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Amazonプライムビデオ映画三本感想。

ついこの前こういう記事を書いたのだけど。

この記事では、自分の頭の中ではさっと思いつく上位ランキングという意味でさらさらっと、あまり資料を見ないで入力したものです。でも、それしか見てないわけはありません。他にもいっぱい見てます。それで、映画に関していうと、何故かAmazonプライムビデオが多いんですよね。特に理由はないんだけど、おそらくはNetflixやHuluは、痒いところにあまり手が届いてないというか、話題作以外はつまらない作品が多すぎるような気がします(特にネトフリ)。というわけで、プライムビデオで見た映画を三つほど。なお、これを書いている時点で以下のノーカントリーはレンタルになっていてプライムでは配信されていません。


Under sunded:ヒトラーの忘れ物

2015年 デンマーク・ドイツ合作映画

評価:★★★★

まず、タイトルがちょっとなぁ……。ヒトラーは僅かにしか関係ありません。ドイツ軍兵士が主役ってだけです。邦題つけるの難しいし、一人でも多くの人に見てもらって、ってわかりますけど、ヒトラー関係ないし。でも秀作です。名作・傑作と言ってもいいかもしれません。第二次世界大戦でドイツが敗戦すると、ヨーロッパ各地に残っていたドイツ兵達は各国の捕虜となります。これが莫大な人数で、特にロシアに捕らえられた捕虜はその大半がドイツに結局帰ってこなかったというくらいに、実は酷い扱いを受けました。ロシアはちょっと事情が違うようですが、ヨーロッパ大陸を侵略したナチスドイツはユダヤ人へのホロコーストだけでなく、各国の国民に対して横暴な振る舞いをしたらしく、憎まれていました。なので、ドイツナチスに協力的だった市民などは解放後、散々な目に遭わされたりしてます。フランスの「丸刈りにされた女性」などは有名です。

この映画は終戦直後のデンマークでの出来事を実際の話に基づいてフィクションとして作成された映画です。デンマークではそれほどはナチスドイツは酷いことをしなかったらしいのですが、それでもドイツ兵捕虜は酷い目に遭いました。ノルマンディー上陸作戦をご存知の方も多いと思いますが、ドイツ軍は当然、連合国軍がヨーロッパ大陸に進行してくることを予想していたので、上陸地を予想して守ろうとします。但し、どこから攻めて来るかわからず、全部に海岸線に軍を配置など、流石ドイツもそれは無理なので、地雷だけ設置しておくというような方策も取られました。で、それが残っているため戦後処理として撤去せざるを得ないというわけです。そして、この映画です。何と、ドイツ兵捕虜に手作業でその地雷を撤去させるという、無茶なことをやったのです。この映画ではそのうち、デンマークはユトランド半島のどこかわかりませんけど、その海岸線に膨大な数埋設された地雷撤去作業を、ナチスドイツ兵捕虜になっていた少年兵にやらせるということにしたのですね。いいですか、年端もいかない少年兵ですよ? 手作業で地雷撤去ですよ? 間違えたら一撃で死にます。この映画では確か10名くらいのチームで、数千個だったかな、凄まじい数を処理させられます。この映画では出てきませんけど、デンマークでそれを担当したドイツ兵捕虜の数千名のうち半数はこの作業で無くなっているという悲惨なことになっています。

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映画とは少し離れますが、国際法のジュネーブ条約でこうした非人道的な捕虜に対する扱いは禁止されているのですが、これはイギリスの入れ知恵らしく、デンマークはドイツと交戦しておらず(たった一日で支配下においた)、それ故、交戦国に当たらないので条約は適用されない、とか言ったらしいです。いやいや、だからって非人道的扱いをしていいとかありえていい筈はない。この映画は、そういう酷いことをやったと終戦から70年も経ってある意味明るみにしたという意味もあります。デンマーク人だってほとんど知らなかったそうです。

さて、少年兵達には一人、管理責任者としてデンマーク軍軍曹が付くのですが映画冒頭から、連行されて隊列を組んで歩くドイツ人捕虜に平気で暴力を働くような人です。ですから、この軍曹は割り当てられた少年兵10名ほどに対して、最初は冷たい態度で接します。例えば、食事も満足に与えないし、自由行動すら許さず、一日の仕事が終わったら全員をベッドしかないような狭い小屋に閉じ込める。地雷撤去作業では当然失敗して腕が吹っ飛ぶ重傷者が当初は出たりする。少年兵達は肉体だけじゃなく精神的にも追い詰められ、衛生状態の酷い家畜の餌まで食う有様。ところがこの映画、決して救われない話ではありません。徐々にですが、その管理責任者と少年兵達が心を通じ合わせるようになってきて、遂には軍曹が軍から食糧を盗み出して少年兵達に与えるようにまでなり、休憩時間に少年兵達とサッカーまでするようになります。しかしそれも束の間、あまりネタバレしてもだめかなあと思うので書きませんが、悲惨なことになります。最終的には少し救われますが、それにしても戦後にこんなことがあったのだと考えさせられる映画です。あと、映像がすごく綺麗です。ドラマティックな展開等はあまりありませんが、その静かな雰囲気がこの映画を上質のものにしていると思いますね。隠れた名作と言っていいのではないでしょうか。

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Apocalypse Now:地獄の黙示録(特別完全版)

1975年 アメリカ映画

評価:★★★

ベトナム戦争を描いたほぼ最初(最初ではない。ディア・ハンターがある)の映画。リヒャルト・ワーグナー作曲『ワルキューレの騎行』が有名ですね。しかし、この映画、ベトナム戦争映画と言われているのに、実はベトナム戦争映画ではありません。ベトナム戦争の設定を用いて、ジョゼフ・コンラッドの小説『闇の奥』を映画化したものです。闇の奥は英語で書かれた20世紀の小説100選にも選ばれるほどの小説で、以前から映画化の話があり、スターウォーズ原作者のジョージ・ルーカスが、この映画の監督であるフランシス・コッポラよりも前に映画化を企画していました。ルーカスが友人であったコッポラに映画化権を譲り渡した格好です。ですから、現実のベトナム戦争を描いた映画は実際には、オリバー・ストーン監督の『プラトーン』まで待つことになります。とは言え、ベトナム戦争の雰囲気を使ったのは大正解、公開当初はかなりのヒット作になります。制作は台風に見舞われたり、俳優が監督の言うことを聞かなかったり、制作期間は伸びるし、費用はどんどん増えるしで、大変だったそうですが、映画自体は流石はコッポラと言わせるだけの作品になっています。しかーし。

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映像は凄いのです。最初の方にある、ベトコン村急襲作戦の迫力と言ったらまぁ、あんなの現代のCGでも無理なんじゃないかなと思えるほどです。ナパーム弾打ち込むシーンは有名ですけど、あの場面は映画館の迫力で見たらションベンちびりますね(笑)。ともかく、最初から最後まで、映像は素晴らしいです。微塵の隙もありません。でも、この映画はつまんないのです。すみませんね、唐突に主観で感想なんて。先ず、ベトナム戦争の設定を使ったとは言え、めちゃくちゃです。そりゃ、アメリカ軍はベトナム戦争で無茶苦茶やったでしょうけど、いたかもしれないとしても、ギルゴア大佐みたいなあんな滅茶苦茶な人、ベトナム戦争参加軍人が見たら怒るぞ(笑)。それに、指揮系統が無くなって勝手にベトコンと戦ってる部隊があったり、ある場所では同様に放棄されたような基地施設で、アメリカから連れてきたような売春婦っぽい女の子がいたりとか、ベトナム戦争の実態とはあまりにかけ離れています。あのね、無茶やってたとは言え正規軍が行って軍事作戦を行なっていたのですから、あんな何が何だかわからない乱れっぷりはあり得ません。

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他、この特別完全版では、公開時になかったフランス人入植者の話も出てくるのですが、これが・・・つまらん。て言うか意味わからん(笑)。話の大筋にほぼ無関係。で、主人公ウィラード大尉含む、数名の特殊作戦チームがベトナムはメコン川を上流へ向かって死人を出しながら、カンボジアに入って目的地である、アメリカ軍脱走兵であるところのカーツ大佐が勝手に作った王国とやらに入るわけです。ここからがもう何が何やら?です。密林王国の中でたくさんのカンボジア人に囲まれて崇拝対象になってるカーツ大佐。王国のあちこちに死体とかいっぱいあるし、不気味で不気味でたまらんのですけど、どうしてそうなってるのか、意味わかりません。「狂気」の世界の雰囲気を出したかったのでしょうけど、私はただただポケーっと画面見つめるだけ。で、カーツ大佐を倒したら、確か、その王国がアメリカ軍に爆撃される派手な映像見られる筈だよなと思ってたら、The End。アホー!なぜそこをカットした!? ストーリー上不必要だからか? せっかく公開時にプラス1時間弱もつけて3時間強もある映画を見続けたというのに、その仕打ちがあるかーーーー!😂 コッポラが納得行ってなかったんでしょうけど、見てる方の気持ちも考えて欲しかった。というわけで、動画消えるかもしれないけど、YouTubeにあったので下記にそのリンク貼ります。なかなか幻想的で綺麗なんです。この余韻に浸りたかったんだよな。

というわけで、傑作大作のはずのこの映画、星三つが限界っす。繰り返しますけど、映像は凄いっすよ。ただ、それだけ。あ、そうそう、Amazonプライムのこれ字幕版ですけど、字幕酷いです。最近も少し確認しましたが、半角数字だと思うけど、全部抜けてます。英語聞いてたら少しわかるので大したことないですけどね。あと、完全版でない短いバージョンもプライムにあります。


No Country for Old Men:ノーカントリー

2007年 アメリカ映画

評価:★★★★★

コーエン監督の映画って好きでして、『ファーゴ』って作品がめっちゃ面白かったわけですよ。「これは実話である」とかって嘘のテロップ入れたりして話題になりました。で、このノーカントリー。私の中では、2000年代アメリカ映画で五本の指からは漏れない傑作だと評価してます。この映画、なんと言っても素晴らしいのは、ハビエル・バルデムってスペインの俳優が演じた、アントン・シガーってキャラクターです。ここまで独特の雰囲気を醸し出した恐ろしいめちゃくちゃキャラの立ってる悪役って、他にいないんじゃないかなぁ。

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大まかなストーリーは単純で、『ボーダーライン』なんかで渋いCIA捜査官を演じたジョシュ・ブローリン演じるルウェリン・モスって名前の30台くらいのおっさんが、狩りをやって生計を立てるわけですね。で、荒野で双眼鏡で狙い定めてたら、偶然、麻薬取引で揉めたのか数人が殺し合った後の現場を発見する。そしてそこから取引で使われた大金を盗む。で、殺し屋のアントン・シガーがその金を取り戻すべくそれを追っかける。そして、アントン・シガーが道中、色々殺しをやるもんだから、 トミー・リー・ジョーンズ演ずる保安官がさらにそれを追っかける、というストーリーです。で、ですな、このアントン・シガーなる殺し屋、めっちゃ怖いw

例えばですな、こんな殺し道具ほかでは見たことないんですが、なんかボンベ持ち歩いてるんです。

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ボンベですよ、ボンベ。中身は窒素ガスで、高圧充填されてます。アメリカの牛を殺す道具らしいのですが、ホースの先端にガスを瞬間的に出すためのガンが付いてて、この高圧窒素ガスで人殺しするわけです。そんなん見たことない(笑)。で、一般人の車強奪するために、パトカー使ったりして偽装して一般人の車を道に停車させ、向こうは警官だと誤解してますから、素直に降りてきて、シガーがニヤニヤしながら「ちょっとじっとしててなー」つってそのガンをその人の額に当てて、ブシュッ!と殺っちゃうw 誰だ?こんな凄い怖い&面白い殺し方考えたのは。つーか、なんも知らん、なんの関係もない一般人殺すんやで。もう完全にホラー(笑)

他にも、ルウェリン・モス追いかけて、モーテルに行くんですけど、その受付の女性(これがまたルックスがすごい)に、客のことは教えへん!と何度も女性がいうのにしつこくしつこく聞くシーンとか(これは殺さない)、雑貨屋の店主に、わけのわからない質問してビビらせて殺すのかなと思ったら、コイントスで運?よく助けてあげたり、と怖いけどスッゲー面白いんです。

もうとにかく、無関係の人間を殺すのを躊躇いもせずやるし、他の殺し屋にシガーが狙われるんですけど、先回りしてあっさり殺してしまうし、強いの何の(笑)。とまぁ、映画全体の雰囲気はかなり格調高く質の高い文芸作品的に仕上げてあるんですけど、シガーのキャラが立ちすぎで、そればっかが面白いっていう、よくもまぁコーエン兄弟、こんな不可思議で妙な映画を作ったものです。

ノーカントリーについてはそれだけです。アントン・シガーだけじゃなく、もちろん映画自体、丁寧に作られていて、面白く見られると思いますよ。うん、名作だという評価は多くの人もしてますからね。アカデミー賞含め賞もたくさん取ってる映画です。


以上、またやります。


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