芸能活動を行う人との距離感の話

最近話題になっていたこんな記事を見かけた。

内容としては、女性ライブアイドルのファンの女性が、同性であることで油断して度重なるセクハラ発言により現場出禁(関連イベントへの参加不可)をくらったというもの。

ライブアイドル(俗称は地下アイドル)の活動に触れたことの無い人からすれば理解できない行動かもしれないけど、少しでも活動を見聞きした事のある人にはわかる部分もきっとある。

太客だから何をしてもいいというわけではない、親しき仲にも礼儀あり、発言には気をつけようというのが主旨に思える。

私の場合、対象がアイドルではないが、永く応援している人が、ある時低予算の自主制作映画に出ることになり、その作品のクラウドファンディングに出資したことがある。
その作品の公式サイトのhtmlソースにバグがあったので、責任者に対して「早めに直した方がいいと思いますよ」みたいな問い合わせをしたところ、(以下要約)「金出したからってなんでも聞くとおもうなよ!不快だからクラウドファンディングのリターンを1部無効にします」みたいなことを言われた。
その監督は頭おかしい人だったので相手にしたくなくて了承した。

多分、その作品に出資してなくても私はサイトを見たらその問い合わせをしていたと思う。
だが、"スポンサーの1人"という立場があることで、純粋なクレームではなく立場を利用して意見をしてきた、と捉えられたようである。

結果として、私は招待されるはずだった試写会への参加を拒否され、映画のクレジットに名前が載る以外の特典(メイキングDVDとか色々)を無しにされた。出資額は5万円プランに少し載せて5万5千円。(全体では30万ほどの集まりだったらしいから1割以上は出資してる)

そもそもその監督自体は特に好きな人でもなかったし、応援している人が出る作品がきちんと制作されてほしくて出資したわけなので、特典は別にどうでもよかった。どんなシーンにどんな役で出たのかは見たかったが。

ということで、"誰かが誰かに言葉を投げかける時、金銭が絡むと面倒になる"ことが多い。

 CDの売上とかコンサートの売上で活動しているメジャーな人達には、個々のつぎ込んだ金額とかは伝わることはないから、各ファンに平等に接することが基本である。プラスの特典として上位のチケット買った人への特典とかはあったりもするけど。

地下アイドル現場においては、どれだけ集客出来るかとか、売上が上げられるかがその後の活動にも影響するため、よりお金を使ってくれる人に対して優遇があったりする事も少なくない。
 例えば、特定の期間においての全通特典とか、物販購入金額〇円以上の人への特典とか。
たとえ本人が意識してなくても、よりお金を落とす人はその対象に対して影響力を持ってしまう。
だから、行き過ぎた発言(と捉えられる発言)をすると重く受け止められてしまい、最悪の場合排除される。

お金を使った人というだけでなくとも似たような構造になることがある。
それは、"どれだけの期間応援しているか"というもの。いわゆる古参という立場になってしまうと何かと配慮をしなくてはいけなくなる。
例えば、応援している人が途中で路線変更して全く別のことをやりはじめたり、それに伴い芸名が変わったりした時、その前の活動については非公開になることが多い。

そのため、新しい活動の現場で前の時の話をするのはご法度である。
本人に対しては、差し障りのない内容なら言えるが、深く掘り下げすぎると嫌がられる。今の活動を見てもらいたい気持ちが強いから当然である。
人間は歳をとると昔のことを懐かしむ傾向が強くなってしまうので仕方ない部分もあるけど、声に出す前に考えなおす癖をつけないといけない。

いまはリアルの活動以外にも配信アプリでの活動をしている人達も大勢いる。

どこに居ても映像や声で応援対象の人を見られてコメントなどで交流できるという意味では助かるメディアだが、対面では無いことで緩くなるものがある。

それは「財布の紐と言葉の選択」である。
ゲームの課金をする感覚で気軽に有料アイテムを投げたり、物販を買うことが出来る。
リアルな現場のように財布の中を見つめてATMに行こうかどうか考え込んだりしなくていい。
大抵の場合、口座引き落としとかカードで課金ができるから、ワンタップで気軽に課金できる。
 そうなると何が怖いかといえば、口座の残高を無計画に使ってしまいやすくなるし、金銭感覚が麻痺する。

もう1つ、選ぶ言葉の基準が緩んでくる。
対面で話す場合、相手の反応を予測しながら不快に思わせない内容を話そうと考えながら話す。
引用した記事のように顔を合わせた回数が増えた人においては対面であっても気が緩むことがあるが、配信アプリではファン側は顔を見せないケースが多いので、SNSなどと同様に発言内容を深く考えずしやすい傾向がある。

配信アプリの場合は顔を見ているのはファン側であり、相手はコメントやアバターを見られるのみである。だから、こちら側の意図や感情について相手側から読み取れることは少ない。
そこを理解せずに、意図しない反応がかえってくると怒り出す痴れ者は多い。そして言いたい放題言うのだ。

財布と言葉の選択が最大限に緩んだ人は厄介である。そして暴走すると相手を困らせる発言しかしなくなり、それが原因で拒絶されると一転、ストーカーへ変貌することがある。暴力的な方向に転じる人の傾向としては「見返りを求めて応援している人」といえる気がする。

私の場合、その人が活動していること自体が自分の活力になっているから、応援すること=そのお返しという感覚であり、そこでギブアンドテイクが1度完結している。
サービスに対しての対価である。相手側はもしかしたらパフォーマンス=応援へのお返しと思っているかもしれないけれど。
日本人が得意な「お返しのお返し」状態であるが、いいルーチンではあると思う。

私は、応援をすることで何かをしてもらいたいっていう気持ちはない。
顔と名前を覚えてもらえてないとかは少し残念とは思うけど、絶対にそこを知って欲しい感覚は無い。

配信アプリの応援ポイント上位の景品で応援している相手からの直筆の手紙とか貰ったことがあり、これ自体は嬉しいけど、それを目当てに課金したのではなくて、通過させたくてしたので……みたいな複雑な気持ちを抱いていたりする。

配信アプリの世界では、「こんなにお金を使ったんだから〇〇して」というように、影響力を自覚しながら意見を押し通そうみたいな人が割といる。
というか、自分の意見を押し付ける人が多い。
 お金の力で得た立場をステータスのように振りかざす輩もいる。本人が良くて他人に迷惑かけてないならそれは別に好きにすればいい。私は嫌いだけど。

 まとまらなくなってきたので強引に締めるが、私もタイミングを間違えたら引用記事の人のようになる可能性があるので、気をつけたい。


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