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最近読んだ本とかみた映画とか

思ったより9月以降忙しかったような気がする。あんまり思い出が無い。
2021年の下半期(というか年末の休みでほぼ消化しただけ)にみたり読んだりして印象に残って、考えたことについて。

本はだいぶ前のものだけど、これ。

 『東京の生活史』は相変わらず家でしか読めないから(重すぎて・・・)ダラダラ読んでるところだけど、こちらは薄いし短いまとまりで読みやすかった。まあ『東京の生活史』もひとつのまとまりは短いんだけどね。読みやすいんだけどね。つい途切れなく読んでしまう+大変な量なので・・・。
 どの章も、生活史を扱う社会学のルールとかインタビュー対象との関係、距離感とか、あるいは社会学者として/だけじゃないルーツの部分としての著者自身についての記述が含まれているところが良かった。自分も、『東京の生活史』プロジェクトのときにインタビュワーやってみたいなとか思いつつ諦めたり、社会学にも関係するような修論やって、自分には能力もできる環境もないなというアカデミア・ワナビーズの一員なので(そんな集団がいるのかはわからないが。)研究者のエッセー的な部分が読めてよかった。

もうひとつ最近みたのはnetflixの
『Don't look up』

https://www.netflix.com/browse?jbv=81252357

 ここにもアカデミアが出てくる。アカデミアというか、天文学の科学者。
この映画みてたら、重要な問題を訴えてもどーーでもいい寒いジョークとかで誤魔化されたり保身に走る所謂「立場的に強い人達」の姿がフラッシュバックして結構辛い気持ちになったりしたが、同時にそういう露悪的な人の姿が正面から描かれるのを見ることでme too運動が暴露してきたことからはじまるような、これまで見過ごされてきた構造的な問題が扱われていることを感じて怒りつつもポジティブに見ることができた。
 単に反科学というだけではなく、利益を独占することや保身に走ることを優先しすぎて当たり前のことが見えなくなる問題は誰しも陥る可能性はあるのかなとは、漠然と思う。一生かかっても人が得られない富を得たら、誰かが自分を陥れようとしているとか、猜疑心でいっぱいになるのかなという想像はできる。
 とはいえ、そういう不平等な社会の中で「持つ者」になってしまっても、倫理から外れることなく生きることができる者はいるだろう。では、そうではない者との差は何か?善い人間とそうではない人間の違いとは?

 まあこの問いには答えがない、というのが正解だろう。だが、そんな正確であることを心がけた考えはさておき、もっと雑に考えると、その違いは結局のところ以前の投稿でも考えていた「受け入れられた気分」があるかの差なのでは?と感じている。まあ最近流行りの「自己肯定感」というやつ。
 『Don't look up』でも主人公は謝罪を受け入れられるシーンがある。重要なシーンだしネタバレなので詳しくは書かないけれども、あの謝罪が受け入れられなかったら別の結末だっただろう。『シン・エヴァンゲリオン』でもシンジくんはご飯を作ってもらったり最後にはミサトさんにもありがとうって言ってもらってずいぶん大人になっていたし、人の成長に自己肯定感は欠かせない。

 つまり、『Don't look up』に出てくるような、口論で少し侮辱された気分になるやいなや相手を猛烈に攻撃や排除したり、他人を顧ないキャラクターが描かれる裏には、いつまでも受け入れられた気分が満たされることのない、永遠に枯渇した気分でいる人物が実在することが連想される。暗澹とした気分になる。なぜ彼らはそうなのか。それは病理ではないのか。この手の類の話は、医療や支援につなげられて病状が軽くなっていったという経緯以外に救いはあるのだろうか。成人してからも、誰かに受け入れられたり愛される機会を偶然に得て、善い人間に変化しうるのだろうか?それでも変わらず、ずっと枯渇し続けるなら、どうしたらいいのか。  
 目の前にそんな人物(『Don't look up』に出てくる大統領とかCEOとか)が居たらたいていの場合逃げるしかないけど、そういうある種の人間性を持つ人が居なくなることはきっとないから、気になるなら生身の人間としてだけではなく、調査をもとにした科学的な観点で考えたいと思う。

 ちなみに、この映画は私は利己的に他者を搾取する人間たちの姿やそれによって形成される構造のあり方の問題提起が主題だと思って見ていたけど、気象変動に関するメタファーだという意見もあり、なるほど確かにと思った。いかに利己的であることを辞められるかという課題が課せられているのは一部のスーパーリッチな人たちだけだというような描き方だったけど。実際そうなのか?


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