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どうせいじけるなら図書館にでもいよう


 寒波が襲来してから、うつがひどい。家にいると窒息しそうになるから、寒さに耳を痛くしながら外の空気を吸う。私にとって家は病室も同然で、なんでも揃っていて何も欲しいものが無い。
 外出には目的意識がつきものである。何も用がないのなら、大人しく家にいなさいというのが今の常識だ。私はうつが酷いと人生にいじけ始める。子供の頃から変わらない、不調をきたすといじけ始める。家という名の病室で始まるいじけには際限がなく、危険だ。だから用がなくとも外へ出る。外へ出たとて、いじけが無くなるわけではないのだが…。

 どうせどこでもいじけてしまうなら、図書館にでもいた方がいい。マニアックな事典をパラパラめくるのでも良い、気まぐれで文豪の短編をつまみ読むのも良い。いじけの奈落の底にいても、気を紛らわせられる場所にいるのが良い。
 はあ、図書館にさえいればいつか安心する。読ませる気があるのかとキレたくなる堅苦しい歴史書を数分我慢して読んでから、海外ミステリーを読むと驚くほどすいすい読める。どうも最近、伊坂幸太郎のようなエンタメ小説が楽しめない。あらすじを読んで、トリッキーな要素が胸の内を跳ね回り、相手をするのが嫌になってしまう。元気すぎる子猫の面倒が見切れない疲れた母猫と同じだ。

 哲学とか純文学とか、誰かが1人勝手に語っているのを読むのが心地いい。理解できたりできなかったり、歯抜けの読解であっても楽しい。
 昨日、ついに外へ出て一銭も使わず帰ってくる偉業を達成した。マックに寄らずに、腹ペコのまま家に戻って鍋を食べた!そしてそのまま寝た…完璧だ。

 しばらく目的もなく図書館に居座る日々が続くだろう。ここにいれば、何かしらが相手をしてくれる。美容院に行った時しか読まないファッション雑誌をめくるのも楽しそう。欲を言うと、もう少し夜深くまでやって欲しい気持ち…。しかし8時に閉まって大人しく帰るのが早寝早起きのボーダーラインなのかもしれない。

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