見出し画像

北海道一周旅 12日目 天塩〜稚内

4時半頃に目が覚める。
ただのプレハブ小屋とはいえ、ライダーハウスはすこぶる快適だ。

今日は距離もアップもないゆえ、ゆっくりと朝食をこしらえる。玉ねぎの残りを加えて簡単なナポリタンを作る。簡単な料理であるが、共に泊まったチャリダーには驚かれた。料理は科学実験をしているような感覚でとても好きなのだ。尤も私は文系だが。

日本縦断中のチャリダーは早めに稚内へ出かけ、私を含めた3人はゆっくりと片付けをした後、近くのセイコーマートへ。朝食を腹に入れる。

このあと私は稚内へ、他はそれぞれ留萌と音威子府方面へ向かう。動く点が1箇所に集まり、また別かれる。どことなく数学的な意趣を感じる。尤も私は文系である。

そしてサロベツ原野をひたすら北進する。しかし、強烈な向かい風が私を大いに苦しめた。全くの平地であるにも関わらず、頑張っても17,8km/hしか出ないのだ。そして雨が顔を叩きつけてくる。さらに景色は全く変わらない。この3苦は肉体はもちろん、精神にも大きな負荷をかけた。これが60キロ以上続くのははっきり言って拷問である。

しかし、苦しい状況を楽しんでいる自分もいる。自転車旅は人をマゾヒストにするようだ。

最初は景色は多少良かったが、後半は霧が出てきていよいよ見えなくなった。3年前にもここを走ったが、利尻富士がかろうじて見える程度の曇天だった。いつか正解の景色を見たいものである。

食料が枯渇し、ハンガーノックギリギリだったがなんとか稚内市内へ。こんなにも美味しい牛丼は初めてだ。

その後稚内駅にて先程の日本縦断中のチャリダーと再開。これから特急で帰るようだ。私の旅はまだまだ続く。

その後、ノシャップ岬付近の有名なライダーハウス「漁師の店」へ。1泊2食付で3000円という破格の店だ。

そこでは福岡から来たおっさんライダーと最初に仲良くなり、一緒に雲丹丼を頂いた。本場の雲丹は甘いのだ。舌の上で滑らかに溶けてご飯と混ざり合う。稚内に来た甲斐があった。

その後銭湯に行き、帰ると宴が始まっていた。東京都市大のサイクリングサークルの1年生やカブで旅をしている兄さん、kawasakiの1400に乗ってきたというお姉さんなど多くの人たちと談笑。

店のオーナーのおじいさんが酒とたくさんのつまみを振る舞って頂いた上、面白い話をしてくださった。こりゃ人気になるだろうな、と思った。また行きたいものだ。

そして酒について饒舌に話している兄さんがいた。酒に対するこだわりがとても強く知識も深いが、それを人には絶対に押し付けないというスタンスだった。彼は私のことを「少年」と呼び、話し方も独特だった。まさに個性の塊と言ったところか。

彼と話をした後、まだ飲み足りないとセイコーマートに買い物に行く。宿に帰ると皆就寝していたが、夜遅くまで様々なことを語り合った。

彼とした多くの話のうちの1つ。
彼が子供の時、かなり個性的であったらしい(本人曰くADHDだったかもしれないとのこと)。しかし、親がその個性を認めて育ててくれたゆえに今の強烈な個性があるとのこと。

私は彼とは対照的に、私の親は私の個性をとにかく抑えつけてきた。そのおかげか、真面目な性格で勉強もそこそこできるようにはなった。だが、旅をしているとこんな真面目な自分をぶん殴りたくなる衝動に駆られることがあるのだ。

仮に、将来所帯を持ち子供が生まれた時、自分は子供にどんな教育をすればよいのだろうか。

話が逸れてしまった。今日はここまでにしておこう。

おそまつ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?