アンラーニングと「三人寄れば文殊の知恵」

イノベーションにおいてアンラーニングは重要であると以前から言われてきた。ただ、これまでの成功体験を棄ててと言っても、過去の成功体験を簡単に捨てることができるわけではない。
本日(2021年6月)、組織学会で中竹竜二氏(現日本ラグビーフットボール協会コーチングディレクター、コーチのコーチ)の講演が非常に良かった、また、自分のマインドセットと共通するところがあったので、アンラーニングについてメモしておきたい。

私なりの中村氏の主張の解釈は以下の通り。
・重鎮、指導者は自信や成功体験があるので、他から学ばない。また、失敗するのはつらいので「現在の心地よさ」から抜け出せない場合が多い
・コーチの立場からは、まずビジョン、もしくは組織の目指すゴールを共有し、そして目指すゴールの達成について結果を繰り返し問わないと、相手はアンラーニングできない
・アンラーンしてやってみたら多くは失敗する。ただしすれは“good try”である
・一般的に経験をいかに認識として置けるか(経験知)は重要。何もないところから新たなことを学ぶことはできない。ただし、新しい発想を生み出すには経験知は制限になると言われている。アンラーニングとは、すべての経験値を棄てるというより、失敗を振り返り再構成するというイメージ
・また、アンラーニングのためには失敗の振り返りだけでなく、他の人に対する傾聴や観察がとても重要である。それは相手に対する興味を抱くことからはじまる

私自身は経験知というものをとても重視する。能力の向上にしろ、資格取得にしろ、「集中した時間の量」で決まると考えている。そのことを前提とすると、1対1だと、50代である私のほうが若い人より経験した時間が長くなるため、知識量、能力値が高くなる場合が多い。一方で、複数人と会話・観察する場合、経験した時間の合算は必ず個人より長くなる。つまり、そこには学ぶチャンスがある。まだ自分が経験していない領域については、言うまでもない。

自分自身、なぜ人から学ばなくてはいけないかは、明らかだと考えている。だから傾聴ができる。そうすると議論の中でアンラーニングし、新しいアイデアが生まれてくる。

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