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リーダーとリーダーシップの違い

15年前近くの卒業生が、仕事でニューヨークに赴任するということで、
当時のゼミ担当教員の高野孟さんと、田原総一朗さんと、
ゼミ生何人か集まって食事した。

かつてのリーダーシップ

大隈塾はずっとリーダーシップを学ぶ場所だったけど、
彼ら彼女らが在校していた当時の大隈塾は、
大きな企業や組織のリーダーをゲスト講師に招いて、
その人が修羅場をくぐった経験談を聞いて、
それがリーダーシップだと思っていた時代だった。

ひさしぶりに彼らに会って、当時の思い出話をちょいちょいしているときに、
「リーダーとリーダーシップは違うよ」
と口をはさむと、なんだかびっくりしていた。

リーダーとリーダーシップ

リーダーというのはポジションであって、
リーダーシップというのは能力のこと。
しかも、リーダーシップは先天的に身に備わっているものではなく、
あとから学習可能なもの。

課長とか部長とか公式なリーダーじゃなくても、
より多くの人たちがリーダーシップを発揮している組織やグループでは、
業績が上がっているしイノベーションも起きやすくなっている、
という研究結果も出ている。

ポジションとか権限に依拠しないリーダーシップは、
「全員発揮のリーダーシップ」とか「Leadership without authority」といわれ、
それは3つの要素から構成される。
①目標設定・共有
②率先垂範
③相互支援

これまでは、リーダーシップ研修は管理職になるときに受けることが多かったけど、
いまではキャリアの初期の段階で受けるようになり、
しかもいわゆる選抜された「幹部候補生」(しかも男性ばっかり)だけではなく、
全員が受講の対象となっている。

リーダーシップは、
「なるべく早く、そして全員に」
身につけましょう、というのがいまのトレンドですよ、と。

職場でのリーダーシップ

みんな「へ〜〜〜」という感じだった。
そうだよね。みんなが大学にいるときは、
「リーダーを育てる」というスローガンはあっても、
そんなリーダーシップ教育ほとんどなかったし、
会社に入っても、選ばれた人たちだけが身に着けなければいけないもの、
という意識で仕事してきた。

そして、役職についたら、
「みんなを引っ張っていく役割」
と自他ともに思い込んで、
一生懸命に旗を振る、と意気込んでいる。

早いとこそこから脱しないとね、と思いつつ、
今日の夜も卒業生たちとの食事会。


『これからのリーダーシップ 基本・最新理論から実践事例まで』 堀尾志保、舘野泰一 日本能率協会マネジメントセンター 2020年