断罪

君ってずるいよね。
そうやって、まだ私も覚えているよみたいに、"それ"身につけてさ。
私がなんとも思ってないと思ってるのかな?
それとも、なんとも思ってるのを手に取るようにわかるから、軽快なリップサービスのように纏わせているんだろうね。
私はほら、単純な人間だから、わかりやすく喜んでしまうし、あー、可愛い顔して笑ってるなーなんて、少しだけ浮ついた心で見てしまった。
一線を超えてこない私は、人畜無害。
好きだった君も、もはや推しの概念に変わっていた。

それなのに。

夕日に混じった、
あの頃からは、錆びたそれは、
あまりにも雄弁に語りかけてくるもんだから、
私は困惑してしまう。

別に愛って訳じゃない。
恋って訳じゃない。
どうにかしたい訳じゃない。
それなのに
あの時の明け方に感じた
どうしようもない思いが
じりじり、じりじり、
内部が捻転し、そのまま抉り、掘り起こされるみたいに
生々しくまろびでてしまいそうだから
私は薄皮一枚貼って
飛び出ないでくださいと
栓をした。
ブーツのへりが、私のふくはらぎを柔く剥いで
不慣れな靴を履いた理由を突きつけられたようだ。
そうして欲しかったのは、私
この状況は、私が望んだこと。

それでも
大判の無骨な絆創膏を
傷口にべたーとくっ付ければ
面白いほどダサくて、
君は私をつまんないって思ってくれる
あーつまんないね
自分でもそう思うよ
加齢した肌はフェイクレザーに敗れるし、
年を経た好意はあまりにも偽物だ
祈りは、己を救うためにある。
君が幸せでありますようにと、
願掛けして、その場を後にした。

諦めが悪いね
冷めない熱情を被せるように、
花を束ねて、
別の花へ手向けた。
これが罪だというのなら、
私は甘んじて、
受け入れようと思う。

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