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関取 花『どすこいな日々』

シンガーソングライターの関取花さんは、ライブのMCにも定評があるし、またラジオパーソナリティーを務められているだけあって話の組み立てが上手く、文豪 佐藤春夫が「文章は話すように書け」と言っていたことを思い出す。
この本は、blogや連載される各所から集められたエッセイで、花さんの等身大の気取らない人柄が楽曲同様に聴き入るように読めて、本のコンセプトである「生活用品のようなエッセイ」が見事にハマってくる。
エッセイ(随筆)は古くの『枕草子』や『方丈記』もそうだが、内容のあるような無いような微妙で奇妙な狭間を遊ぶものなので、そこは書き手の芯が結構問われる。
強いて残念な点は、メジャーデビュー前のものが多い本の前半はミュージシャンっぽさのない日常ネタ、デビュー後が多い本の後半になると急に仕事絡みの話題が多くなって、決して全体的に時系列でまとめられていないはずなのに構成のバランスが偏ってしまった印象が残り、そこはもっと散らしても良かったかもと思う。
人間味が滲み出て好感しかないような一冊なのだが、それ以上にご家族のエピソードがどれも素敵なので、この環境にしてこの人ありなんだなと心温まった。



関取花さん初エッセイ集「どすこいな日々」インタビュー 音楽活動の合間の喜怒哀楽たっぷりな日常|好書好日 https://book.asahi.com/article/13996715

関取 花『どすこいな日々』晶文社
https://www.amazon.co.jp/dp/4794971990/ref=cm_sw_r_cp_apa_i_VDQ8D65CG5MZK10XGNFQ


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