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釜石がラグビーでえらいことになっている

釜石がラグビーでえらいことになってる。

高校ラグビーでの強豪チームが、ごっそり集まった。
常翔学園高校、東福岡高校、札幌山の手高校、慶應義塾高校、
桐蔭学園高校、天理高校、国学院栃木高校、仙台育英学園高校、
福島合同チーム、黒沢尻工業高校、秋田工業高校、青森山田高校。

常翔学園、東福岡、桐蔭学園、国学院栃木は、
3月31日まで行われていた全国高校選抜ラグビーのベスト4のチームで、
桐蔭学園が優勝、東福岡が準優勝。
ほか、どの高校も全国大会の常連校だ。

「東北復興高校ラグビー交流会2023」という大会。
釜石鵜住居復興スタジアムで交流試合が行われた。
20分一本勝負というか、
たとえば、天理高校と青森山田高校が20分試合したら、
次は常翔学園と東福岡が20分、
その次は桐蔭学園と秋田工業が20分、とか。

選抜大会決勝と同じ東福岡高校 vs 桐蔭学園高校

大事なのは、「2023」がイベント名に入っていること。
「東北復興高校ラグビー交流会 2023」。
ということは、今年をスタートに2024へと続き、
2035のワールドカップラグビー2回目の日本大会につながり、
2037年初めての女子ワールドカップ日本大会にもつながり、
そうしているプロセスで、
東大阪での冬の全国大会(いわゆる「花園」)、
熊谷での春の選抜大会(これも全国大会)、
3つ目の全国大会が釜石で開催されることになる、
ことになればいいなあ。

東大阪、熊谷とならんで「ラグビーの街」釜石が、
高校ラグビーの聖地になる。

もっと大事なのは、
高校生たちがうのスタに集まって、ラグビーをやっている、
というこの光景。

次の試合のチームはグラウンドの端っこで準備をする

うのスタは、釜石でもっとも津波の被害の大きかった鵜住居という街にあり、
うのスタは、中学生が小学生の手を引いて避難した
鵜住居小学校と釜石東中学校の跡地にたち、
釜石市民が被災から立ち上がる希望の柱のスタジアムであり、
そうしたストーリーは2019年のラグビーワールドカップで世界中に知られることになり、
そこで高校生たちがラグビーを楽しむ一方で、
防災学習や震災復興について学ぶ、ということ。

震災の記憶をつなぎ、大切な人と自分の生命を守る術を身につける。

そしていちばん大事なのは、
福島の高校の選抜チームである「福島合同」には、
たった一人しかラグビー部員がいない「一人部員」の選手が、
ちゃんと入っているということ。

たった一人、毎日孤独にトレーニングを積み上げている選手が、
福島県のいい選手たちが集まる選抜チームに入り、
常翔学園(大阪)とか桐蔭学園(神奈川)とか東福岡(福岡)とか、
トップレベルの選手たち、チームとラグビーができる、ということ。

福島合同チーム vs 天理高校

一人でがんばっている選手を見捨てなかったこと、
震災の記憶を受け継いでくれること、
積み上げてきているラグビーの技を互いにシェアしてくれていることは、
ラグビーの5つのコアバリューである

品位、情熱、結束、規律、尊重

の実行なんだなあ、と感動した。