見出し画像

スクラムこそがラグビーだ

ラグビーワールドカップが始まった。
開催国はフランス。
オープニングゲームは、フランス対ニュージーランド。
優勝候補どうしの戦い。

昨日の夜から友だち4人と泊まり込みで、
朝4時からプライベートなパブリックビューイング。
盛り上がった〜。

キックオフからあっさりニュージーランドがトライを取って、
やっぱりニュージーランドが勝つのかなあ、と思った。
なにしろ、4年前の日本大会を含め、
今回で10回目のワールドカップ大会、
すべてにおいて1次リーグで負けたことがないニュージーランド。
1次リーグだけなら31連勝中だ。

対してフランスは、ペナルティゴール(3点)で着実に差を縮めていく。
じわじわと追い詰めていく。

NHKの放送より

固い試合運びをしていたフランスは、
後半14分、相手陣内でペナルティをもらい、
今度はガラッとかわってタッチキックから自分ボールのラインアウト。

スコアは9-13。
フランスは勝負に出た。
テレビの画面越しでもビシビシそれが感じられた。

ラインアウトから少しもたついたけど、
1回2回3回、連続攻撃で左へ左へ左へと少しずつ展開し、
真ん中あたりまできたときに、今後は逆に右へとボールを動かす。
スタンドオフがステップを踏んで相手ディフェンスを2人引き付け、
ライン際を走り込んできた14番の選手にパスを渡してそのままトライ!

しびれる〜。
78,960人の大観衆も総立ち。
釜石市の人口3万人をはるかにはるかに上回る、
およそ8万人がひとつになった瞬間だった。
(もちろん、ニュージーランドのファンもいたけど、彼ら彼女らもこのプレーには「やられた〜!」と敬意を抱いただろう。ラグビーはそういうスポーツだ)

それからノーサイドまでフランスのペース。
終わってみれば29-13。

「後半はフランスが圧倒してましたね。
日本での大会が終わって4年間、
フランスはこの開幕ゲームのために準備してきましたから」

釜石市役所職員にして釜石シーウェイブスのアシスタントコーチのサエキ(佐伯悠)は感慨深げ。
彼は、まもなくフランスで行われる「ワールドアマチュアラグビーフェスティバル」第1回大会に出場する日本代表チーム(いわて釜石ラグビーフットボールクラブ)のヘッドコーチでもある。
ワールドカップと同じ、イングランド、アルゼンチン、チリと対戦する。

そして明日9月10日、日本代表の初戦が行われる。
相手はチリ代表。

ラグビーワールドカップが始まった。
4年前の日本大会の楽しさと興奮を、
ふたたび味わいたい。

テレビ放送の副音声では、
五郎丸歩さん(ヤマハ)と田村優さん(キヤノン)と山本幸輝さん(神戸製鋼)がおしゃべりしてた。
フルバックの五郎丸とスタンドオフの田村がゴールキックの話をしていた。
ふたりとも、日本代表のキッカーだった。
キッカーは、ボールを右か左に巻いて(カーブをかけて)蹴るタイプと、
真っ直ぐに蹴るタイプに分かれる。
「巻く:か「真っ直ぐ」か。
名キッカーふたりの会話にプロップ(スクラム組む人)の山本が
「巻く、ってなんですか?」
と、プロップらしい質問をかませた。

間をおかずふたりから、
「(おまえはプロップなんだから)心配しなくてもいいよ」
と笑顔でばっさり。
プロップはゴールキックなんて蹴らない。
プロップはスクラムさえ押してればいい。

……なんて時代は終わった。
フランスが無敗のニュージーランドに土をつけたように、
時代は変わる。

スクラムはラグビーのプレーのひとつではない。
スクラムこそがラグビーだ。

前日のNHKのテレビ放送より