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起業一年目の話。 ~不動産鑑定士~Vol.1

このマガジンは 起業した経営者あるいは独立したフリーランサーの「一年目」にフォーカスしたインタビューメディアです。
「起業しようかな・・・」「独立したけど不安だ・・・」と、これからの働き方に不安を感じる人は、実際の経営者やフリーランサーがどのような考えや気持ちで独立したか、苦労したことは何か、独立する前にした方がよかったこと、等々参考にしてください。
このマガジンが、これから起業・独立を考えている方や独立したばかりで不安が多い方の励みになることを心から祈ってます。

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田代不動産鑑定コンサルタント事務所
不動産鑑定士 田代務
(タシロ ツトム)

この話のポイント
 ・独立したキッカケは維新政治塾への参加
 ・独立のメリットは時間の融通が効くこと
 ・売上増加の秘訣はコミュニティを作り専門性を伸ばす!
 ・不安なことは健康面

ー本日は宜しくお願いいたします。まず、田代さんの簡単な経歴を教えていただけますか。

慶応義塾大学卒業後は、住友不動産株式会社、東急観光株式会社、大和不動産鑑定株式会社を経て2014年11月に独立しました。独立してから間も無く5年目を迎えます。


ー業務内容を教えてください。

鑑定業がメインです。鑑定業とは不動産の価格を判定し、レポートを作成する仕事とお考えください。よく「宅地建物取引士と何が違うの?」と聞かれますが、宅建業は不動産の媒介業務(売主と買主のマッチング)であり、鑑定業はその不動産の価格を算定する業務です。鑑定業以外では、鑑定評価を活用したコンサルティング業務も行なっています。

カバンの中身。電卓は必須のようです。


ー独立したキッカケなどはありますか?

2012年に維新政治塾に参加したことが大きかったです。そこでは「世の中にはこれほど自分の信用や看板で飯を食っている人がいるのか!」と衝撃を受け、これからの時代はその信用や看板を膨らませることが重要なんだと肌で感じました。勿論、会社員として働いてもその信用は築くことができますが、一部の人を除きその信用は社内でしか築けないと言いますか、社内でNo.1の信用力があったとしても社外ではそれ程評価されないんですよね。私はこのままでは自分のブランドを築くことが出来ないと思いましたので、37歳のときに会社を辞め独立の道を選びました。


ーそのような背景があったんですね。独立後のメリット・デメリット、また会社員時代と比べて意識していることはありますか?

メリットは時間の融通が効くことですね。現在子供が3人いるんですが、会社員の時は2人でした。当時は3人目が生まれても時間的な余裕がないと思っていましたね。独立後は無事3人目が産まれ、今では余裕のある子育てができています。
他方デメリットは情報量が減ったことです。前職では民間最大手の鑑定会社におりましたので、大小様々な情報に触れていました。これは不動産に限らない話ですが、表に出ない情報って結構あるんですよ。それらの情報量が圧倒的に減りましたので、本当の意味での最新情報が足りないと感じてます。
独立後は信用力を失わないように意識してます。発注者は報酬額や評価書の内容も精査しますが、発注するか否かの決断は縁故によるものが大きいです。したがって、大手のようにネームバリューがあればそれで仕事が舞い込みますが、個人は一度のミスが大きな命取りになります。


ー独立した1年目の苦労話などはございますか?

最初はコワーキングスペースを借りてノートPC1台でスタートしたんですが、印刷するにも1枚10円かかったり、スペックの低いPCを使っていたりと、ハード面で苦労しましたね。まぁ、それは自分が性能の高いPCを買って、複合機を入れれば問題なかった話です(笑)
あとクライアントにメチャクチャ怒られたことがあったんですよ(笑)その案件がかなり難しい案件だったので、色々調べていたら時間だけが過ぎてフォローの連絡が出来なかったんです。それで最終的にレポートを作成して納品したら、途中報告がない!、納品が遅い!、と物凄い怒鳴られて・・・。その案件は未だにお金貰えてないですね(笑)勿論自分が悪いですが、その仕事は0円仕事になっちゃいました(笑)

会話では笑っていますが、気持ちはこうだったそうです・・・


ーそれは刺激的ですね・・・。今では安定的に仕事が舞い込んでいると思いますが、田代さんの営業方法を教えてもらえますか。

意識していることは、特定のコミュニティを作りその中で専門性を磨くことです。私は不動産鑑定士の他にSC経営士という商業関連の資格を保有してますが、これによって「鑑定」というコミュニティ内では「商業」に特化し、「商業」というコミュニティ内では「鑑定」に特化することが可能です。「鑑定」のコミュニティ内で「鑑定」の専門性を磨くことは困難ですが、「商業」であればライバルが少なく専門性を磨きやすいです。そして「鑑定」と「商業」のコミュニティ内でNo.1をとることはそこまで難しいことではありません。
このようにそれぞれのコミュニティ内での専門性を磨くことが先述した「自分のブランドを築く」ことに繋がり、結果として仕事に繋がっています。


ー1年目から現在に至るまでの売上推移って聞いてもいいですか?

1年目:600万円後半
2年目:900万円半ば
3年目:1,500万円半ば
4年目:1,600万円前半
です。


ー売上は順調に右肩上がりですが、売上が増えた秘訣などはありますか?

・・・わかりません(笑)
紹介が増えたことで扱う案件の規模が大きくなったことが起因してますが、何でですかね・・・(笑)
では、2年目までの実績が認められたってことにしていいですか?(笑)


ー逆に独立する前にした方がよかった準備などありますか?

もう少し複業をすればよかったと思います。と言うのも、発注者の大半は「鑑定評価をしていない不動産鑑定士」なんですよ。なので、金融機関や不動産会社で働いていればその中にいる不動産鑑定士と仲良くなり、縁故による発注の機会が増えますよね。当然、発注者も知り合いの方が出しやすい訳ですし。

ーぶっちゃけた話、満足度が100点としたら今は何点ですか?

70点くらいですかね。上を見ればキリがないですが、満足はしてます。独立当初はもう少し拡大志向と言いますか、社員を雇用した組織体制を意識してましたが、今の生活に落ち着いた部分が大きいです。今の気持ちで社長になったら、社員からは「社長が仕事しない」ってクレームしか来ないですよ(笑)


ー逆に不安なことはありますか?

なんといっても健康面ですね。幸いなことに今は問題ありませんが、身体を壊したら何も出来なくなり、収入も止まってしまいます。仕事がなくなったとしても、鑑定事務所を閉鎖して会社員に戻れば済みますが、身体を壊したら再就職も出来ないですよ。



ー田代さんにとって、起業や独立はオススメですか?

そうですね。私自身、独立してから関係を構築した人が多いですが、これが財産になった気がします。たまに定年後に引きこもる人がいると聞きますが、原因は会社内の人としかコミュニケーションを図っていなかったからです。仮に私が会社員に戻っても、この人間関係は崩れないので、定年後に引きこもることはありません(笑)


ー今後の目標はありますか?

もう少し顧問契約を増やしたいと思っています。売上が増えることでもあるんですが、それ以上に不動産について知って貰いたい気持ちが強いです。社員の方やセミナーの受講者等に対して、なぜこの利用が適切なのか、この価格になる理由、他にもこのような利用方法がある、といった自分の知識や経験を話す機会が増えると嬉しいです。

以前開催したセミナーのパンフレット

ー最後に独立したけど悩んでいる人へ向けたメッセージがあれば、お願いします。

得意分野を2つ作りましょう。私は「鑑定・商業・維新政治塾・バーベキュー・ビジネス交流会・etc…」といったようにコミュニティを作り、その中で専門性を磨き仕事が発生しているので、まずは得意分野を作ることをオススメします。


ー本日は有難うございました。

田代不動産鑑定コンサルタント事務所
田代務(タシロ ツトム)
1977年9月生。出身は大阪府吹田市。
主な保有資格:不動産鑑定士 / 宅地建物取引士 / SC経営士 / 管理業務主任者
座右の銘:努力は天命さえも変える


感想
正直、売上に対する不安が全くなかったのが不思議でした。理由を聞いても「そこはなんとかなる」と根拠のない自信があるようです(笑)
鑑定 × 商業 = 田代がNo.1  という自信があるんですね。
商業施設のお悩みがありましたら、是非とも田代さんまでご相談を。
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