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塩見はしっかり前を見て、答えた。【9/10阪神戦◯】

仲睦まじいことで有名なカップルが破局する、離婚する、というニュースを見るたび、そりゃあ、外からは絶対にわからないことが二人の間にはあるよな、と、思う。

例えば、「あの二人が別れるなんてショック」とかはあんまり、思わない。他人にわからないことは、山のようにあるのだ。

小川さんとみやさまが二人で退任する、というにあたり、二人の気持ちは実際のところ、私たち他人にはさっぱりわからないのだ、と思う。もちろん、二人の関係だってわからない。(とても良いバランスだな、とは思うけれど。)

そこにどんな思いがあるのか、理由があるのか。私に知ることができるのは、みやさまの言葉だけだ。

「監督を1番にサポートするのが僕の役目で、それが十分にできなかった。ヘッドコーチで入閣したときから、チームの成績がダメなときは辞めるつもりだった」
「監督がどうされるかとは別に決めていました。誰かは責任を取らないとダメですから。結果がすべて。監督だけの責任じゃない」
「ヘッドコーチという立場は監督と一心同体。責任は感じるだけではいけない。結果が全て」

このコメントから私が知ることができるのは、みやさまのその、責任感の強さだ。だから、さみしいけれど、つらいけれど、好きな誰かの決断に、私は敬意を払うことしかできない。

さて、ようやく「一軍の塩見」らしいヒットが出て、それが決勝点になり、初めてのお立ち台に上がった塩見は、喜びを爆発させていた。

上田のインスタでだけ見せるような笑顔で、塩見はインタビューに答えていた。そうか、インタビュアーはこれから上田でいいのかもしれない。

ところがそんな喜びのインタビューで、ご丁寧にインタビュアーの人は聞いた。「本日、小川監督と宮本ヘッドコーチの退任が発表されましたが」と。

それまで上田にだけ見せるような笑顔で笑っていた塩見の顔は、一瞬で曇った。人の顔って、こんなに一瞬で曇ることができるのか…!という速さだった。

「え、そうなんですか…そうですね、なんて言えばいいかちょっとわからないです…」

と、塩見は文字通り、言葉に詰まった。人ってこんなにわかりやすく言葉に詰まることができるのか…!という絵に描いたような詰まり方だった。

本当に選手には直接話していないのか…!と、私は驚いた。同時にとても心配になった。初めてのお立ち台で、監督とヘッドコーチが退任することを初めて知らされ、コメントを求められた塩見の戸惑いを思うと、息が詰まりそうだった。

だけど塩見は続けた。

「宮本ヘッドコーチからはずっと打撃指導をしていただいて、それが今日のヒットにつながったのだと思います。小川監督は、ヒットも打てなくて、打率も残せない中、我慢して使っていただいて感謝しています」

しっかり前を見て、塩見はそう話した。

それは、あらかじめ準備されたものじゃない、塩見の心からの言葉だった。それがこちらにしっかりと、伝わってきた。

小川さんとみやさまが残したものは、そういうものだったのだ。

それは、二人が辞めてからもきっと、塩見や、選手たちの中にきっと残っていく。もちろん、ハタケとたてさんの中にも、ずっと。

私は選手じゃないから、本当のところはわからない。本当の気持ちは、誰にだってわからない。

だけど、みやさまと、小川さんと、そして今日の塩見の言葉を、聞きながら思う。その、まっすぐな言葉を目にして思う。このチームを、応援してこられて良かったな、と。弱くても、すぐに逆転されても、何回サヨナラされても、一足先にCSがなくなってしまっても、それでも。

誰かが去ることが決まった中で、新しい希望がまた生まれる。その繰り返しを私たちはきっと、何度も目にしていく。でもその中に、引き継がれていくものは確かにあるのだ。例えば、塩見の中に、みやまさとの猛特訓はきっとしっかり根付いている。それが花咲く日がきっと来る。それを信じて、残りも、そしてこれからも、応援していたいなと思う。


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