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山便り (31)

秋の終わり、冬の始まり

 山の秋と言えば、紅葉が決まり文句だ。だが我が山は十二月に入らないと紅葉の盛りとはならない。だから我が山では紅葉は冬の始まりの代名詞だ。私のお気に入りの場所に立つモミジの木は少し紅葉したかなと思っているうちに10日も持たずに落葉してしまう。だから紅葉を楽しむのではなく、一面に敷き詰められた落ち葉の風情を楽しんでいる。紅葉が楽しめるのはキウイフルーツの木だ。山肌を赤く染める木にウルシの木があるが、かぶれると嫌なので生えても切ってしまう。昨年ナナカマドの木を緑化木センターから買ってきて植えた。今年は少し楽しめるかなと期待したが、全く紅葉せず葉を落としてしまった。もう少し大きくなったら紅葉するかもしれないと諦めずに来年に期待している。

 我が山は「天竜美林」の一角である。遠くから山々を眺めれば葉を落とした枝ばかりの広葉樹林より、冬でも青々した山々の方が美しいかもしれないが、杉の山に入ると「落葉」ではなく「落枝」である。
 木枯らしが吹き始めると道路一面枯れ枝が散在して車の通るのを妨害する。冬の始まりは、道路掃除の始まりでもある。

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