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新興国とフェイクニュース

有権者が9億人の選挙として話題になったインドの首相選挙。Bloombergの記事では、今回の選挙において、いかにフェイクニュース対策が難航していたか、現地の声とともに紹介されていた。

Facebookからファクトチェックを請け負っているニュースメディア「Vishvas News」のPallavi Mishras氏によると、つい最近SNSを使い始めた人の多くは何がフェイクを判断できず、ニュースを誰より先にシェアするかを競い合っているという。受け取った情報は何でも、とりわけ家族や友達から受け取ったものであるほど、安易に信用してしまう傾向にあるようだ。

言語の問題もある。英語以外の言語のファクトチェックはリソース不足が深刻だ。Facebook上で「Vishvas News」がヒンディー語のファクトチェックを提供し始めたのも去年の12月から、パンジャーブ語やウルドゥー語では先月始まったばかりだ。英語を読み書きできるかによって、得られる情報の質が大きく左右されてしまう。(もちろん英語ができたからといってフェイクニュースから逃れられるわけではないのだけれど)

インドは人口の割にインターネットの利用者がまだまだ少ない国だ。(Pew Reasearch Centerの調査でも、今だに国民の4分の1しかインターネットへのアクセスあるいはスマートフォンを所有していない)しかし、FacebookやGoogleなど、企業の投資も受け、今後その数は急激に増えていくと予想されている。

彼らが世界とつながる手段を手に入れること自体はポジティブなことだと思う。一方、インターネットをほとんど利用していない状態から、いきなりフェイクの渦に巻き込まれ、正確に情報の正誤を判断できる人は稀だ。今回のような政治的なイベントに際し、彼らをターゲットにしたフェイクの拡散が行われることは容易に想像できる。

インドだけでなく、他の新興国でもSNSの利用者やスマートフォンの所有者の数は着々と増えている。欧米で様々な対策が打たれ、試行錯誤を続けている間も、新興国ではSNSやスマートフォンが凄まじい勢いで普及している。

きっと、以前Jack Dorseyが提案していたような、目の前の情報に反射的にリアクションしないための仕組みを、実装し、利用者とプラットフォーム側で一緒に実験していく必要があるのだろうなと思う。当たり前なのだけど、フェイクニュースは先進国だけの問題じゃないよね、と改めて。



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