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朝イチで釜石駅をでていくキシャに乗って

朝イチのキシャで釜石を出る。
5時18分、まだ真っ暗な釜石駅を出発し、
峠を超えて「上有住」という駅ぐらいでうっすらと明けていく、5時49分。

2013年か14年のことだろうか、
このキシャでNPOの代表をしているクミちゃんに会った。
お互いキシャの中で会うまでは、
夜遅くまで仕事してたりお酒を飲んでたりして、
この釜石線に乗っている2時間を睡眠にあて、
乗り継ぎだ新幹線で3時間仕事をしよう、
という算段でいた。
ところが偶然同じキシャに乗り合わせ、
あいさつからついつい新花巻駅までずっと話し込んでいたことがあった。

話題はクミちゃんたちが釜石の隣の大槌町でやっている中学生への教育支援のこと、
新しくできたメディア「東北食べる通信」のこと、だった。
高橋博之というちょっとな人が、
「世直しは、食なおし。」という魅惑的にカワッテいるスローガンのもと、
生産者たちがどんな物語をもってその野菜を育て、魚を取り、猟をしているのか。
その生産物に、物語とレシピが書いてある小冊子を付録につけて、
全国の意識高い系、こころある人たちに届けようとしている、と。

ここから、「東北食べる通信」に関心がいき、
のちに食べる通信が立ち上げる「NIPPON TABERU TIMES」にかかわるようになり、
このウェブメディアに学生たちが記事を書きはじめた。
そうすると、山形県小国町など自治体、茨城県古河市の秋庭農園など生産者、
学生たちが自分たちで足を運ぶようになって、
いまではそのメンバーが起業して、このウェブメディアをホントに媒介として、
地域活動をするようになって、オンライン化のおかげで、
メンバーも東京の大学だけではなく、全国に広がるようになった。

そんな、釜石5時18分発盛岡行きの始発キシャである。

今回のワーケーションは、東京と千葉。
オンライン研修、オンラインミーティング、リアルでの面会。
飲み会さえしなければ、飛沫の応酬さえしなければ、
黙ってい仕事をし、黙って映画を観て、黙って美術館を歩いて、
あとはうがい手洗いアルコール消毒とマスク装着すれば、
東京だって千葉だって、なにも怖いことはない。
東京はずっと個室、千葉はずっと山の中だし。

キシャが遠野に入っていく。
雪がまだ残っている。
霧が出てきて、だんだん濃くなってきた。
6時15分。