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バックパッカーでも旅先にタブレットを持っていくのは

一人旅のとき、私は旅先にもタブレットを持って行き、合間で文章を書いている。スマホに打ち込むことも多いし、仕事ではないんだけれど、それでもわざわざ重いタブレットを持って移動する。海外旅行ではセキュリティーの関係で持っていかないこともある。そういう時はしぶしぶスマホで書く。なるべくどこでも書けるようにしていたい。

身軽なバックパッカーにとって荷物が増えるのは避けたいことだし、そもそもせっかく旅行に行くなら書いている時間がもったいないんじゃないかと、たまに聞かれる。でも、私は自分にとって書くこともひとり旅に求める要素で、自分なりの有意義な時間なのだ。

例えば、私が旅に一番求めているものは、食でも景色でもアミューズメントでも美術館でもなく、日常生活から離れて誰も私を追ってこない時間だ。何もしないことをスケジュールに入れる人もいるというけれど、それと似ている気がする。芸能人でもないのに自意識過剰と思われるかもしれないが、案外こうでもしないと人は生活から離れることができないと思う。

ちょっと友達からお茶に誘われたり、自分の仕事の連絡が入ったり、同居人が見ているアニメを見るともなしに見てしまったり。日常生活の中で自分の時間が取れないことは、旅に時間を使う理由に十分に値する。

だから、一人になった途端に書きたいことが溢れてくる。人と会ったり仕事をしたりする時間が表層を忙しなく移動する時間だとしたら、一人でいると深くまで思考を落とすことができるのかもしれない。仕事の時に深く考えていないわけではないけれど、内面や答えのない感情を扱うことはほとんどないので、書くことでバランスを保っているのかもしれない。

話はそれたが、一人旅の間は自由だ。無理に話さないでいいし、食べないでいいし、出かけなくてもいい。きっとこうやって本当にやりたいことをその時々で探すのが、心の声を聞いている状態だと思う。そういう時、無性に書きたくなる。日常生活で凝り固まっていたもの、隠れていたものがぶわっと溢れてくるのだ。

だから、タブレットを持っていく。旅に刺激された感性と、日常からの解放で溢れる言葉をしっかりと書き留めておきたい。旅先ではどう過ごしたっていい。夜は8時くらいにベッドに入り、そこからタブレットを膝の上に置いて書き続けるのが幸福だっていいと思う。次の旅でも、書くと思う。きっと書きたくなる自分を楽しみにしている。


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