読書感想文

【夏休みの宿題】1文字も書けない人のための、読書感想文の書き方(前編)

こんにちは、詩人です。
今回はタイトルの通りです。

読書感想文のすすめ、こすいメリットをゴリ押しする導入編はこちらをお読みください。
【夏休みの宿題】読書感想文のすすめ


さて、その名を聞くと大半の人がアレルギー症状を訴える、夏休みの魔物「読書感想文」ですが、「イヤだ」と思う理由の原因、そのほとんどは「書けないから」ではないでしょうか。中には「1文字も出てこない」と真っ白な原稿用紙を前に悩む方もいらっしゃるのでは。逆に感想文がスラスラと書けるという人で、読書感想文が「嫌い」なひとはあんまりいないのでは、と思います。
つまり読書感想文が「書ける」ようになれば、「嫌い」じゃなくなる……!?

ということで、今回の記事では、
「1文字も書けない人のための、読書感想文の書き方」について、考えてみたいと思います。

読書感想文が苦手な方も、むしろ得意という方も、よろしければお付き合いください。


●「書けない」のはなぜ?

「読書感想文が書けない。」

とひとことで言っても、「どう書けないのか」ってけっこう様々です。
書き方がわからないとか、あらすじがまとめきれないとか、書くことが思いつかないとか。
(中には「そもそも本を読むのが苦痛」という方がいらっしゃるかもしれませんが、今回はとりあえずそこは自分で頑張っていただいて、本を読んでさあ今から書くぞという地点からのお話をさせてください。)

さて、いろんな理由があるとは思うのですが、「1文字も書けない」人が書けない理由として、多いんじゃないかな?と思うのが、以下のふたつです。

①本を読んでも、何も感じない。書くことがない。
②本を読んで、考えたけど、何を書けばいいのかわからない。

このふたつ、同じようでちょっと違いますが、本質的には同じ。――と、私は考えています。①の理由も②の理由も、その原因、つまり「書けない」人が抱えている問題はおなじ、ということですね。
ではその問題とはなにか?
それは、「自分の気持ちを分析して、言葉にする力」が不足しているということです。

つまり筋肉です。
筋肉。
「書けない」という人は、圧倒的多数が国語の筋力不足なのです。

「気持ちを分析」。「気持ちを言語化」。
これ、できますか?
できる/できない以前に、改めて考えたことなかった、という人も多いんではないでしょうか。

ひとつ前の記事でもちょっぴり触れましたが、「読書感想文」には〝観賞の力〟が必要です。
〝観賞〟って、「国語」で規定される要素のなかでも、難しいほうの要素なんです。
「気持ちを分析」「気持ちを言語化」の能力がわからないのに読書感想文を書こうとするのは、走り方がわからないのに400mハードルに挑戦しようとするようなもの。スーパー無謀です。何をしたらいいかわからなくて立ち尽くしてしまうのも、当たり前です。

ですから、ここで「気持ちを言葉にする」という練習をしてみましょう。
要するに国語の筋トレです。
ここで筋トレのやり方を覚えれば、今後そのやり方を継続できます。継続すれば、国語筋がどんどんついていきます。
必要な筋肉がつけば、読書感想文だけではなく、レポートや小論文にも応用できますよ。結局世の中のおおよそのことは、筋力で解決できるのです。


では遺憾なく拝筋主義を発揮したところで、早速トレーニングを開始してみましょう。今日から君も富士山だ。


●「何も感じない」は何も感じてなくない

まず、書けない理由①「本を読んでも、何も感じない。書くことがない。」という人。
安心してください。本当に「まったく何も感じていない」ということは、ありません。
「何も感じていない」のではなくて、「感じたことを言葉にできていない」だけなのです。

例えば、
「本を読んだ。ふーんと思って、終わった。」
これ。これって、何も感じていないのではなくて、

・他人ごとに感じて、興味を持たなかったのか?
・あまりにありふれた話だと感じ、どうでもよく思ったのか?
・なるほどなと納得はしたが、それ以上に考える要素がなかったのか?

このくらい、気持ちの動きに違いが出てきます。
この中で選ぶとしたらどれですか?
または、どれでもないですか?どれでもないとしたら、「違う」と感じた、あなたなりの心の動きが必ずあるはずです。
ね、何も感じてなくないでしょう?

「これが好き」「これが良い」という言葉の使い方は、日常で練習する機会があります。例えば趣味の話をするときや、ご飯の話をするときなどです。
でもマイナスの心の動き、嫌いとかつまらないとか、こわいといった感情は、あまり言語化する機会がありません。考えるのもいやだったりしますもんね。だから、みんな言葉にするのがヘタなのです。私も好きなものの話はたくさんできますが、苦手なものの話はへたくそです。
本を読んで、読み終わったとき得た心の動きが「マイナス」だったとき、表現するボキャブラリーがなくて「何も思わなかった」と言ってしまいがちなのです。
でも、心の動きは必ずある。何もないことはありません。気持ちに合う単語をひとつひとつ探してみましょう。ジグソーパズルみたいな感じです。ぴったり合うものを見つけるんです。ここが筋トレになります。
やりかたは簡単で、「それってどういうこと?」と別の言葉で言いかえてみるだけです。

特に何も思わない、ってどういうこと?
そのお話はつまらなかったですか?
つまらないってどういうことでしょうか?
話の意味がわからなかった?教訓があると思っていたのになかったのかな?
それとも思っていたストーリーと違った?
どんなストーリーに変えたら面白いんだろうか?
もしくは、話が大きくて想像できない?
他人ごとに感じた?共感できなかった?どこが自分と違うんでしょうか?
ふつうだと思った?ふつうってなんだろう?よくある話でしょうか?
他に似たような話を聞いたことある?それってどんな話?
ビミョーだと思った?ビミョーってどんな感情でしょう?
変?モヤモヤする?ムカムカする?うざったい?きもちわるい?
それとも、「楽しんだけど『面白い』まではいかない」ってこと?
「なるほど」って思った?いやいや、「ありえない」って思った?
読んでよかった?それとも読んで後悔した?

どうでしょう、この中にあなたの〝感想〟はあったでしょうか。
ここになければ、ほかの新しい言葉を探してくるわけですが、現代は非常に便利な時代で、インターネットでわりとなんでもわかります。
今この記事を読むために使っているそのスマホまたはPCで検索サイトを開き、「感情 ことば」で検索してください。だいたい出てきます。カテゴリ分けされているWEBページがおすすめです。

このようにして、まずこの筋トレ部分をしっかりやりましょう。
ほら、上に書いた言葉から選んで原稿用紙に映すだけでも、読書感想文の書き出しは書けましたよ。「『(本のタイトル)』を読んで、私は○○○と思いました。」のテンプレートを使えば、3行は進みます。1文字も書けなかったのに、もう3行です。すごい!

でも、さっきも言ったのですが、マイナスの気持ちを言葉にするのって、プラスの気持ちより大変です。
だから、できるなら「読んで楽しかった本」の感想を書きたいですよね。
プラスの感想でも、同じように筋トレしていけば大丈夫です。
そのお話は面白かったですか?
感動した?笑えた?わくわくした?元気になれた?
感動ってどんなかんじ?泣ける?すごいと思った?びっくりした?
こんな感じです。こっちの方は、たぶんどんどん出てくるんじゃないかと思います。
詰まっちゃったら、同じように検索して言葉を探してくださいね。

この筋トレは、可能なら誰かと一緒に会話でやるのがおすすめです。
腹筋トレーニングの際に足をおさえる人がいてくれるとはかどりますね。国語の筋トレも、会話でお互いサポートし合うとすごくはかどります。「質問に答える」という形で思考すると、気持ちを言葉にしやすいのです。ですから、可能なら友達と読む本をそろえて、読んだ後に感想を言い合うといいです。感想といっても、難しいことは言わなくて大丈夫です。ドラマや歌番組を見たりYoutubeを見たりしたときの、「あそこ見た?やばくない?」「見た!やばい!」というやつを、筋トレを意識しながらやればいいだけです。それってどの部分のこと?やばいってどういうこと?って。


●「気持ち」が「伝わるように」書く

さて、筋トレを終えて、観賞ぱわーが国語筋に溜まってきただろう!という感じですね。
気持ちの動きがあるなとなんとなく思い始めてきたところで、次の壁にぶちあたります。書けない理由②「本を読んで、考えたけど、何を書けばいいのかわからない。」これです。

検索サイトなどで「読書感想文の書き方」と検索すると、ハウツーサイトがたくさん出てきます。読書感想文が書けなくて困っている方は、そういうサイトを見たことがあるかもしれません。あるいは、そうやって検索してこの記事をお読みいただいているかもしれませんね。
そのような読書感想文の書き方サイトでは、だいたい「読書メモで整理しておこう」とか、「書きたいことを事前に考えてまとめておこう」といったようなことをアドバイスしていると思います。

それはいったん忘れてください。

だって、「書きたいこと」なんて言われても困っちゃいますよね。書きたいことなんかないんだし……宿題だから書いてるだけなのに。
また「書きたいこと」があったとして、それを書いた文章はぜんぶ読書感想文になるかというと、なりません。書きたいことを書いて観賞を成立させるのは、すごく難しいのです。

じゃあ何を書けばいいんだろう?
答えから言うと、〝さっきの筋トレで一番たくさん言葉が出てきたところ、その気持ちを書く〟のがいいです。
いちばん心がおおきく動いたポイントですし、なにより原稿用紙がちゃんと埋まります。量があるからね。

でもこのとき、「これを書こう!」という意識よりも、もっと大事なことがあります。
それは、「筋トレで理解した自分の気持ちを、誰かに伝わるように書く」ということです。

とにかく、「伝わるように書く」ということが、いちばん重要です。
話すときは、相手によって表現を変えますよね。親と喋るときと、友だちと喋るとき、使う言葉は違うと思います。喋るときと同じように、読書感想文も、「誰かがどこかでこれを読む」、読者がいるんだということを考えてみてください。そして、その人に「筋トレで見つけた自分の気持ち」が伝わるように、書いてください。
そうすると、何を中心に書くか、自然と出てきます。


・・・なんだか抽象的でわかりづらいので、具体的に妄想してみましょう。

Aさんがいます。Aさんはあなたと同い年か、あなたより少し年上です。
友だちの友だちとか、あんまり会わない親戚くらいの距離感です。
でも、あなたはAさんのことがなんとなく気になっています。
Aさんも、あなたと仲良くなれたらいいなあと思っています。
そんなときに、偶然ふたりで話す機会ができました。
気まずくならないように世間話をしていて、ひょんなことから一番最近読んだ本の話になりました。
Aさんは、「その本、読んだことある。でもだいぶ前で、話を忘れてるかも」と言いました。
さて、ここから、Aさんと、〝その本〟の話で盛り上がるように話しましょう。

どうでしょう。どんなふうに話しましょうか?
まずAさんに話を思い出してもらえるように、話の説明をしますよね。
そこからは、「あれ、良いよね!」って、好きなアーティストの話をするみたいに盛り上がってもいいです。
「あれほんとないわー」って、悪口で盛り上がってもいいです。

Aさんと話す、話題をそのまま書きましょう。
〝話がはずむ〟のは、「気持ちがちゃんと伝わって、共感できる」からです。
「気持ちが伝わって共感できること」が書ければ、読書感想文は完璧です。


●どう書くの?

では、「気持ちを言葉にできて」「書くことが見えた」ので、じゃあ実際どう書くの?何から書き始めて、何で終わればいいの?というところなのですが。
記事が長くなったので、実践編は記事を分けて後編で書きたいと思います。

ここまでお付き合いいただいて、ありがとうございました。
その上で恐縮ですが、次回の記事も合わせてぜひご覧ください。
今回と次回の記事は「1文字も書けない人」向けなので、できるだけラクに書ける読書感想文を目指して記事にしようと思っております。読書感想文、挑戦してみようかな?と思っていただけたら嬉しいです。
今回の記事の〝国語筋の筋トレ〟も、そんなに大変じゃないのでぜひトライしてみてください。
君ならできる、ドントウォーリー、ビーハッピー。よろしくお願いします。


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