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『短編』カルマ

業なのか
行為なのか
宿命なのか

パッと浮かんだ言葉がカルマ。

前世なんて信じないし、来世だって信じない。
あるのは「今この瞬間だけ」って知っていてほしい。

人間がなぜ存在しているのかとか、地球が今まじやばいとか、そんなこともどうでもいい瑣末な問題。

深く椅子に座って空想する私は、いつも何かに追われていて、そんな時に思うことはいつも歴史上の人物はどんな生活をしていたのかとか、もし、その人たちが現在に存在していたら、もし、私のお友達だったならどんなに心強いのだろうだとかを考える。

そう、私には友達がいないから、妄想、空想が寄り添ってくれる。
誰にも理解されない、理解してもらおうとは思わない。
そうやって壁を作って生活していても、その壁を飛び越えてくる人がいる。

学校で、授業中に襟足を伸ばして音楽をこっそり聴いていると、彼は私に話しかけてくる。
「なあ、いつも何聴いてんの?」

私は音楽を聴いているから聞こえないフリ。
でもキラキラした目を私の心に写してくるものだから、我慢が耐えなくて、答える。
「音楽を聴いているわ。」

「そんなのわかってるよ、あれだろ、その目はなんだって先生に怒られたら普通の目ですとか答える捻くれた奴だろお前。」

「捻くれただねんてやめてよね、私は地面に直立しているのだから、捻くれた人間なんて存在しないのよ。」

「へえ。」

それっきり彼は話しかけてこなくなって、なんだいつものことかくらいに私は日常に戻って空想する。
あの人だったらなんて回答をするかしら。
いや、あの人は、いや、あの人は。

「おい、お前、これ聴いてるだろ。」

「え、なんでわかるの?」

「俺、超能力者だから」

彼はライブハウスでアルバイトをしていて、彼女がそのバンドのライヴに来ていた時にチケットを販売していた。

「え、あ、」

妄想、空想。
私の脳裏が他人に見られていることなんてないはず。
だって、それは私だけのものだし、そんなことはないはず。

「で、どうなんだ?図星だろ?」

「いや違う。」

「恥ずかしがるなよ」

「違うわよ。」

「わかった。」

じゃあこれだろ。


よろぴく!