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チームの属人化にどう向き合うか?

私が組織を観察する際は、必ず「属人化している業務は何か」を評価していることに最近気づきました。そこには、「属人化は回避すべき」という無意識の感覚があり、おそらくそれは、これまでの経験の中で身についた直感的視点なのだろうと推測します。
 そこで本noteでは、属人化の定義を確認し、属人化の特徴と留意すべき点について簡単に整理します。

属人化は、組織による活動の成果を左右する要素として見聞きする機会が多い言葉です。属人化とは、”特定業務に関する手順や状況などの情報が作業担当者しか把握できておらず、周囲に共有されていない状態”(引用:NECソリューションイノベータ)となることを言います。ちなみに、属人化の対義語は「標準化」です。
 属人化は、組織の規模が大きくなるほど生じやすいと言う印象を私は持っていましたが、これまでの経験を振り返るとそうでもなさそうです。数名で構成される部署であっても、属人化が顕著な部署は存在します。つまり、組織の規模に限らず、属人化に対する理解は多くのマネジャーにとって必要と考えることができます。

属人化によるデメリットは、以下のようなものが知られています。

① 業務スピードの低下
② 品質管理の困難化
③ 適切な人事評価の困難化

wehog(https://welog.jp/blogs/management/elimination-of-personalization/)の一部を筆者引用

多くの業務は、1人の仕事で完結しません。したがって、属人化された業務のスピードに全体の業務のスピードが依存することになります。また、属人化した担当者と同じ質を、他の担当者が担保することはできません。別の見方をすると、属人化された担当者の質が最良かどうかもわかりません。
 つまり、属人化のデメリットは、業務効率や業務品質の低下の可能性と、効果的な職員教育および評価の困難化と言えます。

属人化によるメリットは、以下のようなものが知られています。

① 従業員エンゲージメントの向上
② 利害関係者との関係性の蓄積が可能
③ 業務プロセスの秘匿性の確保

NEC(https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/sp/contents/column/20221021_individual-dependence.html#:~:text=属人化とは、特定業務に関する手順や,トラブルの典型例です%E3%80%82
)より一部筆者引用、③を追加

慣れた業務や得意な業務に集中すると、自己効力感が高まり、組織に対する貢献意欲の向上が期待できます。また、情報や関係性を利害関係者と蓄積しやすく、効率的に成果が高まることも期待できます。
 つまり、属人化はデメリットばかりではなく、状況によっては属人化の特徴を活かしたマネジメントが有効な場合もあります。

私が考える「改善させなければならない属人化」は、① 突然の延期が許容されない業務が属人化している場合、② 複数の作業で成立している業務が属人化している場合、③ 組織が提供する品質に資する業務が属人化している場合の3つです。
 端的に言い換えると、属人化した担当者が急遽不在となっても運営が成り立つのか?と言う視点と、属人化の解消により業務効率が向上するか?と言う視点で、「改善させなければならない属人化」を判断します。

筆者の経験上、属人化が浸透したチームでは、それぞれのメンバーは他のメンバーに関心を持たなくなります。これにより、チーム内の協力体制は希薄となり、労務量の不均一による生産性の低下や、ぶら下がり職員の増加が顕著となります。その結果、ぶら下がり職員以外が疲弊して離職し、属人化はさらに進行します。
 改善させなければならない属人化を改善させるためには、C.I.バーナードの組織の3要素(共通目標、貢献意欲、コミュニケーション)の視点を生かした工夫が有用と感じます。具体的には、① チームの目標を常に共有し、必要に応じて共に見直す。② 各メンバーの役割を明確化し、チームでの内省を繰り返す。③ コミュニケーションを通じて個人作業を最小化し、各メンバーの状況を皆で俯瞰し合う。これらを確実に実行し、組織風土とすることで、属人化によるデメリットの改善とチームワークの向上が期待できると考えます。

以上、属人化の定義を確認し、属人化の特徴と留意すべき点についての私見を簡単に整理しました。
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