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山便り (10)

茶道具作り

 娘たちが父の日のプレゼントだと明珍火箸を贈ってきた。山で野点をやることを聞きつけての贈り物だ。二本の箸が触れ合うと「チーン」という高音の涼しげで絶妙な音を発する。大学時代にも茶道をやっていた長女が「これを見えないような少々離れたもみじの枝に吊り下げておいたらどうか」という。実際に枝に吊り下げてみたら、明珍火箸は鉄で出来ているので、その重みで枝は垂れ下がってしまい、風が吹いても一向に鳴ろうとしない。色々工夫してみたが、結局一方の箸に短冊をつけることにした。短冊には「涼風颯々」と書くことにした。野点だから野趣に富む会場にしようと色々頭を捻っている。茶会の雰囲気は出したい。手前座の位置が分かるようにするため、まず挑戦したのが風炉先屏風だ。梅透しは、梅の花弁に見立てた5つ穴を開ける。穴と穴の間は5 ~ 6 mmだから板目の場所によってはその間がちょっとしたことで抜けてしまう。後でその苦労を話したら、ドリルの刃先のネジ山を潰したらどうか、ホールピットを使ったらどうか、とのアドバイスを頂いた。塗料は柿渋を使った。年代もののように見える。

 風炉は普通、鉄製、陶製であるが、丸太の芯の部分をくり貫き、内側に銅板を張った。乾燥してきたら割れ目が大きくなってきたので、銅線を巻いた。この後、柿渋を塗ろうと思っている。
 この後、台子、茶杓、花器、蓋置きに挑戦するつもりだ。


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