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塾講師3年目の理系大学生がが考える「学ぶ理由」

自分は今年で塾講師歴3年目となり受験生の入試を3回経験した。授業をしてきた生徒は60人を超え、様々な生徒、その保護者と話してきた。

生徒は一人一人とても個性があるが、面白いことに保護者は誰しも同じようなことを言う。

「うちの子は家では全く勉強しない。
将来いい企業に就き豊かな生活を送るためには頭のいい高校・大学に入学する必要がある。
だからうちの子を勉強ができる子にして下さい。」

9割の保護者はこのようなことを言い、子どもを塾に入れる。しかしこれを聞いても子どもは勉強をやる気にならないだろう。

もっと具体的で理解しやすい「勉強をするべき理由」を学ぶ側の学生は知るべきである。

今回は勉強をする意味について自分が思う所を述べていく。

「学べる」という贅沢

まず大前提として、日本の教育は世界的に見てとてもレベルが高い。

2022年に世界81カ国を対象に行われた国際学力調査において、日本は「読解力」「数学的リテラシー」「科学的リテラシー」の3分野全てでTOP5に入っており、いずれも世界トップレベルである。

これは先進国として経済的な安定と、9年間の義務教育によるものだと考える。

しかし、世界には学校に行きたくても行けない、勉強したくてもできない人々が大勢いる。

この現状はSDGsの4つめの目標「質の高い教育をみんなに」が設定されるほど世界的な問題である。

それに加えて日本国内でも経済格差や地域格差がそのまま教育格差に直結している。

自分の周りにも経済的理由で志望した大学に進めなかった人が何人もいる。

「学ぶ」ということは世界の恵まれた上位層に与えられた贅沢な権利なのである。

残念ながら、日本に住んでいる以上それを実感することはほとんどない。だから日本の学生には今一度「勉強ができる幸せ」というものを理解して欲しいと思う。

今君が生活できるのは誰かが必死に勉強したおかげ

勉強をする理由が分からないという中高生はとても多い。

「いい大学に合格するため」と言ってもそれは勉強の本来の意味を捉えていないし、大学に行く予定がない人は勉強しなくてもよいことになってしまう。

そこで自分はこのような回答を持っている。
「今君が何不自由なく生活できるのは、誰かが必死に勉強し、他の誰かのためにと日本を豊かにしてくれたおかげ。その恩恵を受けている以上、最低限彼らの努力を学ぶ義務が僕らにはある。だから勉強しなくてはならない。」
と生徒には言っている。

これは自分が大学の講義を受けて思ったことで、中学と高校で習ったことは間違いなく実社会に必要であると気付かされたのだ。

微分積分が分からなければ構造解析はできないし、津波の被害予測もできない。

運動方程式や波動が分からなければ耐震設計ができず、多くの人が危険に晒される。

偏微分方程式が分からなければ地盤沈下や地震に対応することができず、後出し対策しかできなくなる。

大学レベルの内容じゃなくていい。
今まで学んできた人々によって守られてる身として、自分が今勉強していることが、今の自分の生活を支えてくれている事を理解するべきである。


学ぶことは人生を豊かにすること

学ぶことの最たる理由はまさにこれだろう。

日々知識を蓄えていくことで、1人の人間としての価値が上がり、人生を豊かにしていくのだ。

自分は偏差値50の高校から大学に入学し、まず驚いたのが同級生の頭の良さである。

自分の大学の学生は高校偏差値60~72がボリュームゾーンであり、同級生との会話やグループワークから感じ取れる頭の良さや知識の幅広さにいつも感心してしまう。

このように学びや教養は人に伝わる。
それは間違いなくポジティブなイメージとなって自己を高め、人からの信頼に直結するのだ。

実際に彼らの話が面白いか、彼らが幸せかどうかはさておき、彼らは常に貪欲に学び、やりたいことに挑戦し続ける。それこそが人生の楽しみであり、生きる意味なのではないかと思う。

「まずは自分が興味を持てる分野から毎日少しずつ勉強してみよう。それができるようになったら苦手な教科も取り組んでみよう。
ワーク1冊終わる頃には全く違った考え方や感性を持てるかもしれない。」

少し大袈裟だが、中1や中2の生徒に言うと意外と効果があったりする。


いい大学に入ったら大企業に就けて高収入になれるほど世の中は甘くない。

しかし学べる事に感謝し、自ら進んで勉強できる人間は他の人にもその高い教養が伝わり、人生に間違いなくいい影響をもたらす。

今は入試のための勉強かもしれないが、いつの日か世の中の仕組みを知るための勉強ができるようになると、人生は大きく進歩するだろう。

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