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「正直、ダメだと思ってました。」

今から10何年も前の話。

わたしは、高3の8月から受験生になった。
進学校気取りの田舎の高校に通ってたわたしは、大学進学とか就職とかそういう将来に対して、漠然としたイメージしか持ってなかった。それが現実的になったのが、高3の夏。

キャリアなんたらとかいう授業の夏休みの課題で、「オープンキャンパスに行くこと」とかいうよくわからんのがあって、それで地元の国立大に行ったのがきっかけ。「なんか大学生、楽しそう。」それだけだったけど。笑
「大学生の話を聞いてみましょう。」とかなんとかで、話をしてくれた先輩が人懐っこい感じで。その先輩がやってた研究がなんだか楽しそうで、元々好きな分野だったのもあって、そこで受験を決意した。

7月末に夏フェスに行く予定があったので、それが終わったら受験モードに切り替える、というのが担任との約束だった。(余談だけど、その夏フェスがSETSTOCK07。今考えても神回。)

わたしは約束通り、夏フェスが終わってからは受験生モードになった。そりゃもう、必死。周りの受験生との差にビックリして、毎日学校が終わったら帰り道にある図書館に寄って9時まで勉強。家に帰ってからも毎日夜中まで勉強した。今思えば全然効率的じゃなかったし、それでもほかの受験生に比べると少なすぎるくらいだったけど、とにかく時間を使うことで『やってる感』を出して自分を安心させてた。

年明けのセンター試験で、見事撃沈した。苦手科目なんて、受験生になる宣言した夏とあんま変わんない点数。志望大の判定はC判定だった。
それでも、前期日程が国語と英語という得意科目だったこともあって、志望大は変更せずにそのまま受験することになった。わたしは後期日程も同じ大学に願書出すつもりだったんだけど、定員2人だったことと、後期の小論文の対策ゼロだったこともあって、担任に「後期は落とそう。」と言われ後期は県内の公立大学を受験することになった。

それから、なんやかんやあって卒業の日を迎え、卒業式後も後期試験の対策で学校には通い、前期日程合否発表の日を迎えた。その日は自宅で結果を確認した。結果は、合格。わたしは、ふわふわしてた。とりあえず、担任に連絡!と思って電話したら電話口で先生は泣いてた。「正直、ダメだと思ってました。」先生は言った。

なんじゃそりゃ。

そう思ったけど、電話を切ったあと、涙がこぼれた。わたし、期待されてなかったんじゃ。そう思うと、すっと、肩の荷が降りた気がした。自慢でもなんでもないけど、わたしはずっと、勉強できる方だった。ガリ勉タイプだったわけでもないけど、そこそこに。でも、国立大ともなればちゃんと勉強しないとダメだったわけで。それでも、周りの友だちからは「絶対大丈夫だって。」って、意味不明な自信を押し付けられてた。だから、先生の期待してなかったよ発言で、わたしは救われた。期待されないことも、たまにはうれしい。

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