SIerとINFP

私は性格診断だとか占いといった類が好きだ。
その中でもMBTI診断は各タイプの性格についてかなり詳しく分析されていて興味深い。
もしこの記事に興味を持ってくれる人がいるとすれば、恐らくその人はMBTIについて知っているだろうからあえて説明はしない。

自分はINFPに分類されるようなのだが、このタイプに向いている職種の一つとして「エンジニア」がよく挙げられている。

理由は、自分のペースで黙々と作業できるとかクリエイティブだからとかそういったところだ。
私はこのMBTI診断に出会う前からすでに派遣SEとして働いていたので、括りとしてはエンジニアになると思っている。

では、自分は適職につけているのかと思うと実際そうでもない。

私が就職した会社はいわゆるSIerという業界で、結局のところお客さんの会社に派遣されて、そこで言われたことを淡々とやっているだけだ。

今の自分の状況をまとめるとこんな感じだ。

・仕事内容の大半が工夫の余地がない決まりきった手順で行う作業
・何のためにあるのか分からない細かいルールに悩まされる
・(炎上ぎみなので)いつも作業ノルマに追われ、スケジュールがタイト
・何をどれだけの時間をかけてやったか毎日報告しないといけない

会社に到着してから帰宅するまでの間の約9時間。
その間、楽しいと思う瞬間がひとつも無い。
自分がやっている仕事に何の意義も感じられない日々が続き、結局心は病んでしまった。

この仕事に就いてから分かったことといえば、自分は「お金が貰えればどんな仕事でも構わない」という気持ちには到底なれないということだ。 
(自分は、と書いたが実際ほとんどの人がそうかもしれない)

例え今の仕事で2倍の給料がもらえるとなったとしても、やりたいとは全く思えない。

もちろん、SIer業界の全てを見たわけではないので派遣されるプロジェクトに左右されることは承知の上だ。
実際、以前の派遣先では残業がほとんど無かったし、社内のルールも今ほど厳しくなかった。ただ、やることがほとんど無く暇な時間だけがいたずらに過ぎていった。

暇な時間ができるとよからぬことを考えては不安になり、どんどんネガティブになってしまったので今回派遣先を変えてもらったのだが、結局更に病んでしまうこととなった。

そういったこともあり、再度現場を変えてもらうという気にもなれず結局辞めることにした。

今の仕事に転職する前は、自社内で小規模なシステムを作る仕事をしていた。
その当時、分からないことがたくさんあって「私に開発なんてできないことだったんだ」と落ち込むことも多々あった。

でも、毎日コードを見たり書いたりしていると少しずつでもできることが増えていった。
自分のアイディアをすぐに試せる環境がそこにはあった。
他の人が困っていることを、開発という手段で解決できた瞬間があった。

その当時、通勤に片道約1時間半もかけていた。
なかなかの距離だ。

でも、職場に向かう道中で「昨日動かなかったあの部分、もしかしたらこの方法で解決できないかな?」とか考える時間は楽しかった。
何より、混み合うストレスフルな通勤道を歩きながら「あ、なんか今幸せかもしれない」とさえ感じていた。

人の役に立つにはどうすればいいか、より良いものを作るにはどうすればいいかと自分で考えて形にしていく作業、そこにやりがいを感じていた。

心の芯がじわっと温まるような、あの感覚をもう一度味わいたい。

自分のことをエンジニアだと意識したことは無かったが、職種の部類としてはエンジニアに当たるのだと思う。

今思うと「人助けが得意」や「問題解決能力がある」といったINFPの適性が活かせていたのだろう。

しかし、エンジニアという点では同じ部類の客先常駐SEの仕事は全く上手くいっていない。
ルーティン作業、意義が感じられない仕事、ノルマに追われ自分のペースを乱される、といったINFPがストレスに感じる点をほとんど網羅してしまっている。

このままでは心が壊れてしまうと思い、転職活動を始めた。
しかし、求人を見ては自分のスキルの無さを痛感し落ち込む日々を過ごしている。

そしていつもこんな思考に陥る。

ーこのままでは幸せになれない
ーじゃあ何かを変えないと
ーでも怖い
ー自分が何にもできない人間だと現実を突き付けられることが怖い
ースキルを付けるための努力をしないから、こんなことになってるんだ
ーそれなのに変わりたい、幸せになりたいだって?甘いよ

そうして「どこへ行こうと自分には何も達成できない」という結論に至って落ち込み、こうして文章を書いている。

ーじゃあ自分でもできそうな簡単な仕事で最低限の生活費だけは稼いで、プライベートを楽しく過ごせばいいじゃないか

自分にこう言い聞かせて説得しようと試みたことは何度もある。
でも、何故か折れない。「そうか、それもそうだ」と単純には思えない。

何故だろうか。
それは恐らく何にも挑戦していない自分が嫌なのだろう。

「自分には能力がない」と言い聞かせながらも、心の奥底では「きっと自分にも何かできるはず」という希望を捨てきれていないのだ。

それが自分を苦しめていることも分かっているが、どうしようもない。

世の中の人はどんな悩みを抱えて日々過ごしているのだろうか、どうやって苦しみを乗り越えているのだろうか、とつくづく思う。

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