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思い出のお仕事②たまごクラブ読者からイラストレーターになる編

海外ドラマが大好きです。
ひと通り完結しかけて、次のシーズンに続き、終わると思ったらそのまた次のシーズンに続いていくのがたまらなくうれしいのです。

今、自分は人生のシーズン3を生きている、と考えるようになったこの頃。
シーズン1はこの世に生まれ、保護者に守られて生きていた年月。
今回のnoteでは、思いがけず、愛すべき守るべき者たちに出会ってしまった人生シーズン2の思い出をお伝えします。



イラストレーターになった日


勤めていた文具メーカーを退職し、細々とフリーのイラストレーターをしていた宙ぶらりんな頃でした。
かつて「人類が地球環境を破壊してるんだから、もう人口は増やさない方がいいと思う!」と、変な方向に盛り上がっていたような高校生だった私の独自路線は、時代の大波にあっけなく呑まれ、自分のしていた想像よりかなり早く子どもを授ります。

切迫流産で静養することになってしまい時間がたっぷりあったので、マタニティ雑誌のまんが大賞に応募してみたところ、思いがけなく賞をいただきイラストレーターとしてデビューすることに。
うれしかったし、すごいことなのに、それよりも自分のお腹にいる小さな小さな子のことが気になっていたせいか、淡々とした記憶になっているのが不思議です。

1人目ベビーが生まれて数ヵ月たった頃から、雑誌でたくさんカットを描かせてもらい、2年後には見開きオールカラー!で半年間のコミックエッセイ的な連載をさせていただきました。
1年8ヵ月違いで2人目が生まれたときだったので、年子ちゃんのお話でした。
読者さんからお便りをいただいたり、ほかの雑誌からもお仕事の依頼があったり、最もイラストレーターらしい活動をしていたのは確かです。

けれど、その頃の強烈な記憶は、経験したことのない、完全無欠なる「完璧な両想い」です。
大好きなママを全身全霊で求める小さき弱きベビーを、ママもこの上なく本気で大好きで大切で守りたくて。
イラストレーターになる夢がかなったことがかすむくらい、ママであることは大事件だったのでした。


3人目ちゃんがやって来た


今年、30周年を迎えた雑誌「たまごクラブ」には、足かけ10年近くお世話になりました。
2人目ベビーが生まれたときに届いた大きなフラワーアレンジメントは編集部からのもので、いつもあたたかくリードしてもらっていた雰囲気そのままの、明るくやさしいピンク色の花でした。

上の子が3歳と2歳のとき、3人目ちゃんが生まれました。
年子ちゃんや双子ちゃん、3人きょうだいのママである方なら、これがどれだけの大騒動かおわかりになると思います。
人相と、多少人格までも変わってしまうくらいのピンチな毎日、とでも言いましょうか。

しかし、大変ありがたいことに、その数年後、再び雑誌にて見開きで半年間の連載をさせていただきました。3人目ちゃんのお話でした。
2色印刷でしたが、文具メーカー時代の配色の勘が役立ったのか、思った通りの色味で印刷してもらって、2回目の作品の方が気に入っています。

本当に久しぶりに、お問い合わせフォームから編集部に連絡をとり、noteに載せるOKをいただきましたので、少し時間をさかのぼって3人目ちゃんの出産エピソードの一部をどうぞ。

3人目ちゃん誕生!

見づらい縮小版ですみません。
続きまして、入院中のエピソードを少し。

とにかく、かわいいのです。

退院してから、3人きょうだいのママとしての生活はそれはそれは大変で‥‥

大変だけど、インポッシブル!と思ってもがんばるしかないのです。それがミッションだったから。

こちらは最終回の一部。
ノンフィクションです。

ママも自分をいたわってほしいです。

24時間365日、ほぼ全ての時間を3人きょうだいのママとして過ごした人生シーズン2の日々を、自由に思いのままに描かせていただいたこのお仕事は、懐かしく大切なあたたかい思い出です。


子どもは通り過ぎていくもの


子どもが生まれたら、誰かの子どもでしかなかった自分も、親になります。
かといって、育児の何が正しいのか、どうすればいいのかなんてそうそう答は見つかりません。
「子育て」といいますが、必死でごはんをあげていたらいつのまにか育っていた、という感覚でした。

お腹につまめるくらいの小さな生命が現れ、大きくなっていくさまは、自分の中にまるで宇宙があるかのような未知の体験でした。
10ヵ月一心同体で過ごしたのち、この世に誕生した瞬間から、自分と子どもは当然のことながら別々の人間になります。
親と子も、家族も、友人も、仕事仲間も、全て人と人の関係であり、親子だからといって必ずしも相性抜群の仲よしになれると決まっている訳ではありません。

3人の子どもたちとはそれぞれ、できる限り全力の愛をもって一緒に過ごしていましたが、こんな自分が親でよかったのか?と反省会をしてばかりでした。

みんなすっかり大きくなりました。
ママとべったり仲よしだった子ほど反抗期が激しい、とどこかで読んで慰められていた頃もありました。ママひと筋であんなにかわいかったのに。
もちろん今も大好きだし、いつも気にしてるよ、と伝えているつもりです。
毎日毎日、あんなに近くにいた子どもたちは、私の身体と時間を通り過ぎていきました。

そして、自分だけで過ごせる時間が増えたことにふと気づいたとき、私のシーズン3が始まったのだ、とはっきり感じたのでした。

せっかくなので初連載のひとコマも載せておきます。力みが感じられてちょっと恥ずかしいのですが。

子どもは生きててくれるだけでしあわせ。


少子化と騒がれている昨今ですが、それにしてもいろいろな子育て手当てや支援が10年遅いよ!とツッコミを入れているのは私だけでしょうか。
乳児を連れた妊婦も、電車やバスでベビーカーをたたまなければいけなかったあの頃。
過去にさかのぼって、「出産育児がんばりましたね手当て」もらえないかなあ、なんて。

ここまでご覧いただき、ありがとうございました!

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