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自己紹介 | 現代のデジタルテクノロジーが抱える課題を解決し、美しい日用品となるデジタルインターフェイスをつくるために

こんにちは、ヒューマン・コンピューター・インタラクションを専門とする佐藤宗彦と申します。現在、mui LabというテクノロジースタートアップでR&Dと商品開発に取り組みながら、東京大学に客員研究員としても所属しています。

これまでに、日本やアメリカの大学で研究者として、産業界ではGoogleやディズニーといった企業でR&Dや商品開発を行ってきました。
これまでの経験や、日々の商品開発から得られた気づきをもとに、未来のテクノロジーのあり方、つまり「デジタルテクノロジーが、人間の生活や社会にどのように関わることで、人々の暮らしをよりよくしていけるのか」というテーマで、より多くの人との議論に繋げていきたいと思い、noteでの発信を始めます。

研究の内容 ー 「ユーザー」と「コンピューター」と「環境」の関係について

ヒューマン・コンピューター・インタラクションの分野においては、「ユーザー(人間)」と「コンピューター(デジタルテクノロジー)」の二者の関係について考えられる場合が多いです。ここでは、計算や効率化などコンピューターが得意とするタスクをこなすことが中心的となります。

私はそこに、「環境(外界)」を加えた三者の関係を重要視しています。ここでの「環境」は、文化や風土などを含む広い文脈を指し、もともとコンピューターが得意とする計算や効率化という分野にとどまらず、人々の生活の中でコンピューターをどのように位置づけするかということに関心があります。

具体的には、《実際の生活空間において、「ユーザー」と「コンピューター」がどのように関係し合うのか》《「ユーザー」は「環境」や「コンピューター」をどのように知覚し、脳の中の情報として受け取るのか》ということに関心を持ち、研究やコンセプトを示すためのインスタレーション展示、商品開発に取り組んでいます。

「美しい日用品」となるデジタルインターフェイスを目指して

私はデジタルインターフェイスが、「日々の生活の中にたたずむ美しい日用品となりうること」、そしてそのことにより、「新しい生活様式が生み出されること」を信じています。

人間のこれまでの歴史を振り返ると、建築や服飾は「身体を厳しい自然から守る」という機能的価値から、芸術的価値や自己表現、自己実現をもたらすようになり、文化へと昇華されました。そして、コンピューターもこのような過程を辿ることができると考えています。一方現段階では、その機能的価値で私たちの生活を便利にしてくれるテレビやスマートフォンは、情報過多や注意を引きすぎるといった問題で、人間らしい生活を阻害してしまう側面が大きな課題となっています。

日々暮らしを営み、一人ひとり異なる感覚や感情を持つ「人間」と「デジタルテクノロジー」の新たな関わり方、文化と呼べるものが生まれるもの原型となるものをつくりたい、というのが私が掲げているミッションです。

未来のインターフェイスの「原型=アーキタイプ」となるプロダクト

歴史上、新しいテクノロジーが生活に浸透していくまでには、様々な試行錯誤がなされてきました。
実際に、白熱電球という新しいテクノロジーが生まれたとき、工場などでの実用化に30年から50年、生活空間への浸透はさらに長い時間がかかっています。

詳しくはまたの機会にご紹介できたらと思いますが、電球が生活空間に溶け込み、美しい陰影をもたらす照明をデザインしたLe KlintやLouis Poulsenのプロダクトは、その後の照明デザインの規範となりました。

生活の場面のためのデジタルテクノロジーが世の中に広まっていくためにも、このような「原型(=アーキタイプ)」が必要だと考えています。
その原型をプロダクトとして実現し、結果として人とテクノロジーのより心地よい関係性が世の中に広まっていくことを願い、日々活動してきました。

そして私は、muiボードがCalm TechnologyやAmbient Interfaceを体現する最初の原型となると考えています。
この活動に賛同していただける方は、mui LabはKickstarterのクラウドファンディングを開始しましたので、ご興味がありましたらこちらのページもご覧ください。
https://www.kickstarter.com/projects/muim2/mui-board-gen-2

これからぜひ、この考えをより深め、広めるために多くの方とディスカッションや探索ができればと考えています。共通する関心事をお持ちの方は、ぜひお気軽にコンタクトをいただけると嬉しいです。

X / Twitter https://twitter.com/MuneSato
LinkedIn https://www.linkedin.com/in/munehikosato

佐藤 宗彦(@MuneSato
ヒューマン・コンピュータ・インタラクションを専門とし、MIT Media Lab・ディズニーリサーチ研究員、米国検索大手でのウェアラブル製品開発に従事ののち、2019年mui Labに参画。現在はR&D、Matter対応、muiボード次世代機の商品企画をリード。東京大学客員研究員 博士(工学)
https://satomunehiko.com/


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