3本柱を書かせていただきました。
町長候補の方も、町議の方も、行政の方も、良ければお目通しいただき、いいところがあればどうぞパクってください。

基本的に、私の投票スタンスとしては、
自分と政策方針が合っていて実行力がある方を支持いたします。
派閥とか政党とか、小難しいことは置いといて、やることやってくれる人。

こんだけ書いてるんだから、テメエが出やがれと思う方もいらっしゃるかもしれませんが。
しがらみに縛られるのは嫌ですし、スピード感を持って物事を進める方が性に合っていて、私は野放しにしておいた方が社会のためになることをたくさんできるのではないかと自己認識していますので、政界には出ません。

どうか政治という手法で課題解決をするのが得意な方に、届きますよう。

かしこ

「魅力的なまちで溢れかえっている世界を」作り「地方で暮らす人を増やし消滅可能性都市をなくす」ことをミッションに動くまちづくり会社社長。湯沢町で暮らす2児の母でもある。