見出し画像

【読書感想文】アホウドリの糞でできた国

サンゴ礁に集まってきたアホウドリの糞が堆積して島となったと言われている国がある。その国は太平洋の赤道の付近に浮かぶ島である。21㎢と東京都品川区よりも小さい国土面積を持っている。その国の名は「ナウル共和国」。

ナウル共和国の位置


ナウル共和国独立まで

ナウル共和国はアメリカをも超えてしまう大金持ち国家になってしまいます。それまでには苦難の歴史がありました。ナウル人はココナッツを採ったり漁に出たりして自給自足の暮らしを送っていました。

 しかし、ヨーロッパの人々が来るとその生活は激減しました。ヨーロッパ人はアホウドリの糞が燐鉱石という質の良い科学肥料になる貴重な資源になることに目をつけてナウル共和国から搾取していました。

燐鉱石

 そんな中、第一次世界大戦が起きます。すると、オーストラリア軍が占領しにやってきました。しかし、知らないうちに戦争が終わっており、国際連盟がオーストラリア、ニュージーランド、イギリスで共同で統治することを決めました。

 第二次世界大戦では日本軍がこの島を占領します。ナウル人は理不尽な条件で労働者になったり本人たちは戦争に参加している自覚がない中で世界大戦に参加したりしていました。

 戦争が終わった押しである1945年の翌年の1946年の1月31日にナウル人は戦争から帰ってきます。その日はナウルの祝日になっています。国際連盟から国際連合に変わっていき、国際連合はナウルの所有国をオーストラリア、ニュージーランド、イギリスの三国ということにきめました。しかし、ナウルの人たちは独立してもいいと思い、1968年に「ナウル共和国」は独立しました。
 

ナウル共和国の国旗

世界で最も豊かな国


燐鉱石はナウル国民のものなり、ナウル政府はお金のやり取りの仕組みを作りました。ナウル燐鉱公社が採掘や輸出のすべてを行い、それで儲けたお金は半分が国家予算にもう半分は地方政府評議会が貰いました。

 評議会は採掘法の土地の所有者に平等に分配したため、ほとんどが土地の所有者であるナウル人は大賛成でした。この島は掘ればどこからでも燐鉱石が出てくるため、国民の生活や経済は潤っていきます。

 そのため、ナウル共和国は税金はなく、教育や病院、電気代などもタダです。また、厳しい採掘作業は出稼ぎ労働者に任せればいいので働かなくなってしまいました。しかし、中東の国とは違い貧富の差はありません。その代わりに、王族のような暮らしはできませんが日本のごく普通の家庭ぐらいの生活は働かずにすることができます。独立から1980年代にかけてナウルは「世界で最も豊かな国」と言われました。

ナウル共和国

 しかし、住民たちは肥満していくがミクロネシア系の人々はもともと「太っているほうがかっこいい」という文化があるので誰も気にしませんでした。

ナウル共和国の告げられた真実

そして、そんなある日、ナウルの燐鉱石は20世紀中に枯渇するという調査の結果が出たのです。このことは薄々分かっていたのですが深刻に考えていませんでした。採掘量を減らし、残り少ない資源を節約しようと試みましたが、それでもなくなってしまいそうです。国民は一度覚えてしまった生活をなかなか捨てることができません。することなすことはことごとく失敗に終わります。
 
 そして、国籍の販売という驚くべき作戦を決行します。2万5000米ドル(2022年12月18日現在は1米ドル=136.72円なので日本円にすると341万8000円)と簡単な面接だけでパスポートが取得できてしまいます。

 もう1つの戦略としてインターネットを使ったナウル銀行を立ち上げます。この国には税金がないので税金対策したいお金持ちには好都合なので物凄く繁盛します。他にも、国籍まで取れてしまうのでブラックな事情を抱える人やワケあり資金を隠したい人にも大好評でした。

ナウル共和国のどん底


2001年9月11日にアメリカで同時多発テロが起こりました。このことをきっかけに世界中が協力してテロリストに対する引き締めを強化します。「テロリスト資金洗浄の温床」とアメリカに名指しされたナウル銀行は崩壊しました。そして、国家財政は悪化して、労働者へ給料を払うことができなくなり、多くの外国人が去っていきました。

同時多発テロ事件

 オーストラリアはアフガニスタンからの難民が多かったため、2002年5月までオーストラリアにいるアフガニスタンからの難民を受け入れたら、3000万豪ドル(2022年12月18日現在は1豪ドル=91.81円なので日本円にすると27億5430万円)貰える提案に乗りました。しかし、期限が切れた後もオーストラリア政府は引き取りませんでした。そして、イラクからも難民が来たこともありナウルの総人口1万2088人の半分しかナウル人はいませんでした。
 
 燐鉱石はほとんど残っていないのに、解決策はなく難民が増えました。そして、観光ビザの発給が停まり唯一の入国手段であるナウル航空の営業が停止してしまい、ナウルは青い海の真ん中に孤立しました。

ナウル共和国

 2003年1月に2つの声明を発表しますが、それぞれの大統領の名前が異なります。何か事情があり大統領が2人いるのかクーデターなのかミスなのか入国することができないので誰にも分りませんでした。
 
 2月になると連絡がつかなくなったが、やがて本物だと思われる大統領からSOSが発信されて救援チームが送られます。3月には連絡手段が回復しました。しかし、救援部隊がついたころには大統領府が焼けてしまっていました。いまだに原因は不明です。

 ナウルは国を立て直そうとナウル議会を設立しますが、まともに管理のできない政府に難民たちは腹を立ててストライキをしました。そして、ナウル燐鉱公社の労働者たちも賃金がストップされていたためストライキを起こします。
 
 国際連合もナウルに対して怒りを示し医療チームをナウルに送り込みます。ストライキを起こして暴れた難民たちを逮捕してみると、弁護士がやってきます。

 そんな状況下でナウルはどちらも海に囲まれているからと理由だけでアイスランドと国交話結んだり、ヨーロッパなどの西側諸国と仲がいいが旧ソ連と外交関係を樹立したり、中国政府からの援助を受けるために長年仲の良かった台湾政府と断交したりします。つまり、ナウルの外交は独特なのです。

 2004年4月、5月5日までにアメリカの金融会社から大量のお金を返せと言われましたがもちろん返済はできません。オーストラリア政府が足りない分は貸してくれたので破産のピンチは脱します。

 300人ほど残っていた難民がナウル政府に対して裁判を起こしますが、裁判になったら負けてしまうので、裁判にしないために弁護士団の入国ビザを取り下げました。しかし、こんなことは当然許され愛のでオーストラリア政府はナウルにいる難民をすべて受け入れました。

 

これからのナウル共和国 

しかし、ナウルもこのままではいけないのでバタバタしつつも、「オーストラリア政府主導のもと、財政再建に向かって進む」ということを決めました。 

 アホウドリの糞でできた国の人々は豊かな暮らしをおぼえた代わりに畑や文化などの多くのものを失った。しかし、手に入れた分と捨ててしまったぶんのどちらのほうが多いのかはナウルの人々が決めることでしょう。

 ナウル共和国のくろどぅマール元大統領は19997年2月に来日しています。「この会議が失敗すれば、我が国は海に沈む」これは地球温暖化防止京都会議での彼の発言です。もう1つ、とてつもなく大きな危機がナウルには迫ってきているのです。

ここまでの記事を書いて

 自分はこの本は30分ぐらいで読み終わった。なので、いつもは一部を要約や抜粋しているのだが、すべてを少しずつ削っていけばちょうどいいぐらいだと思っていたのだが、なんと3000文字になってしまった。これを読んで短いと感じるか長いと感じるかは人それぞれだとは思うが自分は結構神経を使った。一応長いと感じさせないために所々画像を入れ込んだ。

 自分はこの本を読んで「そんな国もあるのだな~」とまるでフィクションの話をされているかように感じた。しかし、ナウル共和国という国は本当にある(らしい)。自分はこの国に対して今すぐに何かできるわけではないが、知っておくだけでこの本を読んだ価値はあると思う。

最後にここまで読んでくださりありがとうございます。いいねを押していただくと自分が笑顔になります。シェアやサポート、引用をしていただくと踊りだします。フォローをしていただくと嬉しすぎて宇宙に飛び出します。(何を言っているのだ自分は(笑))

この記事が参加している募集

読書感想文

記事が少しでもいいなと思ったらサポートよろしくお願いします。