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【中世欧州料理試作】(11)キャベツポテージ

このコラムでは、過去試作してご紹介した中世ヨーロッパのアレンジ料理についてちまちまご紹介します。
全部実試作つき&単純に自分の感想や所感なども書きなぐってます。基本的に全部美味しいんですけど、一部「?!!?(なんともいえない味)」ってものもありますので、そのあたりも正直に書いときます。



中世のスープの代表格。

…個人的な見解です(真顔)。
いわゆる一般的な架空のファンタジー世界に登場する素朴なスープという のは、お豆とちょっとばかしベーコンなどの肉が入った具を想像するんですが、実際の中世ヨーロッパではながーーーく煮込むことを前提にした食材が比較的好まれたのではないかと思います。ヨーロッパの方では当時の時代を再現検証する団体がいくつかあるんですが、大方料理の再現を行う時はキャベツを使ったスープを出してくれるところが多いような気がします。豆はどちらかというと修道院側で使われる傾向でしょうか(なんとなく)。

現在は汁物の総称を「スープ」と呼んでいますが、たとえば中世イングランドの料理指南書では「potage(ポテージ)」と表記されることがあります。意味合いはだいたい一緒なんですが、フランスの方ですと「potage(ポタージュ)」の方が濃厚でもったりとしたスープをいう意味合いになるみたいです。現代のコーンポタージュとかもそうですよね。スイートコーンの甘めのやつ好きです(※好みは聞いてない)。

使うキャベツはめっちゃ硬い。

日本のキャベツはまるっこい結球キャベツが主流となっております。春キャベツとか冬キャベツとか聞いたことがあるかと思うんですが、春キャベツは甘くて美味っすよね(※好みは聞いてない2)。
当然、加熱せずに生のままでもじゃんじゃんいけるので、サラダやとんかつの付け合わせには欠かせないものとなっています。白飯少なめのキャベツおかわり自由が最の高っす(食い気)。

対して、ヨーロッパのキャベツはというとめっちゃ硬い種類が多いです。欧州在住の日本人の方が泣くほどだそうで(って現地の方に聞いた)、日本のキャベツを想像してはいかん!とも。まぁ、いろいろ違いますよね…。

フランスやイタリア原産のサヴォイキャベツ(ちりめんキャベツとも)。最近日本に入ってきた高級食材系のキャベツで、生のままだと苦くて固いんですが加熱すると感動するほどの柔らかさと甘味がでるのが特徴です。
硬いキャベツの種類のひとつ・ドイツのヴァイスコールは白っぽくて中身がぎっちぎちなのが特徴です。そんでもってすごく硬いのでnot 生食。ザワークラフト向けですが、長時間の煮込みであれば使えるかなと思います。日本の丸キャベツによく似ているのでうっかり買っちゃう方が多いみたいです(ってドイツ在住の方に前に聞いた)。

キャベツポテージは長い間煮込むので、こっちの方がいいっちゃいいんです。逆に日本の柔らかいキャベツはくったくたになってしまうので、忠実再現という路線だと正直あまり合わないんですが、アレンジ系だったらその辺りは気にせずに使うようにしています。そもそもかったいキャベツは日本での入手が難しいですし。

材料を切ったらとにかく煮込む。

それでは当時の料理指南集ベースの材料をざっくり出してみます。分量は今回もカットします(もし昨年頒布した同人誌をお持ちの方はそちらを参照くださいませ)。

作り方としては、

1.スープストックが入った鍋にリーキ(西洋ポロネギ)・キャベツ・玉ネギを入れて柔らかくなるまで弱火で煮込みます。時おり塩(と混合スパイス)を少しずつ加えてお好みの味に調整。日本のキャベツを使う場合は30~40分ぐらいが目安です。
2.あたたかいうちに皿に入れてすすめます。

深き西洋中世の食レシピ総集編(2023/コストマリー事務局)より抜粋

といった流れです。これは日本のキャベツを使うバージョンなので比較的短い時間に設定していますが、ガチ硬いキャベツを使う場合は、概ね2時間を目安にした方がいいかなと思います。もっと長くてもいいかもですね。


スープについては過去何種類か試作検証をしているんですが、総じていえることは『一口頂くと気持ちが落ち着く』という点。今もそうですが、さっぶい真冬の日に温かいスープを頂くと至極幸せな気分になれる、あの感覚が中世の人々にも伝わっていたんじゃないのかな、と。

料理をどんなにつらい出来事があっても食べることで心身の癒しになるのは、いつの世も変わりはないと思います。シンプルですけど、キャベツのスープは美味っすよ♪

最後までご一読頂き、有難うございました(^-^)。


■中世ヨーロッパなお料理や民俗文化ネタつぶやきについて

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