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山便り (15)

蜘蛛の巣、見ーつけた

 冬、葉を落としたモミジの木は、寒そうにじっと春のくるのを待っている。見ても何も面白くもない木だが、細い枝に、たくさんの蜘蛛の巣が張っていることが分かった。

 三月中旬、そろそろ春らしい陽気になってもらいたいものだと思いながら、まだまだ寒い山に出かけた。囲炉裏で炭火をおこし、サックスを吹いていると、白いものがチラチラ舞い降りてきた。その雪が木々に張っている蜘蛛巣に引っかかり蜘蛛の巣の在り処かと形状を教えてくれた。多分、もっと降り積もれば、その重みで蜘蛛の巣は壊れてしまうだろう。手ごろな雪質と量だった結果、思いがけずに蜘蛛の巣を発見することができた。

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