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手植えの田植え手刈りの稲刈りの裏側

それは事件だった

稲刈りをしていたら、コンバインが脱穀しはじめた。
農園主のサトルさんが動かしていた。

大隈塾リーダーシップ・チャレンジの稲刈り。
古河市の秋庭農園でやってきた。

ババババババババ、唸りをあげてコンバインが動く。
ババババババババ、コメを剥ぎ取り、稲を藁に変える。

手刈りして、ハザがけ用に稲を縄で縛っていたわたしたちは唖然とした。
ぎゅっと縛らないとダメよ。
ぎゅっと縛らないと稲が乾燥したらバラバラになっちゃうから。
ぎゅっと縛ったらハザがけして、
稲を自然乾燥させて、脱穀して、精米して、美味しいお米になります。

わたしは受講生のみなさんにそう指導して作業を進めていた。
ところが。

あれ? ハザがけする一方で、
ハザがけしないのもあるの?
ハザがけしないのはもう、脱穀しちゃうんだ。

じゃあ、いまやってる手の指が痛い思いをしながら稲を縛ってるこの作業ってなに?

ババババババババ、コンバインが吠えている。

これが現実でもある

でも、これが現実でもあるんだよね。

手植えの田植えも手刈りの稲刈りも、
体験、コト消費のためのもの。
幼稚園児のイモ掘りが、あらかじめイモを収穫しておいて、
園児たちのために埋め直しているのと同じ。
それがホントのイモの収穫ではない。
イベント農業であり、食育であり。

インチキということではない。
本気で手植えして手刈りしていたら、
どんだけ人手がいるだろう。
農家一世帯が一年間食べたられるだけの収穫を得るためには、
相当の広さの田んぼを維持しなければいけないし、
JAに販路を任せるのが真っ当なやり方だ。

だから、体験農業を用意して収入源を確保する一方、
ちゃんと米をつくってJAに収めての収入源の二つ目、
酒米をつくってJAを通さない収入源の三つ目、
黒米をつくって直接販売する収入源の四つ目、
野菜をつくって直接販売する収入源の五つ目、
ハーブを栽培して直接販売する収入源の六つ目。

そしていま、秋庭農園ではハーブをメインとするように舵をきった。
これは、経験の蓄積とキャリアの転換、
つまり「ライフピボット」だ。


それぞれのやり方

大隈塾がお世話になっているのは、この秋庭農園と、
千葉の鴨川自然王国、秋田のファームガーデンたそがれだ。

鴨川自然王国では、会員制をとって米づくりや大豆づくり。
会員さんたちは農作業をしたあとは山小屋に宿泊して、
朝は山奥の棚田の美しい風景を見ながら心を癒している。

たそがれでは、田んぼのトラストをしながら、
「たそがれ野育園」と銘打って、
米づくり野菜づくり食育でコミュニティをつくっている。

鴨川自然王国もたそがれも、最初は無農薬自然農法で、
「これが本来の農家の姿だ」
と志を立ててがんばっていた。

いた、じゃなくて、いまもまだがんばっているが、
それだけじゃなくて、いろんな方法を試している。
いろんな方法いろんな農業を試しながら、
新しいスタイルを築いてきた。
トライしてエラーして、
またトライしてラーンlearnする。

スタートアップの世界では、事業内容の変更も「ピボットする」というらしいが、
農家もピボットしながら、自分たちのスタイルを築きあげている。