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第1章<コミットする>人材開発の加速化をビジネスの最優先とする

0.シートベルトをしめよう、今こそ加速するときだ!

即戦力をつけるには、「常に加速し続ける旅」を始める決意を固めなければならない。人材開発の加速化の6つの必須要件は順番があるように見えるが、実際に順番通りに行うことは稀である。経験豊かな組織も、そうでない組織も、独自のスタート地点から旅を始め、それぞれの強みを活かし、自社のビジネス状況の中で最大の見返りが得られる分野を発展させていく。

本コラムでは、人材開発の加速化を持続させ、成果をあげるためのエネルギーやリスク、協力、当事者意識を高める6つの実践的な方法を提供する。完璧な順番はないし、すべての事項をマスターしなければ成功できないわけでもない。あなたが方法を決め、組織のビジネス状況に合った課題を設定するのだ。

われわれは課題を「War for talent」とは考えていない。エネルギーや情熱、リスクを共同負担する力が、あなた自身と組織の成長という共通目的に向けて結集されるときに、戦いは必要ない。こうしたやり方によって、多くのリーダーに即戦力をつけることが可能になるのだ。


人材開発の加速化をビジネスの最優先とする

このコラムでは、「コミットする」という必須要件において、いかに卓越した組織になるかを示す。次のような方法で実践することにより、エネルギーが生まれる。

・より強いフォーカス:最も優先すべき事項(ビジネス・ドライバー)の特定。

・競争力の高いダイナミクス:最高経営幹部が人材開発を加速させるために活用する重要なビジネスレベルの測定データ一覧(ダッシュボード)化。

・説得力のある論拠:リーダーシップのギャップ(リーダーがどれくらい不足しているか)の洗い出しと、ビジネスのどの部分にギャップが存在しているかの明確化。

・成長に対する組織レベルの責任感:具体的な人材開発の加速化の指標に対して、企業レベルと部門レベルの両方が持つ明確なアカウンタビリティ。

・やる気を起こさせるコミュニケーション:組織全体を成長の加速化という目標に向かわせる、前向きなコミュニケーションを可能にする明確な方向性。

2.基本を徹底する~人材開発の加速化に不可欠な要素を定義する

リーダーの能力を伸ばすために積極的にアプローチすること自体は、決して目新しい試みではない。すでに試した、あるいは試行中であるという組織も多いのではないだろうか。世界2,031の組織を対象に DDIが行った最近の調査では、66%の組織が「ハイポテンシャル・リーダーの成長を加速化させるプログラムを導入済みである」と答えた。だが、そのうちの実に74%が、「プログラムはうまく機能していない」とも答えている。これらの組織では、努力も空しく、リーダーの準備度は低いままだった。この傾向が続けば、じきに組織の経営陣は、人事部門が取り入れたプログラムや取り組みを準備度改善の見込みがないリスクの高い投資とみなすようになるだろう。

だが、それは問違いである。まだ少数派ではあるものの、大きな成果をあげている組織もあるのだ。対照研究では、リーダーの人材開発加速化プログラムに関する161の研究のメタ分析によって、適切な取り組みを強化すれば準備度が平均で36%も改善することが判明した。鍵となるのは「適切な取り組み」である。これはどの組織でも同じ取り組みをするという意味ではない。

人材開発の加速化を、すでに世界中で広く使われているプログラムに新たに加わる、単なる新しいプログラムにすぎないと考えるのは問違っている。人材開発の加速化とは、リーダーの成長を加速するという組織をあげての取り組みを指しており、人材開発の加速化の6つの必須要件はそれを実現させるための方策を6つのカテゴリーに分けたものである。人材開発加速化はタレントマネジメント・システムや後継者管理システムに代わるものではない。そういったシステムを活性化して、将来に向けて成長と準備度向上の速度を最大限に引き上げるためのものなのだ。表1.1は、リーダーの成長の促進に利用できる主要なシステムとプロセスを示している。これに目を通せば、人材開発の加速化は型にはまったプログラムでもなければ、料理本のレシピのように1つずつ段階を踏んで進めるものでもないことがわかるだろう。

3.人材開発の加速化とは何か?それはタレントマネジメント・システムにどう組み込まれるのか?

タレントマネジメントとは、ビジネスの目標を達成するために必要な人材を確保することを目的とした組織内のシステムすべてを指す。求人から採用、選抜、業績管理、診断、能力開発、後継者計画、キャリアプランといった、従業員のライフサイクルのあらゆる側面を網羅している。本書では、人材開発の加速化を担う部門や業務を指す言葉として、「タレントマネジメント」と「人事」を同じ意味で使っているが、どちらも必要な人材を獲得、開発、維持するための組織をあげての取り組みを指している。

後継者管理は、タレントマネジメントの中でも特に、重要な役職に就く準備のできているリーダーを安定的に供給することを目的とした取り組みを指す。優れた後継者管理システムがあれば、空いているポジションに、内部の人材を確実にタイミングよく昇進させることができ、そのポジションで実績をあげさせることができる。リーダーが増えれば即戦力もあがる。後継者管理には、主に次の2つの型がある。「後任者計画」と「アクセラレーション・プール方式」である。

後継者計画は、定年退職や転職などで重要な役職――短期問でも空席にしておくことのできない役職――に空きができるとき、その役割を担うことができる経営幹部を特定するプロセスである。後継者管理システムの要素のひとつとして欠かせないものだが、それだけでは、変化の激しい今日のビジネス環境でリーダーに適した人材を十分に用意するには足りない。

アクセラレーション・プール方式は、弊社の既刊書『「AP」方式による次世代リーダーの発掘と集中的育成』(2002年、日本語版は2006年)でテーマとして取り上げている。その中でわれわれは、ハイポテンシャル・リーダーをそのキャリアの早い段階で特定し、経営幹部に求められる一般的な能力(特定の役職や業務ではなく)の獲得に向けて成長を加速化することに重点を置く方法を紹介した。そうすることによって、重要なポストに空きができたときに即戦力としてあとを引き継げるリーダーのプールを作ることが可能だ。アクセラレーション・プール方式は、重要な役職の後任者を確保する一方で、早くから広く網を張って隠れた有能な人材を見つけ出し、複数のタイプの役職に就けるリーダーを多く育てておくことによって、リーダー確保のための機動性・俊敏性を高める。

われわれは後任者計画とアクセラレーション・プール方式を二者択一の選択肢とは考えていない。対象が明確かつ重点的な後任者方式は、一部の役職にとって不可欠なものであるが、それだけでは大半の組織の広い需要には応えられない。効果的な後継者管理システムには、後任者計画とアクセラレーション・プール方式の両方が必要なのだ。

4.おすすめ人材アセスメントソリューション

①コンサルティングソリューション

②オンラインシミュレーションアセスメント&アセスメントシステム

③オンライントレーニング&ディベロップメント

5.DDIとは

DDIは、世界最大手の革新的なリーダーシップ・コンサルティング企業です。1970年の設立以来、この分野の先駆者として、リーダーのアセスメントや能力開発を専門としてきました。顧客の多くは、『フォーチュン500』に名を連ねる世界有数の多国籍企業や、『働きがいのある会社ベスト100』に選ばれている世界の優良企業です。

DDIでは、組織全体におよぶリーダーの採用、昇進昇格、能力開発手法に変革をもたらす支援をすることで、すべての階層において事業戦略を理解し、実行し、困難な課題に対処できるリーダーの輩出に貢献しています。

DDIのサービスは、現地事務所や提携先を通じて、多言語で93カ国に提供されています。また、同社の研究開発投資は業界平均の2倍であり、長年にわたる実績と科学的根拠に基づいた最新の手法を駆使して、組織の課題を解決しています。

◆DDI社の4つの専門分野

DDI社は、4つの専門分野を中心に、長年の実績と科学的根拠に裏付けられたソリューションと、より深い洞察を提供し、優れた成果を生み出しています。

6.会社概要

会社名:株式会社マネジメントサービスセンター
創業:1966(昭和41)年9月
資本金:1億円 (令和 2年12月31日)
事業内容:人材開発コンサルティング・人材アセスメント

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