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読書記録、読書の幅よ広がれ



『Butter』柚木麻子

 三人の男と交際し、貢がせた挙句殺害として世間を大きく賑わせている「カジマナ」。獄中にいる彼女をなんとか取材できないか、記者の主人公はいちかばちか、彼女が愛した料理の話題で接近を試みる――。

 kindle unlimitedより。柚木麻子といえば、私の中では『ランチのアッコちゃん』のイメージが強い。女性の団結、友情を描いたほっこりさせるだけじゃないシビアさもある現代劇を書く人だ。あらすじを読んで、えっこの人が書いたミステリー!?読みたい読みたいと飛びついた。
 結果…なんというか、混沌としたお話でした。ジェンダーという重たいテーマとミステリー要素、グルメ要素がナワバリバトルを繰り広げて、虎バターよろしくカオスな仕上がりになっていた。ミステリーだと思って読むと後半違和感がこみ上げてくるかもしれない。
 なーんだ変なお話だなあ、とくだまきながらも、しばらくラーメンや目玉焼き、野菜炒めにまでバターを乗せている私がいたのも確かである。


『運命の証人』D・M・ディヴァイン

 弁護士の男ジョン・プレスコットは、自らに覆しようのない有罪判決が下るのを法廷で待っていた。己の潔白を信じてくれる者はいないか?父親は?愛する彼女は?

 待ってくれ。私は再三noteでディヴァインの話をしてきたのだが、ずっと「デュヴァイン」と書いていた可能性が高い。ウワー‼ユルシテー‼
 まとめ買いしていたディヴァインのミステリーをまたひとつ読んだ。時系列が入り混じれ、窮地にすっかりやさぐれた主人公ジョン・プレスコット目線で事件の概要(過去)と法廷劇(現在)が進行していく。ディヴァインのミステリーで法廷劇という「戦う」要素が加わるのを読んだのは初めてで、面白かった。   
 しっかし主人公に腹が立つ。中盤など「バカ・プレスコットに改名しろこのアホンダラが!!」と叫んでしまった。そりゃ裁判にかけられてもしょうがねえわ。


『ゴーストハウス』クリフ・マクニッシュ

 並外れた霊感を持った少年、ジャックが母と2人で引っ越して来た古い一軒家。肺の病を患いながらも、母セアラと2人寄り添って生きるジャックを家の中から見つめる、4人の見えない小さな人影。その中のひとつはジャックを見守り囁いた、「絶対にこの家の近くで死んではダメ」。

 長く私の本棚で積み本となっていた一冊だ。確か、三浦しをんの書評本で紹介されていて気になって買ったのだ。海外のホラーを読むのはほとんど初めてだ。

 幽霊がいるとして、なぜ彼らが幽霊としてこの世にふわふわ留まっているのか。未練があるから?あの世なんて存在しないから?この小説で描かれる「幽霊が存在する理由」はどちらでもない。物語の中盤でそれを知った時、私は夜のドトールで恐ろしさと悲しさに、思わず自分の肩を抱いてしまった。カウンター席に並んで座ってたお爺さんにちょっと不審がられた。
 装丁を見ると、子供向けのように感じるかもしれないが、内容はそうでもない。幽霊について真剣に考えたことにある方はぜひ読んでみて欲しい。

 読書の幅を広げたくて、kindle unlimitedで小説以外の書籍を選んでみた。明らかに小説より読むペースが遅い。実は本棚にも小説じゃない、瞑想に関する本や歴史哲学を説く新書が眠っている。

 読んで面白かったら、また記録します。

 今日はここまで。

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