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対立が次のトビラを開ける

パネルディスカッション「一人ひとりが活躍できるOne Teamのつくり方」
の続き。かものはしプロジェクトの本木恵介さん。
本木さんは
「対立は次を開くトビラ」
という。
多様性の社会では、ケンカはつきもの。
民主的にはなかなかいかないものだ、と。

かものはしプロジェクトは2001年、
大学生が立ち上げた。
カンボジアでの「子どもが売られる問題」に衝撃を受け、
これをなんとかしよう、と。
10歳未満の子どもたちが、性的な目的で売られる。
もちろん、日本人もツアーを組んで買春しにいった。

まず、国内でIT事業を立ち上げ、自己資金をつくった。
それを元手に、カンボジアのプノンペンで活動を開始。
孤児院の子どもたちに、パソコン教室を開いた。
WordやExcelの使い方、HTMLの書き方を教えたら、
ホワイトカラーの仕事についたり、
大学に進学できるようになった。

孤児院の次は、最貧困層への支援。
これはパソコン教室にくわえ、
職業訓練をし、工場も立ち上げた。
工場で雇用し、商品を売って自立を進めた。

2009年、カンボジア政府と国連が立ち上がった。
警察を総動員し、人身売買を厳しく取り締まった。

2018年、ついにカンボジアでの人身売買は収束した。
かものはしプロジェクトは、カンボジアから引き上げ、
インドへ向かった。

国際組織、現地政府、現地のNGO、現地のスタッフ、国内のスタッフ。
これをOne Teamにするのは、容易ではない、
という言葉では収まらないだろう。
でも、カンボジアで実際に人身売買をなくしたのだから、
「対立は、次を開くトビラ」
という言葉にはリアリティがある。

どうすれば、トビラを開けることができるのか。
ひとつは、テクニック。
マインドフルネス、
ファシリテーション、
コーチング、など、
自分をマネージメントするテクニック、
議論をマネージメントするテクニック、
これらを学んで、使いこなせるようにする。

「いろんな人たちが、ともに生きていくわけです。
相手の主張を受け入れないと、
自分の主張は受け入れてくれないです」

そして、時間をかける。
効率や合理を求めない。

もうひとつ。
辞めやすい関係をつくる。
互いに譲り合って、役割分担して、
それでもどうしても合わないならば、辞めてもかまわない。

「適者生存、という組織論もありです」

議論も対話も、
マネージメントのテクニックも、
万能ではない。
決裂もありうる。

それもまた、次のトビラを開けることになるのだろう。