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障がいがあっても芸術を:森の中の展覧会へ

晴れた日曜日。
用事の合間を縫って上野の森美術館を訪れた。
目的は台東区主催の障害者作品展「森の中の展覧会」を観ることにある。
上野公園は休日を楽しむ人でごった返している。

展覧会は今日まで。間に合った。
小学校の皆さんの作品が迎えてくれる

この展覧会は、区内に住む障がいのある人が芸術文化に携わる楽しさを知ってもらうことを目的として2021年から開催しているという。
障がいがあっても無くても芸術を楽しむ権利があるし、「自分で創作したい」「自分の作品を見てほしい」と思う人もいるはず。
1年かけて彼らが創作した作品がこの展覧会で展示されている。
職員から展覧会のことを聞き、一度行ってみたいと思っていた。

皆さんの力作が無料で楽しめる

作品それぞれに、作者の込められた思いがコメントとして添えてある。
様々な事情で障がいを持つ人たち。
彼らの作品を通じて「彼らに見えている景色」を私も見てみたい。
彼らが何を考えながら、何を感じながら作り上げたんだろうと想像しながら作品を鑑賞し、一つ一つコメントを読む。

既にある美しいものを写真で撮るだけの私。
自ら芸術を生み出す想像力の無さを自覚しているので、皆さんの豊かな想像力が羨ましい。

「ワンショット」細かい作業、とても私には真似できない
台東区長賞の「盛」。独創的な世界に笑みが浮かぶ。
上野の森美術館賞「未来」
入選作「こどもたちの楽園」

カラフルな作品たち。
作り手の皆さんが創作を楽しんでいるのが伝わってくる。
彼らの創作にかけるパワーも感じる。
能力がいくつか欠けていたとしても、芸術を楽しむことができるんだね。
彼らが見ている景色を目で楽しみ、共有する。

「幸せのリボン」リボンとRe Bornをかけている

捨て猫を保護したエピソードから生まれたこの作品。
猫への温かい想いが伝わってくる。

「牡蠣」

大好きな牡蠣を食べた後の殻をみて、ご主人が「味わうだけではもったいない、モチーフにして牡蠣を描き続けて」と声をかけてくれたのが創作意欲につながったというエピソード。
どこにやる気スイッチが転がっているかわからない。

「アオジ」

大好きな鳥がアオジとはシブいな。
彼女の眼を通したアオジは黄色が鮮やかだ。
私も一度アオジを描いてみようかな。

「私の気持ち」

うん、シンプルで私は好き。
どの作品も個性的で楽しい。

左手で書いたとは思えない作品

右側の麻痺を抱え、左手で書かれた絵。
障がいを乗り越え、新たな能力を獲得し前に進む彼らに、こちらが逆に元気をもらえる。
私がもし障害を抱えたら、同じように芸術を楽しもうという精神的余裕を持てるだろうか。
障がいを抱えた人は生きづらさを抱えている。
障がいがあっても楽しんで生きている彼らはたくましい。
私も頑張らなきゃ。

障がい者は様々な能力が発揮されないまま、世間から隔離されてひっそりと生きていることが多い。
こういった展覧会や発表の場がもっと増えたらいいのにと思う。

モクレンが芽吹いていました

最近の政治家のカネ問題でバカバカしいと後回しにしていた確定申告。
いい加減、今日中に済ませないと間に合わない。
人でごった返す上野公園を後にし、帰宅の途につく。

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