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カネはあっても「安心」にはならない

子育てママさんたちにヒアリングしていてわかったのは、
釜石では、子育て支援の制度は整いつつある。
けど、「安心」が足りないようだ。

たとえば、釜石では出産ができない。
31週目までは県立釜石病院で検診して、
それ以降は、となり町の大船渡病院までいって検診したり出産したりする。

そのため、「アクセス支援金」という制度があり、
タクシー代とか宿泊費とかで50,000円が支給される。
使ったママに聞いたら、
大船渡病院まで片道40分で、12,000円かかったそうだ。
往復で24,000円。

2往復しか使えないと考えるか、
2往復も使えると考えるか。

この方は、それまでパートナーさんにクルマに乗せていってもらっていた。
検診は、朝9時に予約しても、終わるのはお昼ぐらい。
だから、パートナーさんは会社を休むか、半休にするか。

「毎回はかんべんして」といわれる。
「会社で気まずい雰囲気になる」
からと。
「会社に迷惑をかけられないから、一人でいってくれ」

公共交通機関を使うとなると、
釜石駅までバスで行き、釜石駅から三陸鉄道に乗って盛駅まで行き、盛駅から大船渡線BRTに乗って大船渡駅まで行く。
それらが都合よく接続しているわけじゃないから、時間がかかる。
繰り返すが、検診は9時に始まっても12時までかかる。
午後しか予約できなければ、帰りのアシがなくなってしまう。

自分でクルマを運転するとする。
クルマの運転に慣れてればいいが、そうでなければ大きなお腹をかかえて、ちょっと怖い。

ここまできてようやく、タクシーを使おう、ということになる。

そのタクシーも、夜中は使えないし、陣痛がおきた場合でも使えない。
つまり、タクシー代を支給されるのは助かるが、
それで「安心」は得られない。

5万円ももらえるからいいじゃないか、というのは産まない人の発想だ。
そうでなくても不安だらけの出産に、
すぐ近くに医者がいないという環境で、
お金を用意したから安心せよ、といえるのか。

初めての子どもを産んで、「もう次はない」といっているママもいる。