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【宗教2世ごろごろケア日記04】トラウマインフォームドケアってなに?


 やらなきゃいけないことは山積しているのだけれど、あいかわらずごろごろ、こんなシリーズを書いているむこがわさんである。

 あなた他に書かなきゃいけないものあるでしょ?と怒られそうだけど、もちろんそちらもやってるとも。ただ、めちゃくちゃ難しいので目下超絶格闘中。誰か助けて〜。


 さて。宗教2世の支援がらみのことを調べていると、ごく最近「トラウマインフォームドケア」の手法でこの問題を解決しようという発言をよく目にするようになった。とくに心理士さん関係に、このネタを発言する人が多いようだ。

 ただ、ちょっと注意が必要なのは、「トラウマ=心的外傷(心理的なショックで、ネガティブな影響を受けること」については、アドラー心理学なんかでは「トラウマは存在しない」という説をとっているので、その存在の是非を含めて、「研究中」くらいのイメージでいるほうがいいと思う。

 宗教2世当事者からすれば「そうだ!ぼくたちあたしたちはトラウマなんだ!」とそれにすがってしまえば楽なんだけれど、単純に「すがってしまう」という構図が嫌いなむこがわさんとしては、やはり慎重になってしまうのだ。だって、トラウマケアがなんでも解決してくれる”救世主”になるわけじゃないものね。

 トラウマ研究の歴史をたどると、面白い(といっては失礼だが)ことが見えてくる。

■ 戦場に出た兵士が心的ストレスを受けて、復員後に心理的障害を発するもの

あたりがトラウマ研究やPTSD理論の初期だとすれば、

■ 米国薬物乱用精神保健管理局による研究

が、体系的なテキストになっていて、日本にはこれがまず一番に入ってきてる。

「SAMHSAのトラウマ概念とトラウマインフォームドアプローチのための手引き」

http://ncssp.osaka-kyoiku.ac.jp/mental/wp-content/themes/original/images/mental_care/1_1.pdf

 で、さらにいえば、このテキストの翻訳に関わったのが

「兵庫県こころのケアセンター」

という施設で、どうもここは「全国初のトラウマ・PTSD系の研究機関」らしい。
 はて、なんで兵庫県なの?と思うでしょう。

■ 阪神淡路大震災後の心的影響の支援・研究

が必要だと判明したからなんです。


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 戦争やら薬物やら災害やら、そういう流れでトラウマケアの研究が進んできたんだ、ということをまずおさえておきましょう。なので、日本においては阪神大震災が1995年なので、まだまだ「わからないことも多い、研究途上の分野」と言っても過言ではないということだ。
 そこに、いよいよ2023年以降「宗教的虐待のケア」という目線が加算されることになるんだね。


 さて、本題。トラウマインフォームドケアって何か。「インフォームド」とは、「インフォメーションのed形」なので、簡単に言えば「確かな情報と知識を持った」みたいな感じになるだろう。

 もっと平たく言えば、

「その子やその人が、どういう行動や発言をするか。その裏にトラウマ的な体験があるんじゃないか?ということを予想したり、理解しながら接すること」

ということになる。


 むこがわさんは学校現場にいたので、生徒の問題行動等に対してその背景に「家庭環境や、貧困等も含めた社会的環境の影響」があることを十分理解して仕事をしたのだけれど、実は旧来の学校における「指導や説諭」は、考え方が全然違うので、要注意。

■ 従来的な指導の目線 「問題行動を起こしているあなたは間違っているので、正しましょう」

■ 理解ある指導の目線 「問題行動の背景に、どんな環境や原因が隠れているのか、そこから探っていこう」

 むこがわさんが現場にいたのは、ちょうどこれらの考え方が切り替わる瞬間くらいの時期だったので、そりゃあ現場がとても混乱したのも覚えている。まあ、その話はまたどこかでするかもしれないけれど。

 余談ですが、現場を離れて20年くらい経つのだが、今だにこんな話をしてるのか〜と思うと、それはそれで思うところがありますねえ。


http://ncssp.osaka-kyoiku.ac.jp/mental/wp-content/themes/original/images/mental_care/1_2.pdf


http://ncssp.osaka-kyoiku.ac.jp/mental/wp-content/themes/original/images/mental_care/2_2.pdf


 上の2つのパンフレットはめっちゃわかりやすいので、宗教2世の支援や、自分でのケア等を考えている人は、ぜひ目を通してほしい。

 ちなみに上のパンフの監修は「武庫川女子大学」の研究室だそうで。つくづく縁があるねえ(笑)


 はい、ここで大事なこと。1枚めのパンフにもあるけれど

「支援するあなたにもケアが必要です」
「支援者側がトラウマを代理受傷することがある」
「支援者が心身ともに元気であること」

 これめっちゃ大事だ。なので、宗教2世当事者の場合は、「自分の傷がちゃんと癒えていない」のだから、支援しようとすることについては、何度でも立ち止まりながら、自分の状態を見つめながらにしてほしい。


 もしこれを読んでいるみなさんで、本気で困った時は、「超絶タフで、心身ともに元気なむこがわさん」を頼ってほしい。

 このnoteのコメントでもいいし、ツイッターでは @mukogawa_sannpo で呟いているよ。


(つづく)









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