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読書三十六計

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有名・無名問わず本や文学にまつわるあれこれ。 強引に五文で仕留めます!
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記事一覧

戸板康二「等々力座殺人事件』

取り上げるのが二冊目になる戸板康二の中村雅楽シリーズは、河出文庫より先日刊行された短編集…

Masanao Kata
5か月前

加多 正直 電子詩集三作

私事で恐縮ですが、今年の一月より三ヶ月連続で10篇にも満たない小さな電子詩集を刊行させまし…

Masanao Kata
1年前
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門井慶喜『定価のない本』

世界屈指の古書店街 神田神保町。 戦後間もない時代、この本の街を舞台に一人の古書店主が商売…

Masanao Kata
1年前
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鯨 統一郎『月に吠えろ! ・萩原朔太郎の事件簿・』

先日、宮内悠介さんが明治時代に耽美主義の芸術家が集まった「パンの会」をミステリーに仕上げ…

Masanao Kata
2年前
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吉原幸子『吉原幸子詩集』『続・吉原幸子詩集』

先日、思潮社の現代詩文庫『吉原幸子詩集』『続・吉原幸子詩集』が重版されたということで、御…

Masanao Kata
2年前
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八島 游舷『天駆せよ法勝寺』

つい読み返したくなる短編小説があるものだ。 第9回創元SF短編賞を受賞したこの作品は、この一…

Masanao Kata
3年前
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田村隆一『言葉のない世界』復刊版

オリジナルを以前に取り上げているので、 https://note.com/msnokata2027/n/n89c402a9de43?magazine_key=md6061671e177 ここで4月14日刊行の復刊までを取り上げるつもりは本来なかったが、どうにも我慢ならない。 この1962年刊行の戦後詩における伝説の詩集は、水戸部功の新たなデザインにより59年の月日を経て復刊を果たし、古さとは無縁の姿で再び世に放たれた。 さらに今回、この詩集にはサニーデイ・サービスの曽我部

関取 花『どすこいな日々』

シンガーソングライターの関取花さんは、ライブのMCにも定評があるし、またラジオパーソナリテ…

Masanao Kata
3年前
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R.D.レイン『好き?好き?大好き?』

イギリスの精神科医R.D.レインが1970年代に書いた詩集は、みすず書房より二冊刊行されていた。…

Masanao Kata
3年前
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生島治郎『浪漫疾風録』

海外の優れたミステリー小説を紹介するEQMM(エラリー・クイーンズ・ミステリ・マガジン)日本…

Masanao Kata
3年前
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『芥川龍之介全集』第8巻

言わずも知れた文豪 芥川龍之介が詩を書いているというのに、この範疇はいささか認知が低い。 …

Masanao Kata
3年前
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橋口幸子『こんこん狐に誘われて 田村隆一さんのこと』

戦後から現代にかけた20世紀の詩人 田村隆一は稀代の天才である。 そして私にとっては詩の神様…

Masanao Kata
3年前
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銀色夏生『宵街歩行』

ここでも取り上げた音楽プロデューサー木﨑賢治さんの著書『プロデュースの基本』の中にその名…

Masanao Kata
3年前

深谷かほる『夜廻り猫(7)』

今更ながら取り上げる作品でもないのだが、Twitterで発表された8コマまんが単行本化された『夜廻り猫』は、KADOKAWAを経て講談社で仕切り直され、先月には七巻目の刊行に至った。 頭に缶詰を乗せ、どてらを羽織って涙の匂いを嗅ぎ付ける夜廻り猫こと遠藤平蔵が主人公。 遠藤の相棒となる片目の子猫重郎や個性豊か(過ぎw)な仲間たちが顔で笑って心で泣いてる人々に夜な夜な寄り添う物語だ。 抗い切れない運命を懸命に活きる人々の姿、野良猫として逞しく生きる遠藤たちの姿は悲しいくらいに美し