見出し画像

中国が考えていることを突き詰めれば、ごくシンプルだった。

 飛躍的な経済成長を遂げた中国ですが、このままアメリカを超える勢いなのか?と思いきや、不思議なことに自ら成長にブレーキをかけるような挙動を取っていることが数年前からニュースになっています。

 もちろん、新型コロナウイルス等による、経済の停滞要因があったため、一時的には成長のカーブが緩やかになったり、成長がストップしてしまうような事態はありましたが、また元のような成長へと戻すことは不可能ではなかったはずです。

 ところが、どうもそれとは少し異なる動きが見られて、戸惑う場面が多くなっています。

 たとえば、随分前からアリババを規制したり、最近では恒大集団の幹部を捕まえたり、細かいことはいろいろありますが、

「大きくなった経済集団は、つぶす」

という基本理念があるのではないか?と勘ぐってしまうことがたくさんあるわけです。

 もちろん、恒大集団を始めとした不動産屋の場合は、中国経済の大きな問題点そのものになっているので、一概には言えませんが、破産させたいのか、させたくないのか、救いたいのかダメージを与えたいのか、よくわからないという印象を抱く人も多いかもしれません。

 さて、数年前までは、私も個人的にこうした中国の動きを見て、誤解している部分がありました。

 それは、このまま中国の経済発展が続けば、世界一の経済大国も夢ではないのでは?というお話です。

 イケイケどんどんだったとき、とある中国人が「中国は日本の10倍の人口があるのだから、東京が10個できてもかまわない」といった意味のことを言ったような話を聞いたことがありますが、そのとき私も、

「そりゃそうだ!そりゃあ中国には、敵わないかもしれない!」

と変に納得したものでした。

 ところが、現状の中国はそうはなっておらず、むしろそれにブレーキをかけるような政治動向が生じているようですね。


==========


 この動きに関連して、これまた生まれやすい誤解として、「習近平氏が個人に権力を集中させる中で、自分よりも大きくなりそうな存在をつぶそうとしている」という言説もよく聞かれます。

 ベタな言い方をすれば、「俺より凄そうなヤツは許さない」という感じでしょうが、実はこれもちょっと違うのではないか?と最近思うようになってきました。

 つまり、

「アメリカに勝つ、勝たないの話ではない」

のです。また

「習近平が勝たなければならない」

ということも、いったん脇へ置いておいてよいのではないか?ということです。

 では、今の中国で起きていることは何か。それは、中国という国の原理原則どおりなのかもしれません。


 ズバリ、結論です。

 ” 共産主義とは、強力な再配分である ”

ということに尽きます。

 共産主義では、人々は平等ですから、平等である方向へ調整がなされます。

 それが共産主義が信奉され、支持される唯一の原理です。平等を実現できる党や政府であるから、そこに信を預けるわけです。

 ところが、資本主義経済が流入すると、平等から格差へ実態が切り替わってゆきます。実際に中国の高度成長期においては、富める者から先に富んでよし、という方向性が打ち出されていました。

 ところが、どこかの段階では「再配分」を行わなくてはなりません。

 国内において最強の「再配分権力」を行使できるのが共産党なわけで、人民はそれを許しているから指導に従う、ということなのでしょう。

 共産主義は、いつでも再配分を行使します。

 古典的な共産主義であれば、資本家から取り上げ、人民に再配分するのが共産党でした。

 近代的共産主義は、再配分を「スタート時点からコントロールできるのではないか?」と考えて「計画経済」などを生み出しました。

 ところが実際には、計画経済は計画どおりにはいかず、(ソビエトでも中国でも)共産主義の弱体化を招きました。 

 であれば、次にやることはシンプルです。国家が考えて経済を発展させるのがダメだったのあれば、人民に好き勝手に経済を発展させて、

「そして、それを再配分すればいい」

のです。

 このように考えると、中国が経済発展にブレーキをかけるような動きをしている理由がシンプルにわかります。

 共産主義は常に、「誰が発展の主導権を握るかに限らず、あとで再配分を行使する」ということです。

 であれば、この再配分という最強権力の行使は、習近平氏以外でも、同じことが起きるということになります。誰でもいいのです。

 ” 最強の再配分が、どこかの時点で行使される ”

ということは、共産主義の根幹でもあり、まさにその通りに動いているとすれば、わたしたちは完全に中国の資本主義化を見誤っていることになりますね。

 中国という国は、経済発展すれば資本主義になるわけではありません。

 「計画経済」か、「おのおの好き勝手経済」か、その手法が違っただけで、最終的にはおなじことが起きるのです。

 それは国家による収奪と再配分です。

 そうして再配分された金を見て、人民が「うむ、公平である」と感じることができれば、共産党の支配はずっと続けることができる、というしくみですね。


 実はこうした感覚は、中国人に限らず、日本人にもあります。

 たとえばジャニーズ事務所の利益は、被害者に再配分されるべきだ、と考えますし、大企業には加算税をかけるべきだ、と思います。

 楽天やソフトバンク株を、国民に分け与えるべきだ、という主張が出てくれば、それを支持する層も一定数存在するでしょう。

 実際に子供手当には、収入による制限がありますし、人々は「再配分」が大好きなのです。

(自民党も、金持ちから奪って庶民に再配分すれば、支持を増やすことができるでしょう)


 この話のオチは、習近平氏が、

■ 個人の権力と私腹を肥やすために「強大になった経済集団をつぶそうとしている」のであっても、

■ 心から人民のために「強大になった経済集団をつぶそうとしている」のであっても、

実はまったく同じことが起きる、ということになります。

 それが共産主義の本質であり、真の姿だからです。


 おもしろいと思いませんか?


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?