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【29日目】自分を縛る『べき』を選びなおす(ジンセイのトリセツ)

◆自分を許していないのは【アタマ】だ

 前回の繰り返しになりますが、大事なことなのでもう一度。

 許せないことが多いと、人生はツラくなります。

 特に

  • 自分自身が許せない

と、人生はめちゃくちゃツラくなります……現在進行形でこういう経験をしている方もたくさんいらっしゃると思いますが……。

 僕自身『許せない自分』とずいぶん戦ったもんです。そして全てにおいて負けてきました。血を吐くくらいストレスフルな若い頃を過ごしました(本当にバケツ一杯分くらい血を吐いたこともあります)。
 だから本当によく分かるんです。よく聞いてください……「許していない」のはあなたの

【アタマ】

なんです。入門編から何度も書いている通り、ストレスはアタマとココロのケンカで起こるんですから。

 復習ですが、ココロからわき起こった「気持ち」(=感情)と、アタマで「考えていること」のギャップがストレスを起こします。これを

【アタマとココロのケンカ】

というんでしたね。そもそも「ココロ」は『モトの集まり』という実態のあるもので、アタマは「脳の機能」だから、動作する動機が違う別の「器官」だ、とも話しました。覚えていますか?(入門編もぜひ読んでくださいね)。

 こういう構造のうえで、アタマが「自分とは『こうあるべき』だ」という考えを持っていて、でもココロは「自分は今『こういう気分』だ」と思っていて…そこが違っていると「アタマがココロに無理強い」をしてココロのモトが減ってしまい、【好き嫌いゲージ】が低く押さえられてマイナスの気持ちが出続ける。これが「自分が許せないストレス」という現象の正体です。

 ですから、変えるべきは気持ちではなくて

「考え方」=【アタマ】

だ、ということが、モトの理論ではっきり分かります。


◆自分を縛るこだわり『べき』とは

 では、具体的に【アタマ】のどこを変えていけばいいか?問題はそこですよね。自分自身が簡単に変えられたらラクなんですが……そうもいかないのが難しいところ。
 ですが、さきほどの理論で「何を変えればいいか」がわかってしまえば、あとは「やり方」の問題になります。ちょっと簡単になる、ということです。

 これから書くことは僕自身の経験からなので、当てはまらない方もいらっしゃるかもしれないのですが……
 自分を「許せない」ときというのは、自分が「こうでなければいけない」という強い『こだわり』を持っているときではないかと思います。

 たとえば……毎朝きちんと起きられない。7時には起きなければいけないのに、ついついスヌーズで寝過ごしてしまう。
 他にも、ついつい忘れ物をしてしまう。メモをしておかなければと思うのに、メモすらも忘れてしまっている。
 こういう小さなことから、もっと働いて稼ぐべき、もっと人にやさしくすべき、もっと本を読んで知識を蓄えるべき、他人に頼らず自分の力で生きていくべき、もっと「ちゃんとした人生」を歩むべきべきべきべきべき

 この『べき』の部分が『こだわり』なんです。


◆『べき』をあきらめて「許す」

 よく、よくご自分の人生を振り返って思い出していただきたいのですが……この『べき』は実は

人から教えられて自分の中に生まれたもの

なんです。こういうときは、こう振る舞いなさい。こういうときは、こういうふうに言いなさい、こうやりなさい……多くは親や兄弟など、身近な人に幼少期から言われていることだったりします。他にも、読んだ本や聴いた言葉(テレビやラジオ、音楽など)、友人知人などに影響されていたりします。

 僕の場合は家族でした。僕は一番末っ子だったこともあり「お前は〇〇だからダメだ」ということをずっと言われ続けて育ちました。だから
「僕はダメ人間なんだなぁ」
と素直に信じて育ってしまいました。
 そして物心ついたとき、デリカシーのない自分の言葉で周囲はいつもドン引きでしたし、異性に相手にされないどころか気持ち悪がられる容姿でもあると気づきましたし、だからその「自分ダメ人間説」に裏付けのようなものを感じて、ダメ人間を脱出するためにさっきのような『べき』をたくさん集めました。

 結局僕は自分が集めた『べき』通りの人間に全然なれなかったので(血を吐いても無理でした)、カラダを完全に壊して動けなくなって、オカネも友情も使い果たして完全に何もかも全部なくした27歳のある日

「この『べき』が自分自身を苦しめていた

ことをようやく悟り(遅いですね)、その瞬間に突然、自分のすべてを『許す』ことができるようになりました……たくさんあった『べき』を『選びなおし』て『あきらめ』ることがその一瞬でできたんだと思っています。
 翌日には仕事をやめて実家に帰り、母親の世話になりながら働かずに持病の治療に専念することにしました。そしてそこから思いっきり人生が好転しました。やっぱり自分を『べき』で縛っていたんだなぁと、当時を振り返って改めて感じます。

 皆さんにはぜひ吐血せずにこうなってほしいと思います……。今もし自分が日々やっていることがしんどいと感じているなら、どうかこの

『べき』で自分自身を縛っていないか

を振り返ってみてください。そして『ココロ』とよく話し合ってみてください。アタマとココロは『別の器官』なんです。対話も(擬似的に)できるもんですよ。


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「ニンゲンのトリセツ」著者、リリジャス・クリエイター。京都でちまちま生きているぶよんぶよんのオジサンです。新作の原稿を転載中、長編小説連載中。みんなの投げ銭まってるぜ!(笑)