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山便り (26)

カモシカの分布

 最近、カモシカをよく見かけるようになった。私の山を縄張りにしているカモシカは五メーター位の所に近づいても逃げることはない。そのくらい馴染みになっている。


 近づいても、警戒する様子もなく「暇人が今日も俺の縄張りを荒らしに来たか」とでも言いたそうな顔でこちらを見る。カモシカを目撃するエリアは今までは横山から山までの中間あたりまでだったが、今日は国道152号線の舟明のトンネルで遭遇した。トンネルの明るい出口近くの反対車線歩道上に大きな犬が歩いていると思ったが、近づくとカモシカであることが分った。トンネルを抜けたところで路肩に車を止めカメラを持ってトンネル内に入っていった。すると車線に出て左後ろ足を引きずりながら奥のほうへ行こうとする。トンネルはカーブしていて見通しが悪いのでこのままではカモシカは車に撥ねられてしまう。早くトンネルから出さねばと手を広げて追うようなしぐさをしても反対車線なので一向に通じない。私が反対車線に渡ろうとすれば私が車に轢かれてしまう。奥から車が来ると入口の方へ、入口の方から車が来ると奥の方へ逃げる。来る車に私は手を大きく振って注意を促し、カモシカが出口まで到達するまでの時間はかなり長く感じた。トンネルから出たカモシカは道路側面の崖状態が切れるまで後足を引きずりながらトボトボ歩き山に消えた。カモシカの分布図はどんどん塗り替えられつつあると感じた。

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