詩152「メテオの邂逅」

「メテオの邂逅」

その契りは真夜中に起こる
創作の神と偽って飛来する酩酊のメテオ
言葉には三神が宿るというが
踊る文字はさながら呪文か魔法陣と化し
たちまち言葉が熱を帯びて送り出す
有無を言わせぬ契約は創造の深みへと魂を突き落として
それを灼熱の温度まで高めてしまうだろう
今まさに月に冴える深夜の創作は疾走した
まだ見ぬ失われた創造性を探し出すかのような快感こそが
我々を陥れようと目論む牧神かサテュロスの罠である 静かな夜に切り拓かれた創造の幻野はどこまでも広くて美しいが
そこに緩やかな風は吹いているのだろうか
この驚異的な狂気の憑依には騙されてはいけない
だが魂を切り売ってでも渾身の一作を遺すという栄誉には代え難く
真夜中の創作には神が宿ると信じられている
最後の句点に宿るが神か悪魔かは知る由もないが
傍らの一冊の本こそ
傷だらけの魂が紡いだ星屑 だったら尊くて嬉しい


Masanao Kata©️ 2024
Anywhere Zero Publication©️ 2024

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