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風をあつめて 【うみべの女の子】

いつも描かれる甘酸っぱい青春とは真逆の
リアルで生々しくて ある意味通俗的な青春。

無意識に傷つけ、傷つけられて逃げ道を探しながら
性と恋に翻弄されていく中学二年生の2人。


三崎先輩に「小梅」としてではなく「女」として
利用されたことにトラウマを抱えて

「小梅」として好きになってくれた磯辺に逃げる。

なんでもよかった、暇つぶしだし と言う小梅に対して
都合のいいおもちゃでいいやと返す磯辺。

その関係がだんだんと逆転していく過程が
悲しかった。



磯辺は
寝ている小梅に対して、
「キスしてくれたら全部忘れる」という小梅に対して、
1回もしなかった。

 どこかの選択が違っていたら、
ラストシーンのカップルのように
海でキスをしていたんだと思う。

「愛のあるセックスなんて幻想なんだよ、」
と言い放つ磯辺にとって
キスは心を通じて愛し合うツールだったのだろうか。



小梅は磯辺に変わって欲しくなかった。
心の中を知りたい、何に苦しめられているのか、
磯辺が悩んでいる時はずっと一緒に居れるから。

だからヘラヘラしながら私の元に現れた磯辺は
知ってる磯辺じゃなくて、離れていきそうで、
ショックだった。


ねぇ磯辺、
してもしてもなにか足りない気がするのは
どうしてだと思う?

恋や愛に触れようとする度
あとちょっとのところで指の間をすり抜ける。
やっぱり小梅は身勝手だけれど
誰かに愛されていたかったんだな。
磯辺からの愛がないから。何か足りない。

悲しいよ、何が悲しいって
佐藤はいつか今日のことなんかしれっと忘れて、
それなりの男を普通に好きになって
まるで初めてみたいなセックスするんだ。
結局お前は、自分勝手なんだよ。

小梅への執着を感じるセリフだけど
多分 自身の気持ちを呆気なく裏切られるような行動に
トラウマを感じているのだと思う。

先立ってしまった兄
「磯辺に会いに来たんだよ」と寄り添ってくれる小梅

信じたいけれど結局 忘れて居なくなってしまうんだろう
だから自ら 小梅から離れていったんだなあ。


関係を続けたくなかった。1回もキスしなかった。


でも、「キスしてくれたら忘れるから。」
って言う小梅にしなかったのは 
自分のこと忘れて欲しくなかったんだと思う。
磯辺の覚悟の中のすこしのワガママ。



鹿島から「兄貴」
っていうフレーズが出てきた瞬間の唇の震えとか
胸ぐらを掴む時の目、その後の脱力した目、
「やっぱ返してよ」ってねだる目、
「もしかしてヤキモチ?」って笑う目、
1回1回の行為の表情も違って、
青木柚くんの演技が素晴らしいな・・・

石川瑠華さんの泣き顔も
「そんなことばっか言ってバカみたい、」って言う
もどかしい表情も中学生らしい言動も最高にハマってた


「風をあつめて」がめちゃくちゃ良くて
聴いてる時だけは私の中で
小梅と磯辺が生きているような気がしてずっと聴いてる


台風のシーンも良かったな、
土砂降りの中 涙が頬を伝うシーンが良い

前半は乗らないけど後半 入り込める映画だったな〜

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