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その11:万年筆の夢

皆さん、夜の眠りで見る夢に万年筆が出てきたことはありますか?
私はまだまだ精進が足りないせいか、未だ万年筆が夢に出てきたことはありません。
古くから夢占いというものがあります。その諸説はまちまちで、一体どれを信じるべきかというのは人それぞれに拠るところでしょうか。ですが、大抵の場合だと万年筆が現れる夢というのは悪くはない。基本的にコミュニケーションツールの象徴とされ、吉報の暗示を指すそうです。
しかし、タロットカードがひっくり返ると意味を真逆に捉えるように、その万年筆が綺麗か汚い(壊れている)かで意味も変わる。壊れたり汚れていたりすれば、コミュニケーションの不調の暗示となるらしい。
遡ること我が駄文その七では、締めの蛇足で「ドイツ語で万年筆を指す名詞は、男性名詞。万年筆の性別を問うなら男性」などと書きました。実は、夢占いでもペンや万年筆は力強い男性の象徴とされています。ある一つの面では、万年筆をもてあそぶ夢は性的欲求の高まりを表すという話もあるのだとか。
そこで思い出したのが、澁澤龍彦のエッセイ。文春文庫『快楽主義の哲学』の中で、フロイトの『夢診断』の話があった。
そこだと万年筆の話ではない。フロイトによればネクタイは男性器の象徴だという話だった。ネクタイはぶらりと首に垂れ下がり、男性だけが身に付けているからそれなのだとか。従ってネクタイを買う夢を見ると自分に不満がある証拠なのだと澁澤龍彦は書く。ネクタイをたくさん持っている友達に「きみはそうとうな不満の持ち主なんだね」と知的な嫌がらせが出来るのだと薦めてもいた。
いやはや、今回は品のない話で申し訳ない。もし万年筆もそれと同じ男性の象徴だとしたら、これはちょっと恥ずかしい。私も十数本所持しているし、大きい万年筆も小さな万年筆も持っているじゃないか。
誌面を汚す下品な話題に進んでしまったものの、夢占いと一概に言っても何の根拠もあるようでない統計学だ。ただ知らないだけかもしれないが、かのフロイト以降で精度の高い検証がされたとも思えない。なので、ここは酔狂な暇潰しと笑っていただきたい。
皆さんには、ピカピカの万年筆で大事な人に手紙をしたためる夢など見ていただければ幸いです。

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